参議院
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参議院(さんぎいん、英語: House of Councillors)は、日本立法府たる国会両院制)の議院のひとつである(日本国憲法第42条)。

両院制を採用する諸国の上院に相当し、下院である衆議院(しゅうぎいん)とともに国会を構成している。その特質から、「良識の府」とも呼ばれる。

参議」というのは、明治時代まであった職制で、そこからこの「参議院」という名称がつけられた(後述)。
概説参議院議場

日本国憲法では両議院ともに、全国民を代表する選挙された議員で組織される民主的第二次院型の二院制が採用された[3]

参議院議員の任期は、衆議院議員の任期(4年)より長い6年で、衆議院のような全員改選(総選挙)ではなく、3年ごとに半数改選(通常選挙)が行われる(憲法第46条)。また、衆議院と異なり参議院では任期途中での解散が生じない為、実際の任期の差は更に広がる。衆議院と参議院で同時選挙が実施されても、参議院議員の半数が国会の議席に残っているという特徴もある。

参議院だけに認められる権能としては、衆議院解散中における参議院の緊急集会憲法第54条2項)がある[4]

一方で、法律案の再可決(憲法第59条)、予算の議決(憲法第60条)、条約の承認(憲法第61条)、内閣総理大臣の指名(憲法第67条第2項)においては、衆議院の優越が認められている。予算については衆議院に先議権が認められているため、参議院は常に後議の院となる(憲法第60条)。また、内閣不信任決議内閣信任決議は、衆議院にのみ認められている(憲法第69条)。詳細は「衆議院の優越」を参照

もっとも、衆議院が可決した法律案について、参議院が異なる議決をした場合に衆議院が再可決するためには、出席議員の3分の2以上の多数が必要となり、議決のハードルは高い。また、参議院が議決をしない場合に、衆議院は否決とみなして再可決に進むこともできるが、参議院が法律案を受け取ってから60日が経過していなければならず、この方法を多用することは難しい。したがって、会期中に予算の他に多くの法律を成立させなければならない内閣にとって、参議院(場合によっては野党以上に与党所属の参議院議員)への対処は軽視できない。

なお、憲法改正案の議決に関しては、両院は完全に対等である。また、憲法ではなく法律に基づく国会の議決に関しても、対等の例は数多くある(国会同意人事等)。特に衆議院の多数会派と参議院の多数会派が異なる「ねじれ国会」では、内閣運営に大きな影響を及ぼす。

相対的に参議院は政権に対して一定の距離を保ち、多様な民意の反映、政府に対するチェック機能といった機能を有するものと言われてきた。したがって、衆議院とは異なるプロセスで選挙や審議を行い、多元的な国民の意思を反映することが期待される[5]

しかし、参議院については衆議院と全く同一の意思を示すと「カーボンコピー」と揶揄され、衆議院と正反対の意思を示すと「決められない政治」と言われる難しい存在であるという指摘がある[6]

現行の選挙制度(参議院比例区)では、衆議院以上に全国的に見ても規模が大きい労働組合職能団体業界団体などの利益団体組織内候補や全国的な知名度が高い芸能人やスポーツ選手などの著名人(タレント候補)が当選しやすい状況があり、これも参議院の特色となっている[7][8]

河野謙三参議院議長の時代以来、参議院の性格・役割などにも関連して参議院改革の議論が行われてきており、一定の進展を見たものもある。正副議長の党籍離脱の原則、審議時間の確保、小会派への割り当て質問時間の増加、自由討議制の導入、決算重視の審査、押しボタン式投票の導入などが実現している。参議院改革論にはカーボンコピー論から来る参議院不要論に対抗するための「衆議院との差別化」の意図もある。

参議院の大きな特徴の一つとなっている押しボタン式投票は1998年(平成10年)の第142回国会から導入されたもので、利点としては「議事の迅速化(自席にあるボタンを押すことで投票を行うため、牛歩戦術のような抵抗ができない)」及び「議員個々の賛否を明らかにすることで議員の政治責任を明確化しやすい」の2点が挙げられている[9]。ただし出席議員の.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄5以上の要求がある場合は、押しボタン式投票は行われず、衆議院同様の記名投票によって採決を行う(参議院規則第138条)[9]。このため、予算案や国務大臣に対する問責決議案など一部議案の議決については、慣例として野党から記名投票要求が出される[9]。詳細は「押しボタン式投票」を参照
歴史

大日本帝国憲法は、(天皇の)立法権の協賛機関として衆議院と貴族院の二院からなる帝国議会を置いた。民選(公選)議員のみからなる衆議院に対して、貴族院は、皇族議員、華族議員、勅任議員(帝国学士院会員議員、多額納税者議員など)によって構成されていた。

これに対して日本国憲法は、立法機関として衆議院と参議院の二院からなる国会を置き、参議院は、衆議院と同様「全国民を代表する選挙された議員」のみによって構成されるものとした(日本国憲法第43条第1項)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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