古語拾遺
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しかし祝詞で登場するカムロキ、カムロミについて高皇産霊神神産霊神とするのは、『古語拾遺』が最初である[2]。さらに天璽の神器について「八咫鏡及び草薙の剣の二種の神宝」とし「矛と玉は自に従ふ」とするなど、記紀とは異なる記述があり、伊勢の神宮大嘗祭の由紀殿、主基殿の造営に斎部氏が預かられていないこと(遺りたる四)だけではなく、鎮魂祭猿女君が任命されていないこと(遺りたる九)など神代より祭祀を担ってきた姓氏が採用されず、大化の改新以来中臣氏が独占している弊害を記する。
研究・受容の沿革
影響

先代旧事本紀』『本朝月令』『政事要略』『長寛勘文』『年中行事秘抄』『釈日本紀』や伊勢神道の文献などに利用・引用されており、神典として重視されてきたことがわかる。
研究

安永2年(1773年)に奈佐勝皋(かつたか)が『疑斎』を著している。その中で、『古語拾遺』を「斎部氏の衰廃を愁訴したるに過ぎざるのみ」と批判している[3]。これに対して、本居宣長は『疑斎弁』を著して『古語拾遺』を弁護した[4]

近代以降では、昭和3年(1928年)に津田左右吉が、「執筆当時の歴史史料とはなるが、記紀以前のことを知るための史料としては価値がない」と評価している[5]

記紀と比して重要性は薄いとされてきたが、現在では再評価されつつある。昭和天皇大典の際に外国人として唯一建礼門の前に立つことを許可された神道学者のリチャード・ボンソンビー=フェインは記紀よりも重視している。
刊行本

『古語拾遺講義:標註』小田清雄編(邦典館、1890年)

『古語拾遺講義:稜威男健(いつのをたけび)』
栗田寛(大岡山書店、1929年)

明治時代の註釈書。


『古語拾遺・高橋氏文』安田尚道・秋本吉徳校註(現代思想社〈新撰日本古典文庫4〉、1976年)

訓読、注釈、補注、原文(校異付き)、解説。


『古語拾遺』斎部広成撰、西宮一民校注(岩波書店〈岩波文庫〉、1985年)ISBN 4-00-300351-9

原本、注釈、解説から成る。


『古語拾遺:附註釋』飯田瑞穂校注(神道大系編纂会〈神道大系:古典編5〉、1986年)

『古語拾遺』と『古語拾遺講義:稜威男健』を採録。


『古語拾遺を読む』(右文書院、2004年) ISBN 4-8421-0039-7

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 藤原姓を与えられたが、後に別流は中臣姓に戻された。
^ 例えば岩戸隠れの場面において、記紀では天児屋命が重要な役割を果たしているが、『古語拾遺』では天太玉命が中心的役割を果たしている。

出典^ a b c 出雲路修 著、國文學編集部編 編『知っ得 日本の古典 名文名場面100選』(初版)學燈社(原著2007年9月25日)、p. 13頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784312700230。 
^ 西宮一民校注『古語拾遺』p.59
^ 西宮一民校注『古語拾遺』p.195
^ 西宮一民校注『古語拾遺』p.197
^ 「古語拾遺の研究」『史學雑誌』第39編第9號、第10號、第11號、第12號。後に『日本古典の研究』下(昭和25年〈1950年〉岩波書店)所収。また『津田左右吉全集』2(昭和38年〈1963年〉岩波書店)所収。

関連項目

天羽槌雄神

白川伯王家

高橋氏文

外部リンク

古語拾遺
- 加藤玄智 校訂 岩波書店(国立国会図書館)

言葉の景色 古語拾遺

松岡正剛の千夜千冊『古語拾遺』

電子テキスト『古語拾遺』


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