双生児
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)ミラー・ツインは単に顔などの外観が鏡像になっているだけではなく生物学的な相違点で示されることもあり、鏡像的に異なった人格の形成や生活嗜好・睡眠パターンなどにも鏡像的相違が見られる場合もある[18]
異性一卵性双生児
一卵性双生児の性別は基本的に同性であるが、稀に異なる性別の一卵性双生児が誕生することがある
[19]。2つに分かれる前の受精卵の性染色体がXY(男)の場合、多胚化する際に一方のY染色体が欠落しXY(男)とXO(女)の異性一卵性双生児として誕生する可能性がある。また受精卵の性染色体がXXY型であった場合、多胚化(受精卵が二つに分裂)する際にそれぞれの性染色体がXX(女)とXY(男)に分かれることで異性一卵性双生児となりうる。報告例の多くはXYがXYとXOに多胚化したものだが、XXYがXXとXYに多胚化した例も存在する[20][21]。さらに現在ではY染色体の有無により発現する性別が決定されているわけではなく、異なる性染色体が混在(モザイク)する割合によっても性別が異なってくることもわかっている[22]。性染色体がXOのケースはターナー症候群として[23]、XXYを有しているケースはクラインフェルター症候群としてそれぞれ知られている。一卵性の双子で性別が異なる事例が1976年までに少なくとも世界で3例[24]が確認されており、その後も異性一卵性双生児の事例(異性一卵性三つ子を含む[25])がしばしば確認されている。なお異性一卵性双生児の遺伝子の核は個々で異なるため、一卵性双生児であっても遺伝情報は完全に同一なものではない[26][27]。また同性一卵性双生児ではあるが核型が46,XX、45,Xであったペアの、生後一年間の成長過程は異なっていたことが報告されている[28](核型が異なる一卵性双生児は、同性であっても外見や成長パターンが似通わないことが指摘されている[29])。
結合双生児
一卵性の場合、ごく稀に卵子の分裂が不完全な状態で成長し、体が結合したまま出生されることがある。この出生形態の双生児は結合双生児(シャム双生児)と言われる。
二卵性双生児二卵性双生児とその両親(父:ジョージ・W・ブッシュ、母:ローラ夫人

二卵性双生児は、多排卵のうち(異なる精子に)受精した二卵が、同時に子宮壁に着床した場合の双胎妊娠から誕生する。二卵性双生児は同時に生まれて来る兄弟と同じ事なので一卵性双生児と異なり、遺伝情報は各々で独自のものである。普通の兄弟姉妹と同じように性別や血液型等が異なる場合もあるし、顔形も通常の兄弟姉妹程度に似ることになる。髪質や肌の色がまったく異なる場合も多い。日本の二卵性双生児出生率は、かつて0.2%程であった(一卵性より出生率は低かった)が、現在は0.6%程度になっている。

性別が異なる二卵性双生児を特に異性双生児という。日本では異性双生児のことを「ミックスツイン」と呼称する場合も多い。ただし、英語のmixed twinsは混血 (Multiracial) の親から生まれた双子を指し、異性双生児を指す英語はmixed sex twinsまたはopposite sex twinsである。

多排卵は妊婦自身や母方家族の二卵性双生児出産既往と相関があり、高ゴナドトロピン血症との関連が示唆されている[30][31]。ゴナドトロピンは経産により上昇する傾向にあり、経産婦が双子を出産する可能性は初産の場合よりも若干ながら高い。遺伝子研究においては双子の両親のうち母親の持つ要因だけが二卵性双胎妊娠の発生に影響を与える(父親側の要因が母体側に何らかの影響を及ぼし、多排卵を導くという可能性はない)。ただし二卵性双生児自身が双子を受胎する確率が一般よりどれ程高いのかについては、科学的根拠のある数字を示す文献は存在しない[32]。これは多胎家庭の系譜(family history)を厳密に調査することが出来ないため、具体的な数値を算出することが不可能なためである。

なお、排卵された複数の卵子が受精する時期は必ずしも近接していない。(同一月経周期内での)異なる時期・異なる性交による受精が発生(過妊娠[33]、Superfecundation)することがある。さらに珍しいことではあるが受胎時とは別の月経周期に妊娠中にもかかわらず排卵が生じ、受胎時期が異なる二人目を妊娠する(過受胎、Superfetation)こともある。短時間で複数の受精卵が生じた双胎妊娠と比べ過妊娠・過受胎では受胎時期が双子のそれぞれで異なっているが、出生する子供が二卵性双生児であることに変わりはない[34]。特に過妊娠で二卵性双生児を受胎することは比較的一般的に確認されるため、二卵性双生児の在胎週数は双子の個々でしばしば異なっている[35]
混血の双生児 (Mixed twins)
両親が混血である場合、親が有している人種のDNAを偏って受け継いだ結果、異なる人種特徴を持った二卵性双生児が産まれることがある。例えば両親が共にコーカソイドネグロイドの混血であった場合、双子のうち一方がコーカソイド、もう一方がネグロイドの特徴をもって産まれる可能性がある[36]。具体的には ⇒写真を参照のこと[37]。この確率は100万分の1程度と報道されているが、2001年に人種的特徴が偏在する双生児を儲けた夫婦から、2008年にも人種的特徴が偏在する双生児が誕生している(同じ夫婦から2組の二卵性双生児が生まれた)[38]
異父二卵性双生児
二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。過妊娠や過受胎のように異なる時点の性交で複数の卵子が受精するケースで父親が異なる場合を異父過妊娠・異父過受胎と呼び、生物学上の父親が異なる双生児が生まれる[39]1992年のある研究[40]では父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったと報告されている。
quaternary multiples
一卵性双生児同士の夫婦から同時期に産まれる多胎児。法律上の血縁関係は「いとこ」にあたるが、遺伝的関係では「きょうだい」となる[41]。単胎の「きょうだい」では有り得ない至近の誕生日(あるいは同日)に産まれた場合、実質的に二卵性双生児に等しい(注:多胎児は同日に出生するとは限らない)。
特殊な卵性の双生児

一卵性と二卵性以外の卵性をもつ双生児が、ごく稀に誕生することがある。
半一卵性双生児
半一卵性双生児 (half identical twins) は排卵された一卵が受精前に分裂して二卵になったことから二卵性双生児として誕生する、双生児の種別の一つ。理論上でその存在は指摘されているが検証が困難であることに加え、そもそも存在が稀であるため確認されたことはない
[42]。異性双生児として誕生する可能性が、通常の二卵性双生児の場合と同様に存在する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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