中華人民共和国で出版される地図が台湾省内の行政区画を記載する場合、中華人民共和国の建国直前まで中華民国が使用していた台湾の行政区分を流用し、中華民国の行政単位を中華人民共和国の行政単位へと置き換えている。但し、台湾における行政区分の改編にあわせ、表記内容も台湾の現状になるべく即したものへ修正されている。
例えば、中国地図出版社が発行した2013年版の『台湾地図冊』(簡体字:『台湾地?册』)では、台湾省内の行政区分を2地級市、5県級市、16県としていたが[5]、2016年版の『台湾地図冊』では6地級市、3県級市、11県に改められ、一部地名も変更されていた[6]。なお、『中華人民共和国行政区画簡冊』の「中華人民共和国総図」とは異なり、いずれも版も省都を台北市と明記している。
中華人民共和国台湾省の行政区画(2016年版) 地図上に描かれた中華人民共和国の台湾省は、「中華民国の台湾省」と下記の通りに差がある。 なお、日本が実効支配する尖閣諸島(中国語名:釣魚台列嶼)は、中華人民共和国・中華民国のいずれもが台湾省宜蘭県の所属として扱っている。また、中国大陸沿岸にある金馬地区(金門島、馬祖島、烏?からなる)も、中華人民共和国・中華民国のいずれもが福建省の所属としている。 国務院台湾事務弁公室が運営する『中国台湾網』[7]を含め、中国大陸のマスコミが台湾に関する報道を行う際は、一般的に現行の「中華民国の行政区分」を使用している。例えば、2014年時点の中華人民共和国では新北市を台北県、桃園市を桃園県と表記する地図が最新版であったが、『中国台湾網』の記事は新北市・桃園市と既に表記していた[8]。 中華人民共和国政府は、以下の通りの道路および鉄道の敷設を計画しているが、実効支配が及んでいないため「中華人民共和国政府による整備」は実現していない。
※括弧表記は2013年版との変更点。 地図 # 名称
6地級市
1 台北市
2 新北市
(元・台北県)
3 桃園市
(元・桃園県)
4 台中市
(元・県級市)
5 台南市
(元・県級市)
6 高雄市
県級市
7 基隆市
8 嘉義市
9 新竹市
県
10 新竹県
11 嘉義県
12 苗栗県
13 彰化県
14 雲林県
15 屏東県
16 宜蘭県
17 南投県
18 花蓮県
19 台東県
20 澎湖県
- 台中市の一部
(元・台中県)
- 台南市の一部
(元・台南県)
- 高雄市の一部
(元・高雄県)
地図上の中華民国との差異
省都の扱い:中華人民共和国では、台湾省の省都を台北市と位置付けている。一方、中華民国の台湾省の省都は1945年から1957年まで台北市に所在したが、1957年から2018年までは南投県南投市中興新村に所在し、2018年以降は台湾省政府の事実上の廃止に伴い存在しなくなっている。
都市の扱い:中華人民共和国では台湾島の全域を台湾省の管轄としている。一方、中華民国では台北市(旧台北県の一部(陽明山管理局など)を含む)、新北市(旧台北県)、桃園市(旧桃園県)、台中市(旧台中県を含む)、台南市(旧台南県を含む)及び高雄市(旧高雄県を含む)を直轄市に昇格させ台湾省の管轄から外していた。
南海諸島の扱い:中華人民共和国では東沙諸島は広東省、それ以外は海南省の管轄とする。一方、中華民国では実効支配する島々(東沙諸島、南沙諸島の太平島・中洲島)をいずれも海南特別行政区の管轄としていたが、1990年以降は高雄市の管轄に変更された。
報道上の扱い
交通
G228国道 - 環島公路(2013年に別の路線に番号を転用)
G319国道
京台高速道路(G3)
台湾環線高速公路(G99)
京台高速鉄道
昆台高速鉄路
ただし、これらに類するインフラ整備は、大陸と台湾を結ぶ台湾海峡トンネルを除けば、中華民国政府によってほぼ実現されている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 2019年以降は行政機関としての実態を失い、名目上の存在となっている。
^ なお、中華民国が自国の高雄市の一部と主張する南海諸島の島々は、中華人民共和国が一部を実効支配下に置いている。そのため中華民国側からすれば、中華人民共和国の実効支配領域内に「中華民国にとっての高雄市」(中華人民共和国では台湾省に属するとされる市)の一部が支配されている事になる。だが、中華人民共和国はこれらの島嶼を海南省の一部に分類しているため、中華人民共和国側からすれば「中華人民共和国にとっての台湾省」の領域は含まれていないことになる。
^ 国共内戦には公式な終戦日がない。ただし、人民解放軍に金門砲戦の砲撃停止命令が下された1979年1月1日以降、人民解放軍と中華民国国軍との間で戦闘は起きていない。
^ ここでは、台湾省人民政府と台湾省人民代表大会を指す。
^ 中華民国の台湾省には台湾省政府と台湾省議会が2018年に事実上廃止されるまで存在した。