協定世界時
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協定世界時を頭字語表記すると、英語は coordinated universal time[1] で “CUT”、フランス語は temps universel coordonne[1] で “TUC”、イタリア語は tempo coordinato universale[1] で “TCU” となり、言語毎の表記に差異が生ずるため、国際電気通信連合 (ITU) は共通の略称として “UTC” を定めた[10]。既存の世界時 (UT) の種類は UT のあとに数字を付してUT0、UT1などと表記され、“UTC” はこれらとも整合する。略称から逆成した : universal time coordinated, : universel temps coordonne など、非公式な表記[11]も一部に散見する。
同義語

協定世界時は、歴史的な理由から特定の分野で同義語として扱われるいくつかの用語が存在する。

GMT と Z は、航法通信の分野で UTC と同義語として認められる[12][13]子午線を1時間ごとの時刻差で英字一文字に対応させて東経を正数、西経を負数で表記すると、15=A、30=B、45=C、60=D、75=E、90=F、105=G、120=H、135=I、150=K、165=L、180=M、-15=N、-30=O、-45=P、-60=Q、-75=R、-90=S、-105=T、-120=U、-135=V、-150=W、-165=X、-180=Y、0=Z となる[14]本初子午線を中心とする時間帯は(Z) で表され、通信で通話表の文字 Z に使用する語は Zulu であることから[15]「UTC」を「Z時」や “Zulu time” と表すことがある。

時刻の最大精度整数秒で扱う場合はGMTと世界時 (UT) はUTC の意味で使用され、GMTはUTCまたはUTに置換して表す[16][17]
国際原子時との関係詳細は「国際原子時」を参照

国際原子時は、1970年国際度量衡委員会 (CIPM) が定義した時刻系である。「国際単位系における時間の単位であるの定義に従い、いくつかの機関で運転されている原子時計の指示値に基づき国際報時局 (BIH) が定める基準となる時刻の座標」と定義されている[18]1988年からは、それまでの国際報時局に代わり国際度量衡局1972年以降の協定世界時が国際原子時に完全同調する歩度で整数秒差を維持するように管理している[19][20][12][13]

国際原子時の起点は、世界時 UT2 の1958年1月1日0時0分0秒である[注釈 4][21]。各国毎の現示は時間に関する国立研究所などが実施し、原子時計データを国際度量衡局へ送信して国際的な時刻目盛の算出に参加している[2]
世界時および調整詳細は「閏秒」および「地球の自転」を参照

UT1 世界時は各国天文台の地球自転観測データをもとに国際地球回転・基準系事業が定め[22][23]、地球の自転周期はおよそ10年周期の長短とミリ秒単位の不規則さで変動しているが、協定世界時は1972年以降、国際原子時と整数秒差を維持しつつ UT1 世界時と近似的一致を保証するため、秒を挿入または除去する閏秒調整を導入し[12][13][4]、偏差0.9秒[注釈 5]以内[24][4]に収めるべく、国際地球回転観測事業中央局が ΔUT1 (UT1-UTC) の予測値に基づき定めている[22][23]2018年1月現在、協定世界時は国際原子時から正確に37秒だけ遅れている。
旧協定世界時の調整詳細は「#旧協定世界時」を参照

1971年まで使われた旧協定世界時 (UTC) は、公認されたセシウム原子の振動数を F0 とし、周波数や秒間隔を F = F 0 × ( 1 + s ) {\displaystyle F=F_{0}\times (1+s)} そのオフセット値「50 × n × 10?10、n は整数」を s で定め、 歩度をできるだけ変更せずに UT2 世界時と近似的な一致を得るため F を1年間固定[25][26]していた。UT2 世界時と 0.1 秒以上の差を生じたときは月の1日0時 (UT) に 0.1 秒のステップ調整を実施し、オフセット及び秒信号の修正量と時期は国際報時局 (BIH)[注釈 6]が関係天文台と協議して定めていた[27][26]

標準電波で発射される報時信号は搬送波位相同期[28][26](CCIR勧告460[29])しており周波数は時間逆数で表されるため周波数オフセットは時間を時刻に合わせる手段となることから、周波数を基準値から故意に遷移させて積算した時刻信号の歩度を UT2 世界時の歩度に近似させた[30]。UT2 世界時は UT1 世界時の既知の季節変動を補正して平滑化したものだが地球自転の角速度は不規則に変動し、歩度を1年間一定にする旧協定世界時 (UTC) との差を月初に0.1秒単位でステップ調整した[27][26]
歴史
旧協定世界時

旧協定世界時 (UTC) は標準電波の報時信号を同期する国際協定に基づき1960年頃から試験的に運用され、1961年1月1日に制度を開始し、1964年1月1日から正式に採用されて1971年末まで[31][28][32]使用された。

1950年代セシウム原子時計が実用化され、標準電波の周波数は原子周波数標準器を基準とし、時刻は地球の自転に基づく UT2 世界時を基準とする報時信号が発射されていた[33]が各国の報時機関がそれぞれ独立に発射して相互に無関係[34]だった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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