協定世界時
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周波数オフセットは国際天文学連合が毎年決定することが採択された[39][38]

本報時方式は1960年頃からアメリカとイギリスが試験的に開始し、日本フランススイスカナダなど数ヶ国が国際無線通信諮問委員会 (CCIR) や国際天文学連合による正式な採択を待たず順次実施[28]した。日本は郵政省電波研究所 (RRL)JJYで1961年9月から実施[40][41]している。

1963年国際無線通信諮問委員会第10回総会の議決[33]後、1964年国際天文学連合第12回総会で、報時は世界時に近似するよう1年間一定の周波数オフセット(50 × n × 10?10、n は整数)とし、世界時と 0.1 秒以上の差を生じたときは月の1日0時UTに 0.1 秒のステップ調整を実施し、オフセット及び秒信号の修正の量と時期は国際報時局 (BIH)が関係天文台と協議の上で決定して報時信号を国際的に同期する、旧協定世界時 (UTC) 方式が、多くの国は勧告実施に設備と研究を要するため議論の末[41]に勧告[27][26]された。

原子周波数標準器を保有しない国々は協定世界時の保時が不可能で、西ドイツは独特の形式での報時を継続し、ソビエト連邦はステップ調整を 0.05 の幅で実施するなど、旧協定世界時 (UTC) の報時方式は国際的同一歩調ではなかったが、1967年国際天文学連合第13回総会で方式変更要求の意見が見られるも、利用者がようやく習熟しつつあり、ソビエト代表が 0.1 秒のステップ調整ならば同調可能と言明し、継続が決まる[42][43]
協定世界時の改善

1967年 - 1968年の第13回国際度量衡総会 (CGPM) でセシウム原子周波数標準に基づくSI秒の定義が採択され[44]物理学計測の関係者を中心に旧協定世界時の周波数オフセット廃止意見が増加[30]する。

旧協定世界時は運用が煩雑で1秒の刻みも一様でないなどの不都合から、1970年国際天文学連合第14回総会で旧協定世界時の大幅な改善策が決議されて周波数オフセットの廃止、閏秒の導入、協定世界時と国際原子時との差 (TAI-UTC) を整数秒とすること、少なくとも 0.1 秒精度で UT1 世界時を求めることができる情報として DUT1(UTCとUT1の差) を標準電波の報時信号に含めることなどが勧告される[12][13]

1971年国際無線通信諮問委員会中間会議で、細部の具体策を含め現行の協定世界時が決定され、TAI-UTC を整数にする特別調整を含めて1972年1月1日0時0分0秒UTC(1972年1月1日0時0分10秒 (TAI))から実施された。閏秒調整日は1月1日または7月1日で、協定世界時は UT1 世界時と差が 0.7 秒を超えぬように国際報時局で調整・管理され、以後世界時 (UT0, UT1, UT2)、暦表時 (ET)、国際原子時が協定世界時を仲介して結ばれる[45]

旧協定世界時のステップ調整は UT2 基準だが閏秒調整は UT1 基準である。これは UT1 が地球の自転角度そのものを示し UT2 は平滑化したもので測地天測航法には UT1 の方がより直接的に利用できるからである[46]

国際無線通信諮問委員会が決議した標準電波の時刻の基準は、旧協定世界時までは UT2 が基準だが現行協定世界時採択時に UTC 基準へ変更[33]された。

1973年国際天文学連合第15回総会で協定世界時の管理規則改訂が決議され、UT1-UTC の許容差を ±0.7 秒以内から ±0.950 秒へDUT1の最大値を0.9秒にとどめるために拡大する、閏秒の実施時期を追加することが勧告[47][24]される。1974年3月国際無線通信諮問委員会会議で協定世界時の運用規則(CCIR勧告460[3]、現 ITU-R勧告TF.460[4])が改訂され、UTC-UT1 の絶対値の許容限界を 0.9 秒以内に広げること、時刻調整の閏秒実施予定日を従来の協定世界時6月末および12月末を第一優先、3月末と9月末を第二優先として加えること、が1975年1月1日から実施[48]された。
協定世界時に基づく標準時の推奨

1973年国際天文学連合第15回総会において、第4委員会()と第31委員会(時)の共同決議第1号(1973年8月採択25)で、SI秒に基づく単一の世界的に協調された時計の時間が望まれること、協定世界時からSI秒に基づく国際原子時を得ることが一般的に可能であること、および、UTC標準電波が航法測量で必要とされる精度の平均太陽時を直接的に提供することを考慮し、すべての国の標準時の通報のための基礎として、UTC を採用することが勧告された[24]

1975年第15回国際度量衡総会では、「協定世界時」と称される時系が、極めて広く使用され、多くの場合報時発信局によって放送され、放送が利用者に対して同時に標準周波数、国際原子時及び近似的な一つの世界時(又は平均太陽時としてもよい)を提供していることを考慮し、この協定世界時が、多くの国で法定常用時の基礎となっていることを確認し、この使用が十分に推奨に値するものであると評価することが決議された[49][50]
IERSの設立と国際度量衡局への移管

1985年国際天文学連合第19回総会において、それまで協定世界時 (UTC) を管理してきた国際報時局 (BIH) を廃止して、国際地球回転観測事業(IERS、現国際地球回転・基準系事業)を1988年1月から発足させることになる。そして、国際報時局 (BIH) が管理していた国際原子時 (TAI) を国際度量衡局 (BIPM) に移管すること認め、新組織の国際地球回転観測事業 (IERS) の中央局が世界各地の観測値をもとに、ΔUT1 (UT1-UTC) や極運動を決め、閏秒の決定も行うことになった[22][23]

1988年からは、国際報時局が行っていた、国際原子時や協定世界時などの原子時計や標準周波数に関する業務は国際度量衡局 (BIPM) が責任を持つことになり、国際度量衡局 (BIPM) が世界各国の関係機関が管理する原子時計のデータから、国際原子時や協定世界時を決定し維持管理するようになる[19][20]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 本来は「調整された世界時(調整世界時)」の意だが、多数の国で法定常用時の基礎に採られており、日本語では意訳した「協定世界時」が定訳となっている。
^ 国際原子時に調整を加えて作られた世界時で、国際協定に基づき人為的に維持されている時刻系である。
^ 秒の間隔。
^ SI秒は「基底状態にある2つのセシウム133原子超微細準位遷移に対応する放射周期の9192631770倍に等しい時間」との定義1967年国際度量衡総会で議決された。
^ 1975年改訂。
^ 現国際地球回転・基準系事業。


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