原太古代
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南アフリカのムーディーズグループ(英語版)地層の潮汐堆積物の分析によれば、32億年前の太古代の地球は13時間周期で自転しており1年の長さはおよそ700太陽日と地球の距離は現在の70%ほどだったと考えられている[11]

なお堆積岩の分析結果から、30億年より前の海水温度は60-120℃という高温であったと推定されているが、29億年前以後は氷河堆積物が見つかるようになった[12]。太古代を通じて大気中には酸素はなく窒素二酸化炭素が主体であった。30億年前頃には、酸素発生型の光合成を行うシアノバクテリアが出現していた可能性があり[13]、シアノバクテリアが形成したとおぼしき大規模なストロマトライトが広く分布していた。ただし、放出された酸素は縞状鉄鉱床の形成などに消費されていたと推測され、大気中酸素濃度の上昇にはつながらなかった[14]。全地球規模での酸素濃度の上昇は次の原生代まで待つこととなる(Great Oxidation Event)。
35-38億年前の地表の状況

上記の38億年前のイスア地域の地層から、縞状鉄鉱床・炭酸塩岩・枕状溶岩・礫岩層が見られるが、前3者は当時海が存在したこと、礫岩層は陸地があったことを示している[15]。またイスア地域の地質構造は付加体としての特徴を示しており、当時既にプレートテクトニクスが機能していたと推定される[16]。35億年前の地層はアフリカ南部やオーストラリアのピルバラで見つかっている。ピルバラ地域のノースポールからは35億年前の枕状溶岩の上に載ったチャートの層から最古の生物痕跡と思われる化石が見つかっている[17]



27億年前の大陸生成

大陸の地殻を構成する花崗岩の組成は、その下のマントルの組成と大幅に異なっている。海洋地殻を形成する玄武岩はマントルの一部が溶解してできたものであるが、花崗岩は玄武岩が水の存在下で再度部分溶解して生まれる[18]。そのため、地球誕生当初の地表には大陸地殻は無く、その後年代が下がるにしたがって大陸が増えてきたとされる[19]。陸地の生成は一定のペースでコンスタントに進んだのではなく、段階的に起こったというデータがある。すなわち 世界各地の花崗岩の中のジルコン結晶の生成年代を分析した結果、27億年前と19億年前にジルコン生成のピークが認められ、この時期に集中的に陸地が生まれたとされる[20]。27億年前には大陸の周辺の浅い海に大規模なストロマトライトが形成されたと考えられている[21]

なお太古代はマントルの温度が現在よりも高かったため、マントルが部分溶解してできるマグマの成分も現在と異なっており、マグネシウム分が非常に多いコマチアイトなど現在のマグマでは見られない成分の火成岩が存在した[22]。また花崗岩も後世にみられない組成をもち、ナトリウム成分に富んだトーナル岩(tonalite)・トロニエム岩(trondhjemite)・花崗閃緑岩(granodiorite)からなり頭文字からTTGと呼ばれる。マントルの温度が高かったため、沈み込みプレート自体が比較的浅い地下で融解して大陸地殻に貫入したためと考えられている[23]
生物

系統樹による推計では、冥王代またはこの時代の初期に全生物の共通祖先が現れ、太古代には多様化が進んで古細菌真正細菌の門の多くが出そろったと考えられている[3]。35億年前の地層からは古細菌と真正細菌の活動の痕跡が発見されている[24]。上記の最古の生命化石が見つかったノースポールの地層は、35億年前の熱水活動が活発で温度の高い中央海嶺であったと推察されている。これは地球の初期生命が、現生の一部の古細菌細菌に見られるような高温適性を有していた可能性を示唆する[25]。30億年前までにはシアノバクテリアが出現し、局所的な酸素スポット内において酸素を利用した代謝活動が進化し始めたと推測され[13][26]、原生代における真核生物を含む好気性生物の出現と多様化への前駆段階となった。
分類

地質時代先カンブリア時代[* 1][* 2]累代代紀[* 3]基底年代
Mya[* 4]
顕生代新生代66
中生代251.902
古生代541
原生代 新原生代エディアカラン635
クライオジェニアン720
トニアン1000
中原生代ステニアン1200
エクタシアン1400
カリミアン1600
古原生代スタテリアン1800
オロシリアン2050
リィアキアン2300
シデリアン2500
太古代(始生代)新太古代2800
中太古代3200
古太古代3600
原太古代4000
冥王代4600
^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
^ 基底年代の更新履歴
^ 顕生代は省略、太古代は無し
^ 百万年前

太古代はさらに4つに分類される[27]

冥王代との境界の年代値は公式には決まっておらず、暫定的な値として40億年前が使われている。この時代は放射年代測定による年代値ではなく、国際標準層序年代 (Global Standard Stratigraphic Age) による数値年代で定義されているため、年代数値に誤差は生じない[28]
原太古代 (Eoarchean)
太古代初期。40億年前(または38億年前)から36億年前。
古太古代 (Paleoarchean)
太古代前期。36億年前から32億年前。
中太古代 (Mesoarchean)
太古代中期。32億年前から28億年前。
新太古代 (Neoarchean)
太古代後期。28億年前から25億年前。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 大陸の面積には大陸棚を含む
^ 顕生代での時代の判定は「地球上の広い範囲で同時に認められる生物化石の変遷」を用いている。

出典^ 「地殻進化学」p33-34
^ a b “ ⇒地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2018年7月改訂版”. 地質系統・年代の日本語記述ガイドライン. 日本地質学会 (2018年8月7日). 2018年9月30日閲覧。
^ a b Battistuzzi FU, Hedges SB (February 2009). "A major clade of prokaryotes with ancient adaptations to life on land". Mol. Biol. Evol. 26 (2): 335?43.
^ 「地球進化論」p108
^ 川上・東條 (2009) p142
^ a b 「地殻進化学」p32
^ 「地殻進化学」 p30-31
^ 「地球進化概論」小嶋稔ら 岩波書店 2013年 p42
^ 「最新 地球史が良くわかる本」p136


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