印税には、発行印税と売上印税の2種類がある。出版物は通常、出版取次を通じて買戻条件付販売形態を採るので、両者には差異が生ずる。最近では、著者に有利とされる発行印税から、版元に有利とされる売上印税に移行しつつある。電子書籍で出版された場合は、上記とは異なる。 著作者の権利(著作権法21条 - 28条)を使用する対価として作詞家・作曲家・編曲家・音楽出版社等の著作者・著作権者に対して支払われる印税。日本音楽著作権協会(JASRAC)によって、レコード会社、テレビ局、ラジオ局、コンサート主催者、カラオケ事業者などの利用者から「著作権使用料」として徴収され、音楽出版社に分配された後、契約に応じて著作者・著作権者に支払われる。日本ではCDの場合は定価の6%、ライブの場合は定価の5%が一般的とされる[2]。2015年の総額は1117億円。うちライブ、カラオケ等の演奏権による徴収額は584億円。CD、DVD等の録音権による徴収額は322億円であった[3]。 レコード製作者の権利(著作権法96条 - 97条)を使用する対価としてレコード会社・音楽出版社・芸能プロダクション等のレコード製作者に対して支払われる印税。日本ではCDの場合は定価の12 - 16%、ライブの場合は定価の0%が一般的とされる[4]。二次使用については、日本レコード協会によって、テレビ局、ラジオ局などの利用者から「著作隣接権使用料」として徴収され、各権利者団体に分配された後、契約に応じてレコード製作者に支払われる。なお、レコード製作者は演奏権を有していないため、ライブ、カラオケ等の演奏権に関する使用料が分配される事はない。 実演家の権利(著作権法90条 - 95条)を使用する対価としてアーティスト・スタジオミュージシャン等の実演家に対して支払われる印税で、歌唱印税とも呼ばれる。日本ではCDの場合は定価の1%、ライブの場合は定価の0%が一般的とされる[4]。二次使用については、日本芸能実演家団体協議会によって、テレビ局、ラジオ局などの利用者から「著作隣接権使用料」として徴収され、各権利者団体に分配された後、契約に応じて実演家に支払われる。なお、実演家は演奏権を有していないため、ライブ、カラオケ等の演奏権に関する使用料が分配される事はない。
音楽
著作権印税
原盤印税
アーティスト印税
注釈[脚注の使い方]^ 通常の「税」(消費税など)は、「税抜き価格」に「税」を「上乗せ」して購入者に販売するが、印税は、販売額に「上乗せ」するものではない。また、工業製品の製造原価に、販売諸経費を「上乗せ」することに倣って、著作物制作で行った取材費用などを、販売諸経費として原価に「上乗せして」、販売価格の設定がされることは通常ない。実際には、印税は、単位あたり(例えば、1冊当たり、CD1枚あたり、ダウンロード1回あたり、放送1回あたりなど)の「ありがちな価格」を考慮して、その価格の一定割合とされることが多い。
^ 当然ながら、交渉は著者と出版社の力関係に左右される。(例外的ではあるが)著者の立場のほうが圧倒的に強い場合、自分の希望する「一定割合」に設定されないなら、他の出版社から出版することにする、などと交渉することで、「一定割合」が引き上げられることもある。
出典^ “ ⇒著作物使用料分配規程” (PDF). 日本音楽著作権協会. 2014年11月25日閲覧。
^ “ ⇒使用料規程” (PDF). 日本音楽著作権協会. 2014年11月25日閲覧。
^ “ ⇒2016年定例記者会見資料” (PDF). 日本音楽著作権協会. 2017年1月5日閲覧。
^ a b 『音楽主義』No.44(2011年)日本音楽制作者連盟
外部リンク
黒田俊太郎「『改造社印税率の記録』の概要とその意義」『三田國文』第44号、慶應義塾大学国文学研究室、2006年12月、105-142頁、doi:10.14991/002.20061200-0105