双生児
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なお異性一卵性双生児の遺伝子の核は個々で異なるため、一卵性双生児であっても遺伝情報は完全に同一なものではない[26][27]。また同性一卵性双生児ではあるが核型が46,XX、45,Xであったペアの、生後一年間の成長過程は異なっていたことが報告されている[28](核型が異なる一卵性双生児は、同性であっても外見や成長パターンが似通わないことが指摘されている[29])。
結合双生児
一卵性の場合、ごく稀に卵子の分裂が不完全な状態で成長し、体が結合したまま出生されることがある。この出生形態の双生児は結合双生児(シャム双生児)と言われる。
二卵性双生児二卵性双生児とその両親(父:ジョージ・W・ブッシュ、母:ローラ夫人

二卵性双生児は、多排卵のうち(異なる精子に)受精した二卵が、同時に子宮壁に着床した場合の双胎妊娠から誕生する。二卵性双生児は同時に生まれて来る兄弟と同じ事なので一卵性双生児と異なり、遺伝情報は各々で独自のものである。普通の兄弟姉妹と同じように性別や血液型等が異なる場合もあるし、顔形も通常の兄弟姉妹程度に似ることになる。髪質や肌の色がまったく異なる場合も多い。日本の二卵性双生児出生率は、かつて0.2%程であった(一卵性より出生率は低かった)が、現在は0.6%程度になっている。

性別が異なる二卵性双生児を特に異性双生児という。日本では異性双生児のことを「ミックスツイン」と呼称する場合も多い。ただし、英語のmixed twinsは混血 (Multiracial) の親から生まれた双子を指し、異性双生児を指す英語はmixed sex twinsまたはopposite sex twinsである。

多排卵は妊婦自身や母方家族の二卵性双生児出産既往と相関があり、高ゴナドトロピン血症との関連が示唆されている[30][31]。ゴナドトロピンは経産により上昇する傾向にあり、経産婦が双子を出産する可能性は初産の場合よりも若干ながら高い。遺伝子研究においては双子の両親のうち母親の持つ要因だけが二卵性双胎妊娠の発生に影響を与える(父親側の要因が母体側に何らかの影響を及ぼし、多排卵を導くという可能性はない)。ただし二卵性双生児自身が双子を受胎する確率が一般よりどれ程高いのかについては、科学的根拠のある数字を示す文献は存在しない[32]。これは多胎家庭の系譜(family history)を厳密に調査することが出来ないため、具体的な数値を算出することが不可能なためである。

なお、排卵された複数の卵子が受精する時期は必ずしも近接していない。(同一月経周期内での)異なる時期・異なる性交による受精が発生(過妊娠[33]、Superfecundation)することがある。さらに珍しいことではあるが受胎時とは別の月経周期に妊娠中にもかかわらず排卵が生じ、受胎時期が異なる二人目を妊娠する(過受胎、Superfetation)こともある。短時間で複数の受精卵が生じた双胎妊娠と比べ過妊娠・過受胎では受胎時期が双子のそれぞれで異なっているが、出生する子供が二卵性双生児であることに変わりはない[34]。特に過妊娠で二卵性双生児を受胎することは比較的一般的に確認されるため、二卵性双生児の在胎週数は双子の個々でしばしば異なっている[35]
混血の双生児 (Mixed twins)
両親が混血である場合、親が有している人種のDNAを偏って受け継いだ結果、異なる人種特徴を持った二卵性双生児が産まれることがある。例えば両親が共にコーカソイドネグロイドの混血であった場合、双子のうち一方がコーカソイド、もう一方がネグロイドの特徴をもって産まれる可能性がある[36]。具体的には ⇒写真を参照のこと[37]。この確率は100万分の1程度と報道されているが、2001年に人種的特徴が偏在する双生児を儲けた夫婦から、2008年にも人種的特徴が偏在する双生児が誕生している(同じ夫婦から2組の二卵性双生児が生まれた)[38]
異父二卵性双生児
二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。過妊娠や過受胎のように異なる時点の性交で複数の卵子が受精するケースで父親が異なる場合を異父過妊娠・異父過受胎と呼び、生物学上の父親が異なる双生児が生まれる[39]1992年のある研究[40]では父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったと報告されている。
quaternary multiples
一卵性双生児同士の夫婦から同時期に産まれる多胎児。法律上の血縁関係は「いとこ」にあたるが、遺伝的関係では「きょうだい」となる[41]。単胎の「きょうだい」では有り得ない至近の誕生日(あるいは同日)に産まれた場合、実質的に二卵性双生児に等しい(注:多胎児は同日に出生するとは限らない)。
特殊な卵性の双生児

一卵性と二卵性以外の卵性をもつ双生児が、ごく稀に誕生することがある。
半一卵性双生児
半一卵性双生児 (half identical twins) は排卵された一卵が受精前に分裂して二卵になったことから二卵性双生児として誕生する、双生児の種別の一つ。理論上でその存在は指摘されているが検証が困難であることに加え、そもそも存在が稀であるため確認されたことはない
[42]。異性双生児として誕生する可能性が、通常の二卵性双生児の場合と同様に存在する。また半一卵性双生児は各々75%のDNAを共有している[43]
準一卵性双生児
準一卵性双生児は多精子受精(過受精)した卵子(二精子が受精した卵子)が何らかの原因によって分裂し、双生児となったもの。2007年3月、初めて学術的に公式な報告がなされた[44]。一個体中に異なる遺伝子情報が混在するキメラモザイク)として出生している[45]。卵子に過受精が発生する確率自体は全体の受精のうち1%程度と言われているが実際に出生にいたって生存が確認される事例はかなり稀であり、二例が確認されている。
双生児の出生頻度

双生児の出生頻度は人種により違いがあり白人種は1/80から1/120、黒人種では1/50以上といわれる。日本における双生児の出生頻度はかつては1/150から1/160の低い水準で安定していたが、1987年以降は双生児の出生頻度は大きな変動が続いている。一卵性双生児の出生率は地域・民族・時代に関わりなく一律0.4%であり、双生児出生率の人種間の差や近年の日本の双生児出生頻度の変動は主として二卵性双生児の出生頻度によるものである。

日本の双生児出生頻度は1000組中、1974年頃は6組を少し下回る程度だったが、2003年には10組を上回った。日本の一卵性双生児出生頻度は1974年から2003年の30年間において1000組中4組前後で安定しているため[46]、この出生頻度の変化は二卵性双生児の出生率の変動による影響が大きい。特に体外受精の導入による影響は大きく、体外受精によって双生児の出生率は導入前の6割増になったと言われる[47]。ただし1996年から日本産婦人科学会が胎内に戻す受精卵数を制限を開始し、現在は日本の双生児の出生率は2005年をピークに低下傾向[48]にある(現在の産婦人科学会の指針では原則として、胎内に戻す受精卵は一つと定められている[49])。


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