原子炉
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

^ ほかに、熱中性子だけでなく高速中性子も積極的に利用しようという低減速炉と呼ばれるものもある。計算機の性能向上により炉心の精密なシミュレーションが可能になったことで研究がなされるようになったと言われる。ATOMICA 低減速炉の技術開発の進捗と課題
^ 減速材をほとんど使用しないため中性子の損失を最小限にとどめることができる。用語辞典(1974) p.212 『中速中性子炉』
^ 高速中性子はウラン238に吸収されやすく、中性子を吸収したウラン238はプルトニウム239となるため燃料の増殖が容易である。反面、高速中性子はウラン235とは反応しにくく、また、ウラン238に吸収されてしまう分だけ核分裂に利用できる中性子の数が少なくなるため、中性子を効率よく利用できる原子炉とする必要が生ずる。なお、高速中性子は核燃料から発生する超ウラン物質を核分裂させる能力にも優れ、このため、高速炉を高レベル放射性廃棄物の消滅処理に利用することが検討されていると言われる。
^ 通常のである軽水は中性子減速能が大きいが中性子吸収能も大きい。通常は減速材が冷却材を兼ねる。軽水は安価で大量に入手することができ、火力発電で使用されているため性状が良くわかっている。反面、吸収能が大きいため軽水冷却炉では濃縮されたウラン燃料を用いて発生する中性子の数を増やす必要がある。
^ 重水は軽水に次ぐ減速能を持ち、吸収能は小さい。従って重水炉では天然ウランを始めとして多様な物質を核燃料として用いることができる。ただし、重水は高価である。
^ 炭素からなる黒鉛は水に次ぐ減速能を持ち常温で固体である。黒鉛は減速能を持たない物質を冷却材として用いる設計の原子炉で使用されており構造が比較的簡単な為、原子力開発能力の低い国でも使用されている。しかし発電効率が悪い反面プルトニウム239の生成効率が高い事から核兵器用プルトニウム製造に良く使用された。現在では主にガス炉の減速材として使用されている。
^ 軽水を減速材とする場合は、濃縮ウランを使用しなければならない。
^ 軽水が減速材と冷却材を兼ねることもあれば、減速材は黒鉛や重水で冷却材は軽水と分けられることもある。
^ 水蒸気と異なりガスは圧力を高めなくとも高温にすることができるため初期の原子炉では二酸化炭素が冷却材として用いられた。反面、密度が小さく熱運搬能力に乏しいためガス炉による商用発電は経済性に劣り商用発電炉の主流は軽水炉に替わった。ヘリウムは、現在研究・開発が進められている1,000を越える高温を原子炉から得る高温ガス炉の冷却材として用いることが研究されている。また高速増殖炉の冷却材としてヘリウムガス冷却も検討されている。なお、日本に初めて導入された原子炉は英国製のガス冷却炉である。
^ 液体金属は常圧で高温を得られる熱運搬能力に優れた流体であるため、配管を耐圧とする必要が無く原子炉全体を小型軽量化できる。このため艦船の動力として採用されていたが、金属を流体の状態に保つための高温の維持に苦労が多く、採用はごく少数に留まった。ナトリウムは初期の原子力潜水艦の原子力炉冷却材として採用されていた。しかし、ナトリウムは水と激しく反応するため、旧ソ連のアルファ級などでは低融点の鉛・ビスマス合金(スプリンクラーヘッドなどに使用されている)を冷却材とする原子炉が採用された。ナトリウムは中性子減速能を持たないため、高速増殖炉の冷却材として使用されている他、鉛・ビスマスも高速増殖炉冷却材として検討されている。
^ ほか、金属ではないが溶融塩を冷却材として使用する溶融塩原子炉などの原子炉もある。
^ 日本には以下の研究用原子炉がある。原子力白書1961「 ⇒研究用原子炉

