協定世界時
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1988年からは、それまでの国際報時局に代わり国際度量衡局1972年以降の協定世界時が国際原子時に完全同調する歩度で整数秒差を維持するように管理している[19][20][12][13]

国際原子時の起点は、世界時 UT2 の1958年1月1日0時0分0秒である[注釈 4][21]。各国毎の現示は時間に関する国立研究所などが実施し、原子時計データを国際度量衡局へ送信して国際的な時刻目盛の算出に参加している[2]
世界時および調整詳細は「閏秒」および「地球の自転」を参照

UT1 世界時は各国天文台の地球自転観測データをもとに国際地球回転・基準系事業が定め[22][23]、地球の自転周期はおよそ10年周期の長短とミリ秒単位の不規則さで変動しているが、協定世界時は1972年以降、国際原子時と整数秒差を維持しつつ UT1 世界時と近似的一致を保証するため、秒を挿入または除去する閏秒調整を導入し[12][13][4]、偏差0.9秒[注釈 5]以内[24][4]に収めるべく、国際地球回転観測事業中央局が ΔUT1 (UT1-UTC) の予測値に基づき定めている[22][23]2018年1月現在、協定世界時は国際原子時から正確に37秒だけ遅れている。
旧協定世界時の調整詳細は「#旧協定世界時」を参照

1971年まで使われた旧協定世界時 (UTC) は、公認されたセシウム原子の振動数を F0 とし、周波数や秒間隔を F = F 0 × ( 1 + s ) {\displaystyle F=F_{0}\times (1+s)} そのオフセット値「50 × n × 10?10、n は整数」を s で定め、 歩度をできるだけ変更せずに UT2 世界時と近似的な一致を得るため F を1年間固定[25][26]していた。UT2 世界時と 0.1 秒以上の差を生じたときは月の1日0時 (UT) に 0.1 秒のステップ調整を実施し、オフセット及び秒信号の修正量と時期は国際報時局 (BIH)[注釈 6]が関係天文台と協議して定めていた[27][26]

標準電波で発射される報時信号は搬送波位相同期[28][26](CCIR勧告460[29])しており周波数は時間逆数で表されるため周波数オフセットは時間を時刻に合わせる手段となることから、周波数を基準値から故意に遷移させて積算した時刻信号の歩度を UT2 世界時の歩度に近似させた[30]。UT2 世界時は UT1 世界時の既知の季節変動を補正して平滑化したものだが地球自転の角速度は不規則に変動し、歩度を1年間一定にする旧協定世界時 (UTC) との差を月初に0.1秒単位でステップ調整した[27][26]
歴史
旧協定世界時

旧協定世界時 (UTC) は標準電波の報時信号を同期する国際協定に基づき1960年頃から試験的に運用され、1961年1月1日に制度を開始し、1964年1月1日から正式に採用されて1971年末まで[31][28][32]使用された。

1950年代セシウム原子時計が実用化され、標準電波の周波数は原子周波数標準器を基準とし、時刻は地球の自転に基づく UT2 世界時を基準とする報時信号が発射されていた[33]が各国の報時機関がそれぞれ独立に発射して相互に無関係[34]だった。人工衛星の国際観測が興隆し、世界のデータを整約するため国際的な統一方法で UT2 の時刻利用が強く望まれ、1959年アメリカ合衆国イギリスを中心に標準電波の周波数や報時信号の同期を合議して報時信号は ±1 ms、標準周波数は ±1×10?10 を目標に同期[31]を図った。

旧協定世界時の周波数オフセットとステップ調整[35][36]年月日オフセット値 (×10?10)ステップ調整 (s)
1960?150なし
1961-01-01?150なし
1961-08-01?150+0.050
1962-01-01?130なし
1963-01-01?130なし
1963-11-01?130?0.100
1964-01-01?150なし
1964-04-01?150?0.100
1964-09-01?150?0.100
1965-01-01?150?0.100
1965-03-01?150?0.100
1965-07-01?150?0.100
1965-09-01?150?0.100
1966-01-01?300なし
1967-01-01?300なし
1968-01-01?300なし
1968-02-01?300+0.100
1969-01-01?300なし
1970-01-01?300なし
1971-01-01?300なし

1960年国際電波科学連合 (URSI) 第13回総会や1961年国際天文学連合 (IAU) 第11回総会で報時信号の国際同期に関する問題が討議され具体化され、セシウム原子振動標準の周波数 (9192631770 Hz) が公認[37][38]される。

天測航法測地、人工衛星観測などは地球の自転に基づく世界時を要するが、物理学などは時間単位だけが必要で世界時は不適当であることから、標準電波の周波数は原子時に基づき、時刻は世界時に基づくものになり、公認されたセシウム原子の振動数を F0 とすると、周波数や秒間隔は F = F 0 × ( 1 + s ) {\displaystyle F=F_{0}\times (1+s)} で決定し F は1年間固定する。 s はオフセット値で1960年は ?150×10^?10 だった。本方式は標準時計の歩度が1年間固定され、地球自転の角速度は不規則に変動し、報時される時刻は世界時に差が生じるため世界時との差は月初に 50 ms [注釈 7]単位でステップ調整した。周波数オフセットは国際天文学連合が毎年決定することが採択された[39][38]

本報時方式は1960年頃からアメリカとイギリスが試験的に開始し、日本フランススイスカナダなど数ヶ国が国際無線通信諮問委員会 (CCIR) や国際天文学連合による正式な採択を待たず順次実施[28]した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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