原子時計
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2001年東京大学の香取秀俊[16](2011より理化学研究所主任研究員兼務)によって提唱され[17]2003年に基礎実験に成功[18]し、2005年に開発に成功[19]した。セシウム原子時計を超える原子時計として期待されている[20][21]。「周波数コム」(光周波数コム。レーザー光を利用して光の周波数を精密に測定する仕組み)を使い、より高い周波数マイクロ波ではなく光波)の使用により安定度を上げる。

理論的にはセシウム原子時計の1000倍の「300億年に1秒」の精度がある。2009年現在16桁の精度が実現している(429228004229873.7 Hz)。2006年10月の国際度量衡委員会で、「秒」の二次表現(秒の新しい定義の候補)として採択された[22]

2013年[23]、香取はストロンチウム原子分光(中空フォトニック結晶ファイバ中)に成功した。共鳴周波数幅は 7.8 kHz であった[24][25]

2015年2月、香取、高本将男らは、ストロンチウム光格子時計2台を比較することにより、10?18前半の精度を確認したと発表した[26][27]
イッテルビウム光格子時計

ストロンチウム光格子時計をしのぐ精度をもつ可能性のあるものとして、イッテルビウム171光格子時計の開発が進んでいる。産業技術総合研究所計測標準研究部門時間周波数科の洪鋒雷・研究科長、安田正美・主任研究員らの開発による。黒体輻射や核スピンの影響が少なく精度が高いと考えられている。2010年現在の周波数は、518295836590864±28 Hz(2009年測定、60万年に1秒ずれる精度)である[28]。その後、装置の改善などを行い、2012年現在の周波数は、518295836590863.1±2.0 Hz(2012年測定、相対不確かさ=3.9×10-15)[29]。2012年10月の国際度量衡委員会で、秒の二次表現(秒の新しい定義の候補)として採択された[30]
歴史

1949年アメリカ国立標準局においてアンモニア吸収線を用いた原子時計が物理学者ハロルド・ライオンズによって発明された[31][32]。またアメリカで発明され、イギリス国立物理学研究所(NPL)のルイ・エッセン(英語版)らによって開発されたセシウム原子時計は1955年から1958年まで国際原子時(TAI)を刻み実用化第1号となった。その後、1967年の第13回国際度量衡総会において現在用いられている国際単位系(SI)のの定義「セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の 9192631770 倍に等しい時間」[33]が決定された。1991年12月にヒューレット・パッカードが発表したセシウム原子時計HP 5071Aの誤差は160万年に1秒としてギネスブックに「最も正確な時計」として認定されていた[34]2011年8月の発表によると情報通信研究機構(NICT)と東京大学が独立に開発した原子時計を超高精度光伝送技術を用いて結び、6500万年に1秒(16桁)の精度を確かめた[35][36]。米国には70億年に1秒の精度とされる原子時計がある[37]
閏秒

原子時計が進歩したため、地球の自転による一日の長さ(LOD:Length of Day)を正確に計測することが可能になった。1秒の長さは、1820年頃のLODに基づいて定義されていたために、セシウム原子の遷移の歩度(9192631770周期)によるの定義とは合わなくなった。そのため何年かに1回閏秒を挿入して時間調整をしている。詳細は「閏秒#1日の長さ LOD」および「閏秒#閏秒挿入の理由についての誤解」を参照
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高精度の時計を一番に必要としているのは長さの計測である。長さを正確に測るためには、正確な時計が必要である。現在ではレーザー波で、正確に長さが測れる(以前は白金イリジウム合金製の標準メートル原器を元にしていたため、温度や摩耗の問題があった)。

また電波において、正確な周波数同調が出来るようになった。

時間、長さ、周波数の3つは重さや電気を正確に測るために必要である。

GPS衛星には原子時計を搭載して、正しい位置を表すための正確な電波を出す。

Googleなどの国際的にサービスを行う企業や、カレンダー、時刻サービスを提供する企業では正確な時計が必要である。そのため各国データセンターには原子時計が置かれている。[38]

将来

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時計の精度が上がると相対性理論により時計がある場所の速度重力電磁場精度に大きく関係してくる(セシウム原子時計でも地球上と人工衛星軌道での時間の進む速さの違いが検出される)。逆に考えると、電磁場重力場重力波?)(時空のゆがみの検出)を高精度で測定できる可能性を秘めている。

物理学の基本量(光速cプランク定数h素電荷e万有引力定数G、微細構造定数αなど)を正確に決定できる。これらの数字のつながりが解明される可能性がある。

相対性理論量子力学の2つは根本の部分で分かっていなかったり、微妙に整合性がとれていない。どちらが正しいかわかるようになり、統合・調整できる可能性がある。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ シュタルク効果を打ち消し、原子の運動速度による周波数変化を除去し、光の強さによる周波数変化を軽減した。

出典^ 安田正美、"1秒って誰が決めるの? 日時計から光格子時計まで"、p.99の図による、ちくまプリマー新書、筑摩書房、2014年6月10日 初版第一刷、ISBN 978-4-480-68918-4
^ 新しい高精度マイクロ波原子時計の開発・試作に成功?汎用的なルビジウム原子時計の約5倍の精度を実現? 情報通信研究機構 2014年8月20日
^ sarah.henderson@nist.gov (2020年9月29日). “Optical Lattices: Webs of Light” (英語). NIST. 2022年2月14日閲覧。
^ “The Prize's Legacy: Dave Wineland”. NIST.gov. NIST (2017年3月3日). 2022年2月11日閲覧。


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