原生代
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寒冷化の原因は大気中の二酸化炭素濃度が下がって温室効果が減ったためと推定される[14]。二酸化炭素濃度減少の原因は、大陸の拡大によって岩石の風化量が増え風化岩石中の金属元素が空中の二酸化炭素を消費したと考えられるが、さらに風化した塩類が海に入って大量の栄養塩類となり生物活動(光合成)を活発化させ、二酸化炭素を消費したことも考えられる[15]
超大陸の形成

プレートテクトニクスでは、プレートが動くことでその上の陸地も地表を移動する。地球の歴史では殆どの大陸が1か所に集結して巨大な超大陸を形成したことがあった。顕生代に存在したパンゲアは有名であるが、原生代後期の10億年前頃にも「地上のほとんどの陸地が集まった超大陸」が存在したとする検討結果が1990年頃から報告されている。この超大陸はロディニア大陸と呼ばれるが、約7億年前に3つに分裂した[16]。ロディニアはそれ以前にあった比較的大きなヌーナ大陸コロンビア大陸アトランティカ大陸の3つが合体したものである[17]。これら3大陸は約19億年前にあった活発な大陸成長のピーク期に[18]、もっと小さな陸地が集合し成長して生成した[19]
原生代後期の氷河時代

原生代後期に相当する地層から「氷河に起因する堆積物」が世界各地で発見されており、この時代に何度か寒冷な時期があった事が判明している。特にスターティアン氷期(7億3,000万年-7億年前)とマリノアン氷期(6億6,500万-6億3,500万年前)には当時の赤道近くの地層からも氷河に起因する堆積物が見つかっており、地球が非常に寒冷化したことが分かっている[13]。当時の地層から採取された岩石の分析結果(炭素同位体比)から、当時の生物圏が壊滅的な打撃を受け、地球上の全ての生物活動がほとんど停止していたことが判明した[20]。この現象を研究したカリフォルニア工科大学のカーシェビンクは、この時代に地球全体が凍結したスノーボールアース現象が起こったとしている。
原生代の生物

太古代の生物は、古細菌真正細菌が主体であった。原生代に入るとより進化し複雑な組織を持つ真核生物が繁栄し、原生代の後期には多細胞生物が生まれた。原生代最後のエディアカラ紀の地層からは多数の動物の化石が見つかっている。
真核生物の誕生コイル状のグリパニアの化石

酸素を生み出したシアノバクテリアは細胞内に核を持たない細菌であるが、21億年前の縞状鉄鉱床から細胞内に核を有する真核生物の化石が1992年に発見された[21]。これはグリパニア(grypania)と呼ばれて、コイル状の管からできている。およそ17億年前ごろから球形をした化石が無数に見つかっている。精巧な細胞壁を持っているものがあり、原始的な藻類の胞子だと考えられている。これらはアクリタークと命名されている。大きさは時代が新しくなるにつれて大きくなるが直径が数分の一ミリメートル程度である。その後、2010年ガボンで行われた採掘の結果、ガボン多細胞生物が発見され、15億年前に既に多細胞生物が存在したという事が発見された[22]
多細胞生物の誕生

植物の多細胞生物の化石で最も古いものは、カナダサマーセット島の7億5,000年前?12億5,000万年前のハンティング地層から見つかった紅藻類の化石である[23]。また東シベリアの10-9億年前の地層から藻類の化石が見つかっている[24]動物では1947年に南オーストラリアのフリンダース山脈のエディアカラの丘にある原生代最末期の地層から、肉眼で見える動物の化石(スプリッギナ)が発見された[25]。その後エディアカラの丘やその周辺から多種多数の動物の化石が発見され、エディアカラ動物群と呼ばれている。エディアカラ動物群の化石が見つかるのは5億7千万年前から5億4千万年前という短い期間に集中しており、すべて硬い骨格を持たない生物であった。エディアカラ動物群の化石は世界の20か所以上の地域で見つかっている[26]。これらの化石が産出する時代はかつてベンド紀と呼ばれていたが、現在はエディアカラ紀と呼ばれている[27]。これらの多細胞動物が誕生する直前に著しい寒冷期だったマリノニアン氷河時代があり、環境の激変が動物の急激な進化を促したという議論がある[28]

多細胞動物については 次の顕生代カンブリア紀で硬い骨格を有する多種多様な動物群が一気に出現する。

エディアカラ動物群のスプリッギナの化石、大きさは3-5cm

エディアカラ動物群のディッキンソニアの化石

ディッキンソニアの復元予想図

エディアカラ動物群のキンベレラの化石

区分

地質時代先カンブリア時代[* 1][* 2]累代代紀[* 3]基底年代
Mya[* 4]
顕生代新生代66
中生代251.902
古生代541
原生代 新原生代エディアカラン635
クライオジェニアン720
トニアン1000
中原生代ステニアン1200
エクタシアン1400
カリミアン1600
古原生代スタテリアン1800
オロシリアン2050
リィアキアン2300
シデリアン2500
太古代(始生代)新太古代2800
中太古代3200
古太古代3600
原太古代4000
冥王代4600
^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
^ 基底年代の更新履歴
^ 顕生代は省略、太古代は無し
^ 百万年前

前期、中期、後期に分けることができる[29]

前期 古原生代(Paleo proterozoic)は、25億年前から16億年までを指す。

中期 中原生代(Meso proterozoic)は、16億年前から10億年前までを指す。

後期 新原生代(Neo proterozoic)は、10億年前から約5億4,100万年前までを指す。

尚、前期はシデリアンリィアキアンオロシリアンスタテリアン
中期はカリミアンエクタシアンステニアン
後期はトニアンクライオジェニアンエディアカラン(エディアカラ紀)にそれぞれ分かれる。

また、古生代カンブリア紀以前の地質時代を「先カンブリア時代」と呼ぶので、「先カンブリア時代地質区分」として研究する学者もいる。
脚注^ 「要説 地質年代」P31
^ 顕生代での時代の判定は「地球上の広い範囲で同時に認められる生物化石の変遷」を用いている。


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