地下鉄やモノレール等では、暫定的に延伸した終着駅や、複線から単線に切替わる主要駅等においてトンネル構造などの理由で渡り線が設置出来ない場合があり、直近の渡り線が設置された駅から終着駅等までが単線並列となることがある。
過去に単線並列運転が行われた路線は、以下の例がある(駅名は渡り線のある駅 - 終着駅順)。
名古屋市営地下鉄名城線
市役所駅(現・名古屋城駅) - 栄町駅(現・栄駅)間(1965年 - 1967年)
東京地下鉄東西線
九段下駅 - 竹橋駅間(1966年)
都営地下鉄三田線
芝公園駅 - 三田駅間(1973年 - 2000年)
東京地下鉄有楽町線
有楽町駅 - 銀座一丁目駅間(1974年 - 1980年)
都営地下鉄新宿線
東大島駅 - 船堀駅間(1983年 - 1986年)
東京地下鉄南北線
市ケ谷駅 - 四ツ谷駅間(1996年 - 1997年)
都営地下鉄大江戸線
都庁前駅 - 新宿駅間(1997年 - 2000年)
成田空港第2ターミナルシャトルシステム
メインビル - サテライトビル間(1992年 - 2013年)
なお、同じ状況でも単線運転を行う場合もあり、需要などを考慮して決められる(単線の項目を参照)。また、工事や災害で渡り線の無い駅で折返す場合などに、一時的に単線並列運転を実施することもある。工事のため暫定的に単線並列運転を実施した例。回送列車が本来のA線を逆走している。 外苑前駅にて
双単線双単線の例(スイス)。左右の線路用にそれぞれ信号機がある
双単線とは線路が2本並んでいて両方の線路を複線として運行することも単線として運行することも出来るようにした配線をいう[1]。
アメリカやヨーロッパ、そして台湾では通常ダイヤでも追越に使われる上、トラブル、保線作業で単線運転する機会も多い。そのため、駅間にも渡り線や安全側線が10数kmごとに存在する。フランスのLGVでは数十kmごとに渡り線を配置する双単線を採用している[1]。フランスのTVMを採用した韓国高速鉄道や、台湾高速鉄道も欧州規格を採用しておりでは同様の双単線が採用されている[1]。
双単線にすることで一方の線路の整備を行いながら他方の線路を使って運行を継続することが可能となる[1]。トラブル等で1線がマヒした場合でも単線運転が可能となる。また、双単線では両方の線路に同じ方向の列車を通して複々線のように使用されることもある[1]。これにより通常時でも駅や信号場等の待避設備に寄らないで複々線のように双方共走行しながら追越すことも可能となり、性能や種別の異なる列車を共存させやすくなる。
一方、日本では運転間隔が稠密なため双単線は殆ど採用されていない[1]。日本のように列車本数が多い国では、駅間で追越や保線での単線運転は難しいため、アメリカやヨーロッパに比べると採用例が極めて少ない。ただし、日本でもATACSやCBTCなどの無線を用いた移動閉塞を導入する際に信号システムを単線並列運転に対応させる流れはある。
日本では以下のような例がある。
東日本旅客鉄道(JR東日本)上越線支線(上越新幹線)
越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅間
上越新幹線の保線基地への回送線が、信号システム上、単線並列として整備され、後にガーラ湯沢駅の設置により路線が旅客化された。
東日本旅客鉄道成田線(本線佐原方面・空港支線)
成田駅 - 成田線分岐点間(正式には全区間成田駅構内)
東海旅客鉄道(JR東海)中央新幹線[2]
九州旅客鉄道(JR九州)山陽本線
下関駅 - 門司駅間
関門トンネルの保守点検時間を確保するため。
西日本旅客鉄道(JR西日本)桜島線
西九条駅 - ユニバーサルシティ駅間
西日本旅客鉄道(JR西日本)湖西線
大津京駅 - 近江塩津駅間
2004年より機能停止中
東京地下鉄(東京メトロ)千代田線
綾瀬駅 - 北綾瀬駅間
同駅区間運転の営業線・回送線(北綾瀬駅構内にホームが無い)の2系統を兼ねている。
東京地下鉄(東京メトロ)丸ノ内線2022年度末のCBTC化の際に単線並列運転に対応させる予定。
出典^ a b c d e f g h 井上孝司『配線略図で広がる鉄の世界』p.40、2009年 ISBN 978-4-7980-2200-0