形容詞句 (英: adjective phrase、統語論: AP)
形容詞を主要部とし、名詞句の性質・状態・心情等を表す[8]。主語名詞句の述語として機能する場合と、任意の名詞句の修飾語として機能する場合の二種類がある。
「太郎は [形容詞句 [形容詞 忙しい]]」、「Taro is [形容詞句 [形容詞 busy]]」 (述語として機能する例)
「[形容詞句 [形容詞 良い]] 人」、「(a) [形容詞句 [形容詞 nice]] person」 (修飾語として機能する例)
副詞句 (英: adverb phrase、統語論: AdvP)
副詞を主要部とし、動作や状態を表す語句を修飾し意味を付け足す働きをもつ[注 11]。よって、述語 (動詞句、形容詞句) や文を修飾するが、別の副詞句を修飾する場合もある。[注 12]
「[副詞句 [副詞 とても]] [形容詞句 きれい]」、「[副詞句 [副詞 very]] [形容詞句 beautiful]」 (形容詞句を修飾する例)
「[副詞句 [副詞 おそらく]] [文 太郎は医者だ]」、「[副詞句 [副詞 Probably,]] [文 Taro is a doctor]」 (文を修飾する例)
「[副詞句 [副詞 非常に]] [副詞句 うるさく]」、「[副詞句 [副詞 very]] [副詞句 loudly]」 (別の副詞を修飾する例)
注釈^ この組み合わせは恣意的なものであってはならず、一定のルールが存在する。例として、冠詞「the」と名詞「table」を組み合わせると名詞句「the table」ができるが、名詞「table」と副詞「really」を組み合わせると「table really」となり、名詞句とはならない。言語学においては、このような組み合わせのルールは句構造規則と呼ばれる。
^ 理論言語学における統語論 (特にミニマリスト・プログラム(英語版)ではない生成文法 (Xバー理論)) の用語では、指定部、主要部、補部、付加部の組み合わせとして定義され[1]、一部の非終端節点(英語版)または構成素がこれに該当する。より厳密には、一般用語上の「句」とは統語論上の「最大投射」である。
^ a b 参考: 名詞句 - 広辞苑[3]
^ さらに、動詞句が主語の名詞句と組み合わさると、節ができる。
「太郎はたばこを吸う。」
[名詞句 [名詞 太郎] は]
[節 [名詞句 太郎は] [動詞句 たばこを吸う]]
「太郎はたばこを吸う」は単文 (1つの節からなる文) であるため、この節自体が文を構成する。
[文 [節 太郎はたばこを吸う]]
一方、複文は2個以上の節が組み合わさることによってできる文である。
「私は太郎がたばこを吸うと思った。」
[文 [節 私は [節 太郎がたばこを吸う(と)] 思った]]
^ 「〇〇がたばこを吸う」と同様に、さらにこの動詞句が主語と組み合わさると節、ないし文ができる。
「赤ちゃんが泣く。」
[文 [節 [名詞句 赤ちゃんが] [動詞句 泣く]]]
^ 参考: Rizzi (1997)[4]、Cinque (1999)[5]など。
^ 代名詞も名詞の一種であるが、それ自身が指し示す対象を持たず、文脈や他の名詞句に対応して別途指示対象を割り当てられなければならないという点で特殊である。
^ 例えば、「きれいな花」は花であるが、花のなかでもきれいなものに限定される。
^ 英語における動名詞など、動詞が名詞化されたものはこの限りではない。
^ 参考: 前置詞 - 広辞苑[7]
^ 参考: 副詞 - 広辞苑[9]
^ 前述の通り、原則動作や状態を表さない名詞句は修飾できない。
出典^ 原口・中村・金子 (編) (2016),「増補版チョムスキー理論辞典」, pp.521-523.
^ 句 - 広辞苑、2021年9月30日閲覧。