原子怪獣現わる
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後年の作品への影響「怪獣」および「怪獣映画」も参照キング・コング』にも影響を与えた『ロスト・ワールド』(1925年『原子怪獣現わる』と共に、近代型の怪獣映画の草分けの一つとして知られる[12]氷河の古代怪獣』(1942年

ハリーハウゼン自身が映画製作を目指すきっかけとなった『キング・コング[13]の他、銃弾を寄せ付けず都市を破壊する古代の恐竜型怪獣を題材にした映像作品自体は、1925年の『ロスト・ワールド』や1942年スーパーマン作品『氷河の古代怪獣』など『原子怪獣現わる』が初めてではない[注釈 2][12]。その一方で、『原子怪獣現わる』のヒットにより『ゴジラ』『放射能X』『海獣ビヒモス』『怪獣ゴルゴ』など「放射能の影響を受けた巨大生物」が登場する怪獣映画が数多く制作された[4][5][14]

とくに『ゴジラ』は、企画構想では「古代の恐竜がビキニ環礁での核実験で目覚めて東京に襲来し、架空の兵器で倒される」「企画段階の名称が『海底二万哩から来た大怪獣』と、本作の原題である『The Beast from 20,000 Fathoms』と似ている[注釈 3][15][16]、「撮影上の制約で着ぐるみに変更されたがゴジラもストップモーション・アニメーションでの撮影が計画されていた」、「怪物の人類への主だった最初の襲撃は漁船に対してである」、「事件を担当した学者が、件の怪獣または同族の出現に関して予言めいた発言をする」、上記の通り「怪物が放射能性の火炎を吐く」や「灯台を襲撃する」[17][18]というアイディアが存在したなど、いくつかの類似点が見られる。

ハリーハウゼン自身も、2005年のピーター・ジャクソンによる『キングコング』の公開に際したインタビューにて日本のゴジラを「filch(盗作)」だと表現している[19][注釈 4]。ハリーハウゼンは生前にゴジラを強く嫌悪していたとされており[注釈 5]、着ぐるみによる撮影方法やゴジラのキャラクター自体を決して嫌ってはいなかったが、『原子怪獣現わる』との類似性だけでなく、「ゴジラシリーズ」の躍進に帰結した『キングコング対ゴジラ』の製作によって発生した軋轢によってウィリス・オブライエンが関係者を訴えようとしたが資金不足で諦めて失意のうちに亡くなり[注釈 6]メリアン・C・クーパーも『キングコング対ゴジラ』の公開に反対して関係者を訴えようとしていた[22]など、東宝が『キング・コング』を強く意識していたりオブライエンのアイディアを利用したにもかかわらず[注釈 7]、師であるウィリス・オブライエンの顛末を含むハリーハウゼンが敬愛する『キング・コング』と(『キングコング対ゴジラ』によって躍進した)「ゴジラシリーズ(東宝)」の関係性がハリーハウゼンの「ゴジラ」への憎悪の最も大きな原因だったとも指摘されている[20]

ガメラも、当作品を日本で配給したのが大映であり、『大怪獣ガメラ』にて「北極圏の氷の下で眠っていた古代の怪獣が核爆発によってよみがえる」「灯台を襲撃する」という点が類似している。

リドサウルスをモデルにした怪物は『恐竜の惑星[25]、『恐竜時代』、『Dinosaurs Attack!』[注釈 8]、『ゴジラ ザ・シリーズ[注釈 9]などの数々の作品に登場した。1956年12月発売のバットマンを題材にしたコミックシリーズの Issue 104 には「"The Creature from 20,000 Fathoms!"」という『原子怪獣現わる』を意識したタイトルの話が存在し、バボンガと呼ばれる鼻から火炎を噴く怪物が登場している。

1990年の映画『グレムリン2 新・種・誕・生』や2008年の映画『クローバーフィールド/HAKAISHA[26]では、リドサウルスが暴れる場面が挿入されている。

また、2013年公開のハリウッド映画『パシフィック・リム』では、エンドクレジットでハリーハウゼンへの賛辞があるだけでなく[27]、「怪獣が深海から突然現れ、怪獣の血液が毒性であるために人類がその対策を強いられる」という面が共通している。
原子怪獣リドサウルス(Rhedosaurus)灯台を破壊するリドサウルス

北極バフィン湾で眠っていた1億年前の四足型巨大生物である。体長は60.96メートルで体重は500トンと推定される[28]。肉食であり、劇中では警官を捕食している。氷河に眠っていたが、アメリカ軍が行った水爆実験で氷が溶け、目を覚ました。劇中の設定によると、ニューヨーク沖の海底峡谷で同種の物とされる化石が見つかっており、かつての“生息地”であるニューヨークに上陸したと見られる。頭蓋骨は分厚く機関銃による銃撃にもびくともしない。血液に未知の細菌が含まれているため、うかつな攻撃はできない。水中を自在に泳ぎ、多くの漁船を破壊、エルソン教授を乗せた潜水鐘も沈めた。最後はコニー・アイランドにてアイソトープ弾を撃ち込まれ絶命した。
関連項目

シンバッド七回目の航海 - リドサウルスの造形物が、登場したドラゴン(タロ)に流用されている[29]

GODZILLA

脚注[脚注の使い方]
注釈^ キネマ旬報には封切日10月17日と記載。
^ キングコングへのパロディーである1933年のアニメ作品『King Klunk(英語版)』にも、主役のゴリラと戦う相手として、背びれを持ち直立する肉食恐竜型のキャラクターが登場する。
^ファゾム」も水深を表す単位である。
^ @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ハリーハウゼン作品の翌年に東宝作品から類似した怪獣が登場した事例は、アロサウルス恐竜100万年)とゴロザウルスキングコングの逆襲)が共に人間を襲撃する蒼灰色のアロサウルスの生き残り(怪獣大全集 1991, p. 73, 「東宝モンスター名鑑」)だというものがある。どちらの作品にも猿人/類人猿や大蛇が登場している。[独自研究?]
^ ゴジラのイラストがプリントされたTシャツを着用したファンが近づいただけでも不快感を示したというエピソードも残されている[20]


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