原研JRR-1 日本原子力研究開発機構濃縮ウラン軽水炉ウォーターボイラー型)50kW、茨城県東海村、1957年8月臨界 - 1968年9月運転休止 - 廃炉。

原研JRR-2 日本原子力研究開発機構、90% (20%) 濃縮ウラン重水炉(CP-5型)10MW、茨城県東海村、1962年4月17日臨界(90%燃料) - 1970年10月1日臨界(20%燃料) - 運用停止

原研JRR-3 日本原子力研究開発機構、天然ウラン重水炉(国産1号炉)10MW、茨城県東海村、1962年9月12日臨界。

原研JRR-4 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(プール型)1MW(最大3MW)、茨城県東海村、1965年1月28日臨界。

原研JPDR 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(BWR型)46.7MW(電力12.5MW)、茨城県東海村、1963年10月26日初臨界、日本初の電力発電。1976年3月18日運転終了 - 1996年3月31日解体終了。

原研JMTR 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(タンク型)50MW、茨城県大洗町、1968年3月30日臨界。

原研HTTR 日本原子力研究開発機構、二酸化ウラン黒鉛炉GCR型)30MW、茨城県大洗町、1998年11月10日臨界。

近畿大学研究炉 (UTR-KINKI) 濃縮ウラン軽水炉(UTR型)0.1W(後に1Wに変更)、大阪府東大阪市(旧布施市)、1961年11月11日臨界。日本初の大学所有の研究炉。

立教大学研究炉 (RUR) 20%濃縮ウラン水素化ジルコニウム炉(TRIGA-II型)100kW、神奈川県横須賀市佐島字松越、1961年12月9日臨界 - 廃炉。

五島育英会研究炉 (MITRR) 東京都市大学(旧武蔵工業大学)、20%濃縮ウラン水素化ジルコニウム炉(TRIGA-II型)100kW、神奈川県川崎市王禅寺、1961年12月臨界 - 廃炉。

京都大学研究炉 (KUR) 90%濃縮ウラン軽水炉(プール型)1MW - 5MW、大阪府熊取町、1964年6月25日臨界。

日立研究炉 (HTR) 10%濃縮ウラン軽水炉(プール付タンク型)100kW、神奈川県川崎市王禅寺(東京原子力産業研究所(TAIC研)株式会社内)、建設費は約1.4億円。1961年12月25日臨界。1962年8月に日立製作所から東京原子力産業研究所に譲り渡された。休止 - 炉心解体。

東芝研究炉 (TTR-1) 20%濃縮ウラン軽水炉(プール型)30kW(最大100kW)、神奈川県川崎市末広町(日本原子力事業総合研究所(NAIG研)内)、総工費は約1.5億円。1962年3月13日臨界 - 休止。

三菱研究炉 13%濃縮ウラン軽水炉(タンク型)30kWの研究炉を、三菱電機と三菱原子力工業が協力して、茨城県東海村字舟石川に設置する準備を進め、1962年8月に設置許可になっていたが、その後建設計画が取りやめになった。

東京大学研究炉(弥生)濃縮ウラン空気冷却高速中性子源炉2kW、茨城県東海村、1971年4月臨界。2011年3月休止予定。

動燃高速実験炉(常陽MOX燃料Na冷却高速中性子型(FBR型)50MW、茨城県大洗町成田町

^ AP1000など

出典^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
^ 安(1980) p.26
^ 田中隆則「小型モジュール炉(SMR)を巡る国際動向とそのインパクト」『日本原子力学会誌ATOMOΣ』第60巻第7号、日本原子力学会、2018年、382-386頁、doi:10.3327/jaesjb.60.7_382、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 1882-2606、NAID 130007827662。 
^ 日本放送協会. “脱炭素社会の発電「小型原子炉」は選択肢か”. NHKニュース. 2021年5月3日閲覧。
^ 用語辞典(1974) p.97 『原形炉』
^ 用語辞典(1974) p.152 『実証炉』
^ 原子力百科事典「 ⇒第4世代原子炉 (07-02-01-10)

次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:47 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef