双子
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短時間で複数の受精卵が生じた双胎妊娠と比べ過妊娠・過受胎では受胎時期が双子のそれぞれで異なっているが、出生する子供が二卵性双生児であることに変わりはない[34]。特に過妊娠で二卵性双生児を受胎することは比較的一般的に確認されるため、二卵性双生児の在胎週数は双子の個々でしばしば異なっている[35]
混血の双生児 (Mixed twins)
両親が混血である場合、親が有している人種のDNAを偏って受け継いだ結果、異なる人種特徴を持った二卵性双生児が産まれることがある。例えば両親が共にコーカソイドネグロイドの混血であった場合、双子のうち一方がコーカソイド、もう一方がネグロイドの特徴をもって産まれる可能性がある[36]。具体的には ⇒写真を参照のこと[37]。この確率は100万分の1程度と報道されているが、2001年に人種的特徴が偏在する双生児を儲けた夫婦から、2008年にも人種的特徴が偏在する双生児が誕生している(同じ夫婦から2組の二卵性双生児が生まれた)[38]
異父二卵性双生児
二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。過妊娠や過受胎のように異なる時点の性交で複数の卵子が受精するケースで父親が異なる場合を異父過妊娠・異父過受胎と呼び、生物学上の父親が異なる双生児が生まれる[39]1992年のある研究[40]では父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったと報告されている。
quaternary multiples
一卵性双生児同士の夫婦から同時期に産まれる多胎児。法律上の血縁関係は「いとこ」にあたるが、遺伝的関係では「きょうだい」となる[41]。単胎の「きょうだい」では有り得ない至近の誕生日(あるいは同日)に産まれた場合、実質的に二卵性双生児に等しい(注:多胎児は同日に出生するとは限らない)。
特殊な卵性の双生児

一卵性と二卵性以外の卵性をもつ双生児が、ごく稀に誕生することがある。
半一卵性双生児
半一卵性双生児 (half identical twins) は排卵された一卵が受精前に分裂して二卵になったことから二卵性双生児として誕生する、双生児の種別の一つ。理論上でその存在は指摘されているが検証が困難であることに加え、そもそも存在が稀であるため確認されたことはない
[42]。異性双生児として誕生する可能性が、通常の二卵性双生児の場合と同様に存在する。また半一卵性双生児は各々75%のDNAを共有している[43]
準一卵性双生児
準一卵性双生児は多精子受精(過受精)した卵子(二精子が受精した卵子)が何らかの原因によって分裂し、双生児となったもの。2007年3月、初めて学術的に公式な報告がなされた[44]。一個体中に異なる遺伝子情報が混在するキメラモザイク)として出生している[45]。卵子に過受精が発生する確率自体は全体の受精のうち1%程度と言われているが実際に出生にいたって生存が確認される事例はかなり稀であり、二例が確認されている。
双生児の出生頻度

双生児の出生頻度は人種により違いがあり白人種は1/80から1/120、黒人種では1/50以上といわれる。日本における双生児の出生頻度はかつては1/150から1/160の低い水準で安定していたが、1987年以降は双生児の出生頻度は大きな変動が続いている。一卵性双生児の出生率は地域・民族・時代に関わりなく一律0.4%であり、双生児出生率の人種間の差や近年の日本の双生児出生頻度の変動は主として二卵性双生児の出生頻度によるものである。

日本の双生児出生頻度は1000組中、1974年頃は6組を少し下回る程度だったが、2003年には10組を上回った。日本の一卵性双生児出生頻度は1974年から2003年の30年間において1000組中4組前後で安定しているため[46]、この出生頻度の変化は二卵性双生児の出生率の変動による影響が大きい。特に体外受精の導入による影響は大きく、体外受精によって双生児の出生率は導入前の6割増になったと言われる[47]。ただし1996年から日本産婦人科学会が胎内に戻す受精卵数を制限を開始し、現在は日本の双生児の出生率は2005年をピークに低下傾向[48]にある(現在の産婦人科学会の指針では原則として、胎内に戻す受精卵は一つと定められている[49])。

また、二卵性双生児の出生頻度は地域間・民族間の違いも大きい。西アフリカ一帯に住むヨルバ族の場合、二卵性双生児の出生率は2.8%(二卵性出生率1000組中28組、一卵性出生率は1000組中7組)[50]から約5%[51]におよぶ。さらにブラジルのある小さな集落、リーニャ・サンペドロ地区では双子出生率が10%に達する[52]。これは日本の二卵性双生児出生頻度の10 - 20倍に達している。また、リーニャ・サンペドロ地区の双子のうち半数は一卵性である(出生率5%)。この原因について長期にわたる調査が行われた結果、地域住民の遺伝的要因(TP53*P72およびMDM4-T)が影響を及ぼしている可能性が2012年に報告された[53]。この報告では住民に多い遺伝子(特にP53)多型種に受精胚生存率を上昇させる効果を有するものがあり、(受胎が知覚される前に消失するような受精胚も生き残るなどの結果として)卵性を問わず双子出生率が上昇している、と指摘している。ただし、受精胚の生存率には非常に多様な遺伝的影響があるため、P53の多型のみによって双子出生率が影響されることはない。あくまで居住者(すなわち遺伝子)の地域流動性が低い、特定地域のみで偶発的に現れる現象であると考えられている。

二卵性双生児とは異なり、一卵性双生児の受胎は偶然であって遺伝的な影響は存在しないとされている。しかし、インドのモハンマド・プル・ウムリ (Mohammad Pur Umri) 村では一卵性双生児の出生率が約10%に達しており、他にもヨルダンに一卵性双生児の誕生率が非常に高い家族が存在するなど、一卵性双生児の出生率にも遺伝的な影響が存在する可能性も指摘されている[54]。なお、ココノオビアルマジロは基本的に一卵性の四つ子を生むことで知られており、偶然に依拠することなく生物が一卵性多胎児を受胎することは可能である[55]。一方、ジャイアントパンダの多胎出生率(1963年から1990年まで)は飼育下において54%(74分娩中、双胎39、品胎1)に達する[56]。2016年時点での調査では双胎率44%であったが、そのうち同性双子18組の遺伝子調査を行ったところ、全てが二卵性双生児であった。ジャイアントパンダの場合は、一卵性双生児は極めて稀であるか、そもそも誕生しない可能性が示唆されている[57]。また飼育下のホッキョクグマの双子出生率は68%にのぼり(50分娩に対し88出産。単胎14頭、双胎34組、品胎2組)、妊娠期間が短いほど平均出生頭数は多い(多胎の場合は早産となる傾向がある)[58]。なお野生のホッキョクグマ2945個体に遺伝子検査を行ったところ、一組の一卵性双生児が発見されている[59]。ヒグマの場合はほぼ双子であり、内陸部のヒグマの平均出産頭数は約2頭、沿岸部(サケの捕食が可能な地域)では約2.3頭となっている(飼育下のヒグマでは11分娩中双子9組、三つ子2組であった)[60]
性別・卵性別の出生割合


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