ギリシア文明の成立時には、メソポタミア文明・エジプト文明・ヒッタイト・フェニキア・古代イスラエルなど、広範な影響力と既に長い歴史を持つ文化圏が周辺に存在していた。ギリシア人はそれらの文明・文化から様々な影響を受けたと考えられている。しかし20世紀半ばまで古代ギリシアが真正な文明の原点であるというヨーロッパ・アイデンティティとギリシア中心主義は根強く、他文明からの影響は意図的に無視されていた。20世紀末から反動が起こり、さまざまなアプローチからギリシア文明における他文化圏からの影響が検証されるようになってきている[7]。 ギリシア人はエジプト文明を単に先行する文明ではなく、ギリシア文明の起源とみなしていた。事実として多くのギリシア人がエジプトを訪れ、科学・技術・宗教・思想などを学び、それらをギリシアに導入していた。特にギリシア哲学のルーツとして重要なタレスやピタゴラス、プラトンらもエジプトを訪問した経験があるとされている。しかし、プラトンがエジプトを訪れた可能性については疑問視する向きもある。もしこれが作られた伝説であるなら、プラトンをタレス、ピタゴラスに並ぶ哲学の祖であると位置づける意図が考えられ、ギリシア人にとってエジプトが知的先進地として大きな役割を果たしていたことがうかがえる。これに対抗してディオゲネス・ラエルティオスなどのように、哲学の発祥地がギリシアであると主張する者もいた[8]。 エジプトに関わっていた主な哲学者・知識人は以下の通り[9]。 メソポタミアはエジプトほどギリシアにとって大きな存在ではなかったが、ギリシアの叙事詩の中に『ギルガメシュ叙事詩』の影響が垣間見えるとされている[10]。 ギリシア人はペルシア人の諸宗教(イラン神話・マゴス神官団・ズルワーン教・ゾロアスター教など)について不正確ながらも度々言及している。これらの言及は後のゾロアスター教・ザラスシュトラ観に影響を与えた[11]。 一部の学者から以下の者にはゾロアスター教の影響があると指摘されている[12] ギリシア神話は多神教であり、エジプト・メソポタミア・トラキアなどの神々を取り入れる柔軟さがあった。
エジプト
ソロン - エジプト訪問伝承あり
タレス - エジプト訪問伝承あり
ピタゴラス - エジプト訪問伝承あり
プラトン - エジプト訪問伝承あり
エウドクソス - エジプト訪問伝承あり
リュクルゴス - エジプト訪問伝承あり
オルペウス - エジプト訪問伝承あり
メラムプース - エジプト訪問伝承あり
ダイダロス - エジプト訪問伝承あり
ホメロス - エジプト訪問伝承あり
デモクリトス - エジプト訪問伝承あり
オイノピデス
クセノパネス - エジプト訪問説あり
アレクサンドリアのフィロン - エジプト出身
クレメンス - エジプト出身
アンモニオス・サッカス - エジプトで活躍
プロティノス - エジプト出身
メソポタミア
ゾロアスター教
アナクシマンドロス
ヘラクレイトス
プラトン
プロティノス
セム的一神教
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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