双極性障害
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自殺リスクが高く、20年後の自殺率は6%以上で生涯では10%以上、自傷は30%から40%のケースで起こっている[9]
治療

躁・うつの再発を予防するための気分安定薬を中心とした薬物療法と、再発をコントロールしたり再発の兆候をモニターするなどの心理教育や、対人関係のストレスへの対処や社会リズムを一定に保つことを目指す対人関係社会リズム療法 (IPSRT) などの心理社会的治療が治療の両輪となる[1]。定期的なフォローアップが必要とされる[1]。再発率が高いため、生涯にわたっての予防とコントロールが必要である[1]
心理社会的治療「精神科の治療#ケアの基本」も参照

以下のような心理社会的治療は、I型・II型の両方に有効とされる。薬物療法との併用でのみ推奨される[8]
心理教育「心理教育」も参照

再発予防のために、服薬の継続性を高め、ストレスを管理する際、次のような内容を患者に教育する[49][50]

第一に、状態やうつ状態が病的なものであると認識し、生活習慣を変えるよう助言する[7]。本人は、躁状態を心地良く感じ、病気であると思わないことや、躁状態に戻りたいとさえ考える人もいる(病識の欠如)[7]

また、再発を繰り返す可能性のある慢性疾患であり、長期的治療を必要とすることを認識する。例えば糖尿病・高血圧などの慢性疾患のように、完全に治癒(服薬が必要ない状態)することはなく、最低2年間の服薬継続が必要と説明する[51]。再発の兆候を早期に発見する方法を考え、その際は医師と相談するよう教育する[7]。再発につながりやすいストレスを予測し、ストレスの乗り越え方(ストレス管理)を考える[7]。規則正しい睡眠時間を確保し、またアルコールや、その他の精神作用物質の摂取を避けるべきである[7]。生活習慣の改善は、永続なものとなりえることを認識する[7]

社会的ネットワークの再活性化を提案する[7]。さらに重大なライフイベント(死別など)があった際には、支援を求める必要があることを教育する[7]

日本うつ病学会の双極症委員会は、患者や家族向けに「双極症とつきあうために」を公開しており、これを用いて心理教育を行うことも有用とされている[52]
対人関係社会リズム療法 (IPSRT)

うつ病にも用いられる対人関係療法 (IPT)に、社会リズム療法 (SRT) を組み合わせた治療法。再発予防に対する有効性が報告されている[53]

対人関係療法では、重要な他者との良好な関係構築に向けた支援や、良い人間関係を築くための考え方とスキル習得のサポートなどを通じて、対人関係のストレスを減らし、生活上の変化に適応しやすくすることを目指す[54][55]

社会リズム療法では、生活リズムの乱れ(徹夜など)が症状の悪化につながることから、生活リズムを一定にすることを目指す[55][56]。具体的には、生活の時間(起きる時間、食事の時間、寝る時間など)を記録し、日々の生活リズムをモニターしながら、ストレスの少ない生活リズムをルーティン化できるようサポートする[55][56]
認知行動療法

双極性障害に対する認知行動療法[49][50][57]、うつ状態では、否定的自動思考などの認知のゆがみに焦点を当てて修正したり(「認知のゆがみ#認知の改善」を参照)、日常生活の中で楽しみや達成感を感じる活動を増やし活動性を高めることで気分を改善させたりする(「行動活性化」を参照)という、単極性うつ病と同様の目的でも用いられる(詳細は、「うつ病#認知行動療法」を参照)[58]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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