原子力潜水艦シービュー号
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これはアーウィン・アレンがリアリティを追求し当時の現実の潜水艦の乗員には女性がいなかったことを反映している[6]。乗員以外でも女性の(準)レギュラー出演者と言えるのはサンタバーバラの研究所のネルソン提督の秘書くらいしかいないため、アメリカのテレビドラマとしては珍しく、女性が全く登場しない回が多くなっている。(当初のターゲット視聴者は男性の20代・30代であったので、TV局側は毎週ゲスト女優を登場させることを要求した。しかしアーウィン・アレンは女優の扱いが上手くなかった。[7])アーウィン・アレン制作の他のテレビ・シリーズでは、全て女性のレギュラー出演者がいるために、このようなことは起こっていない。また、アジア系は登場するものの[8]、全編を通してアフリカ系アメリカ人が登場しない。(ただこれはこのドラマに限ったことではなく、1964年公民権法が成立する前のアメリカのTVドラマではごく普通のことだった。こうした状況が改められるのは公民権法後の1966年スタートの「スパイ大作戦」や「宇宙大作戦」の頃からで、アレン作品では1968年スタートの「巨人の惑星」からである。[9])なお本作品のゲスト俳優には、ジェイムズ・ダレンタイムトンネルのトニー)[10]、ホイット・ビッセル(タイムトンネルのカーク所長)[11]、ジョン・ザレンバ(タイムトンネルの老科学者スウェイン)[12]ジューン・ロックハート宇宙家族ロビンソンのモーリーン・ロビンソン)[13]など、他のアーウィン・アレンの1960年代のTV作品に登場する俳優が多く登場している。

制作予算の節約のために、シービュー号の航行や戦闘などの特撮シーンは、毎回のように使い回された。映画「地球の危機」からの流用シーンも多い。シービュー号の外観は第2シーズンでフライングサブの登場に合わせて変更されているが(特に目立つのは観測窓で当初は上下2列だったのが1列になった)、流用シーンは当然旧型のままなので、前後のつながりに混乱が生じている。その他の映画からの流用も行われ、中でも同じアレン制作の「失われた世界」の恐竜登場シーンは、たびたび使用されている。[14]

本シリーズは、当初は当時の冷戦の激化を反映し、ソ連や中国や東欧諸国を想定している敵国の陰謀と戦うという話や、核戦争危機に関するシリアスな話が多かった。第2シーズンに入ると007映画のヒットに始まるスパイ・ブームの影響を受け、外国などのスパイが艦内に潜入したり、乗組員が諜報活動に従事したりする話も多く作られた。やがて、同じアレン制作の「宇宙家族ロビンソン」が、子供向きの内容にシフトして成功したのを受けたのと予算の削減もあって、同様の路線転換が行われた[15]。宇宙人や怪物などの登場を増やしたのがそれである。怪物は海洋の巨大生物ばかりでなく、亡霊[16]狼男[17]人魚半魚人[18]、蘇生したミイラ[19]など、さまざまなバリエーションが登場し、潜水艦の中を舞台とする意味がほとんど無い、ほぼ荒唐無稽な物語と化してしまった。クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディソンは、例えば映画「失われた世界」の時でも、名優クロード・レインズ(チャレンジャー教授役)にろくな演技もさせないで、恐竜が主体の映画を制作したアーウィン・アレンに批判的であり、こうした「今週の怪物」路線が一時的に視聴率的には成功しても、役者にとっては非常に苦痛であったと述べている。ヘディソンはアーウィン・アレンは良いセールスマン、良いプロデューサーであったが良い監督では無かった(役者の使い方がまるで駄目)としている。[20]。結局、この路線転換は却って視聴率の低下を招き、第4シーズンで特に最終回的なストーリーも無く中止が決定された。
シービュー号


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