古英語
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子音

両唇音唇歯音歯音歯茎音後部歯茎音硬口蓋音軟口蓋音声門音
閉鎖音[p  b]  [t  d] [k  g] 
破擦音[t?  (d?)]
鼻音[m][n][(?)]
摩擦音[f  (v)][θ  (d)][s  (z)][?][(c)][(x)  (?)][h]
接近音   [r] [j][w] 
側音[l]

括弧内で示されるのは異音である。

[d?]は[j]の異音で、[n]の後ろあるいは子音重複となったとき起こる。

[?]は[n]の異音で、[k]と[g] の前で起こる。

[v, d, z]は無声音[f, θ, s]が有声化したもので、母音あるいは有声子音に挟まれたとき起こる。

[c, x]は[h]の異音で、前者は前舌母音、後者は後舌母音の後ろでそれぞれ起こるが音節の末尾であることが条件である。

[?]は[g]の異音で、母音の後ろで起こる。

母音

単母音短母音長母音
前母音後母音前母音後母音
閉母音[i  y][u][i?  y?][u?]
中央母音[e  (o)][o][e?  (o?)][o?]
開母音[a][?][a?][??]

二重母音短音(1モーラ)長音(2モーラ)
第一単音が閉音[iy][i?y]
両単音とも中音[eo][e?o]
両単音とも開音[a?][a??]

文法詳細は「古英語の文法」を参照

他のインド・ヨーロッパ語族の言語と同様、屈折語である。

名詞は、の区別を持つ。性は男性・中性・女性の3種、数は単数と複数の2種。双数を持たないことは他のゲルマン諸語に同じである。格は主格(主語を作る他呼びかけに用いる)・属格(所有・起原などを表す)・与格(間接目的語)・対格(直接目的語)の4種。名詞は屈折語尾により強変化名詞と弱変化名詞とに分類される。

代名詞の性・数・格も名詞と同様に変化する。ただし一人称と二人称では双数が用いられる。形容詞も同様。

動詞は人称と数に支配される。一般に主語の省略はしない。法・相・時制に従い屈折する。動詞には、幹母音の交替を示す強変化動詞と、幹母音を変えない弱変化動詞がある。強変化動詞は、常用される動詞に多く、現代英語の不規則動詞はほとんどがこれに由来する。完了形はまだなかった。
主な言語資料
ベーオウルフ』(Beowulf)
作者不詳の英雄叙事詩頭韻法が用いられており、もともとは口承文学であったとされる。詳細は該当項目を参照。
『ユリアナ』(Juliana)
宗教詩人キネウルフ(Cynnewulf)作の宗教詩。4世紀の初め頃を舞台とし、ユリアナという名の女性の殉教を描く。
アングロサクソン年代記』(The Anglo-Saxon Chronicle)
アルフレッド大王の命により、イングランドの歴史を、1世紀頃のローマ帝国の襲来から1154年まで叙述した歴史書散文体で書かれている。各地の修道院で編纂が行われたとされている。
哲学の慰め』(De Consolatione Philosophae)
ローマ帝国の哲学者、ボエティウスの哲学書を、アルフレッド大王ラテン語から古英語に翻訳した。散文訳と、頭韻法を用いた韻文訳が存在する。
九つの薬草の呪文』(The Nine Herbs Charm/Nigon Wyrta Galdor)
10世紀に書かれた治療用の呪文。キリスト教の影響を受けているが、元々は多神教信仰に由来する呪文だったと考えられている。
脚注[脚注の使い方]^ デジタル大辞泉 - オー‐イー【OE】[Old English]. コトバンク. 2019年3月13日閲覧。

参考書籍

Peter S. Baker, Introduction to Old English, Oxford 2003,
ISBN 0-631-23454-3.

A. Campbell, Old English Grammar, Oxford 1959.

Fausto Cercignani, The Development of */k/ and */sk/ in Old English, Journal of English and Germanic Philology 82 (1983), 313?323.

J. R. Clark Hall and H. D. Merritt, A Concise Anglo-Saxon Dictionary, Cambridge 1969.

Charles F. Hockett, The stressed syllabics of Old English, Language 35 (1959), 575?597.

Sherman M. Kuhn, On the Syllabic Phonemes of Old English, Language 37 (1961), 522?538.

Roger Lass, Old English: A historical linguistic companion, Cambridge 1994, ISBN 0-521-43087-9.

Bruce Mitchell and Fred C. Robinson, A Guide to Old English, Oxford 2001, ISBN 0-631-22636-2.

関連項目古英語版ウィキペディアがあります。

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