句は、1つ以上の語の組み合わせであり、必ず主要部と呼ばれる語を含まなければならない。例として、名詞句は必ず名詞に分類される語を含み、動詞句は必ず動詞に分類される語を含む。したがって、句は必ず主要部の語の品詞の性質を継承する[注 3] (すなわち、形容詞句と名詞が組み合わさり形容詞句 (=述語) になることはなく、必ず名詞句となる)。句を作るための語の組み合わせはその語の性質により決まっており、例えば他動詞の「吸う」であれば、「何を吸うか」を表す目的語の名詞句があって初めて実用的な意味を成すことができる。これは、「吸う」という語は1つの名詞句と組み合わされることで動詞句を作ることを意味している。
「(主語は) たばこを吸う。」
[動詞 吸う]
[名詞句 [名詞 たばこ] を]
[動詞句 [名詞句 たばこを] 吸う][注 4]
一方、動詞が自動詞の場合は、目的語をとらないためその動詞自体が句を構成する。
「(主語が) 泣く。」
[動詞句 [動詞 泣く]][注 5]
このように、句とは語の次に大きい文法単位である。 句には様々なタイプがあり、学校文法上では概ね名詞句、動詞句、前/後置詞句、形容詞句、副詞句などが主流である。なお、より専門的な言語学の統語論では、時制句や決定詞句
種類
形容詞句 (英: adjective phrase、統語論: AP)
形容詞を主要部とし、名詞句の性質・状態・心情等を表す[8]。主語名詞句の述語として機能する場合と、任意の名詞句の修飾語として機能する場合の二種類がある。
「太郎は [形容詞句 [形容詞 忙しい]]」、「Taro is [形容詞句 [形容詞 busy]]」 (述語として機能する例)
「[形容詞句 [形容詞 良い]] 人」、「(a) [形容詞句 [形容詞 nice]] person」 (修飾語として機能する例)
副詞句 (英: adverb phrase、統語論: AdvP)
副詞を主要部とし、動作や状態を表す語句を修飾し意味を付け足す働きをもつ[注 11]。よって、述語 (動詞句、形容詞句) や文を修飾するが、別の副詞句を修飾する場合もある。[注 12]
「[副詞句 [副詞 とても]] [形容詞句 きれい]」、「[副詞句 [副詞 very]] [形容詞句 beautiful]」 (形容詞句を修飾する例)
「[副詞句 [副詞 おそらく]] [文 太郎は医者だ]」、「[副詞句 [副詞 Probably,]] [文 Taro is a doctor]」 (文を修飾する例)
「[副詞句 [副詞 非常に]] [副詞句 うるさく]」、「[副詞句 [副詞 very]] [副詞句 loudly]」 (別の副詞を修飾する例)
注釈^ この組み合わせは恣意的なものであってはならず、一定のルールが存在する。例として、冠詞「the」と名詞「table」を組み合わせると名詞句「the table」ができるが、名詞「table」と副詞「really」を組み合わせると「table really」となり、名詞句とはならない。言語学においては、このような組み合わせのルールは句構造規則と呼ばれる。
^ 理論言語学における統語論 (特にミニマリスト・プログラム(英語版)ではない生成文法 (Xバー理論)) の用語では、指定部、主要部、補部、付加部の組み合わせとして定義され[1]、一部の非終端節点(英語版)または構成素がこれに該当する。より厳密には、一般用語上の「句」とは統語論上の「最大投射」である。
^ a b 参考: 名詞句 - 広辞苑[3]
^ さらに、動詞句が主語の名詞句と組み合わさると、節ができる。
「太郎はたばこを吸う。」
[名詞句 [名詞 太郎] は]
[節 [名詞句 太郎は] [動詞句 たばこを吸う]]
「太郎はたばこを吸う」は単文 (1つの節からなる文) であるため、この節自体が文を構成する。
[文 [節 太郎はたばこを吸う]]