南極海
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

唯一の例外は南極大陸沿岸のロス島にあるアメリカマクマード基地であり、ここには1973年に港湾設備が建設され、以後は船がそのまま接岸できる世界最南の埠頭となっている[32]。この桟橋はによって建造され、氷の桟橋となっている。

南極海に船が向かう際は、周辺の大陸の大規模港湾を拠点として使用することがほとんどである。最も南極に近い大規模港湾であるアルゼンチンのウシュアイアやチリのプンタ・アレーナスといった南アメリカ大陸の港湾のほか、南アフリカ共和国ケープタウンや、オーストラリアのシドニーフリーマントルなどが拠点としてよく使用される。
観光

1990年代以降、南極海を周航、または南アメリカ大陸から南極半島各地を巡る観光クルーズ船が多数就航するようになり、多くの観光客が南極海を訪れるようになった。南極海クルーズの拠点となるのは、世界最南の都市と呼ばれるアルゼンチンのウシュアイアである。2007年には、こうしたクルーズ船はウシュアイアから50隻出発し、計2万9千人ほどがクルーズを利用した[33]。これらのクルーズ船のほとんどは南極半島付近に立ち寄り、常住者のいるキングジョージ島のビジャ・ラス・エストレージャスや、温泉の湧くデセプション島などを周遊する。

クルーズ船が多数就航されるに伴い事故も増加傾向にあり、2007年11月23日にはサウスシェトランド島沖で沈没事故が[34]、2008年12月4日には南極半島沖で座礁事故が発生した[35]
オーストラリアが主張する海域「オーストラリア南極領土」も参照

オーストラリアがIHO原案に反対しているため、海図上の南極海の範囲は公式には未確定である。IHO原案が南緯60度以南と定義しているのに対して、オーストラリアは自国領土のマクドナルド諸島(東経72°36′04″)とオーストラリア大陸最西端のルーウィン岬(英語版)を結ぶ線、および、マッコーリー島(東経158° 51′)とタスマニア島南端のサウス・イースト岬を結ぶ線の範囲内で南緯60度以北からオーストラリア大陸までを南極海の範囲に含めるよう要求している[36]
日本と南極海1949年に発行された捕鯨3円切手。左上に氷山らしきものが見える。「日本の捕鯨」も参照

日本の場合、同海域およびその周辺海域で母船式の商業捕鯨が行われていた時代(1934年-1941年、1947年-1987年)には、南極観測もあいまって、一般の日本人の関心も深く、ペンギン氷山などのイメージが広くあった。これは、当時の児童画などに上記のイメージの上で南極海が多く描かれたことなどでも窺える。しかし、商業捕鯨終了後はホエールウォッチングなどで、鯨の生息域といえば温暖な海域や、ベーリング海などの北半球の高緯度海域であるというイメージが強まり、南極海と鯨を結びつけるイメージは薄れた。加えて南極観測への関心も薄れ、南極海はかつてほど注目されていない。
ギャラリー

南極海の範囲。

南極海に存在する主要な棚氷の位置。

脚注^ “Geography - Southern Ocean”. CIA Factbook. 2012年7月16日閲覧。 “... the Southern Ocean has the unique distinction of being a large circumpolar body of water totally encircling the continent of Antarctica; this ring of water lies between 60 degrees south latitude and the coast of Antarctica and encompasses 360 degrees of longitude.”
^ “Introduction - Southern Ocean”. CIA Factbook. 2012年7月16日閲覧。 “...As such, the Southern Ocean is now the fourth largest of the world's five oceans (after the Pacific Ocean, Atlantic Ocean, and Indian Ocean, but larger than the Arctic Ocean).”
^ Pyne, Stephen J.; The Ice: A Journey to Antarctica. University of Washington Press, 1986. (A study of Antarctica's exploration, earth-sciences, icescape, esthetics, literature, and geopolitics)
^ Darby, Andrew (2003年12月22日). ⇒“Canberra all at sea over position of Southern Ocean”. The Age. ⇒http://www.theage.com.au/articles/2003/12/21/1071941610556.html 2013年1月13日閲覧。 
^ “ ⇒Indian Ocean”. Encyclopaedia Britannica. 2013年1月13日閲覧。
^ 「南極海 極限の海から」p11 永延幹男 集英社 2003年4月22日第1刷
^ 「世界地理12 両極・海洋」p50 福井英一郎編 朝倉書店 昭和58年9月10日
^ https://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/hakase/chiri/index.html 環境省 なんきょくキッズ「温泉はあるの?」 2015年3月21日閲覧
^ 「南極海 極限の海から」p41 永延幹男 集英社 2003年4月22日第1刷
^ https://www.afpbb.com/articles/-/2819185 「3.11の大津波で南極に巨大氷山、欧州研究」AFPBB 2011年08月10日 2015年3月19日閲覧
^ https://www.afpbb.com/articles/-/2869908 「南極半島のラーセンB棚氷、17年で85%縮小」AFPBB 2012年04月06日 2015年3月21日閲覧
^ “南極ウィルキンス棚氷、温暖化で大規模崩壊が進む”. AFPBB News (フランス通信社). (2008年3月29日). https://www.afpbb.com/articles/-/2369961?pid=2776383 2015年3月19日閲覧。 
^ AFPBB News「南極のウィルキンス棚氷、氷山への分解が進行 温暖化の影響」2009年4月29日 2015年3月19日閲覧
^ https://www.afpbb.com/articles/-/2950370 「南極の棚氷消失、最大の原因は「底面融解」 研究」AFPBB 2013年06月14日 2015年3月19日閲覧
^ 「南極海 極限の海から」p103-104 永延幹男 集英社 2003年4月22日第1刷


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:88 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef