ロマン派の時代になると、より自由な形式になっていった。一方で、18世紀中頃まではテレマン、ヴィヴァルディ、ハイドン、モーツァルトなどがさまざまな楽器のために協奏曲を作曲したものの、ロマン派の時代には名技性への関心の高まりから、必然的にピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲に創作が集中するようになった。これらの楽器ほど、高度な表現力や優秀な演奏家に恵まれなかった他の楽器には、協奏曲が作られることはあまりなかった。また標題音楽が盛んになった時代でも協奏曲が標題を持つことは滅多になかった。
ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」はヴィオラ協奏曲の一種、ダンディの「フランス山人の歌による交響曲」はピアノ協奏曲の一種と考えられるなど、境界的な作品もある。なお、ラロの「スペイン交響曲」は、形式こそ変則的であるが事実上ヴァイオリン協奏曲である。
ピアノ1台で協奏曲的な効果を出そうと試みた作曲家も現れた。シューマンの「管弦楽のない協奏曲」(ピアノソナタ第3番 op.14の初版時の題名)やアルカンの「ピアノ独奏のための協奏曲」(短調による12の練習曲 op.39より第8 - 10曲)などである。この試みは20世紀になって再評価され、マイケル・フィニスィーなどが復活させた。 20世紀になると、演奏技法や楽器の改良によって楽器の表現力が豊かになり、いろいろな楽器のための協奏曲が盛んに作曲されるようになった。打楽器やコントラバスのように、独奏楽器として用いられることが多くない楽器にも、あるいはギターやサクソフォーンのようにオーケストラでほとんど用いられることのない楽器にも、光が当たるようになる。またグリエールのように、独奏楽器の代わりに声楽を用いる者(コロラトゥーラ・ソプラノ協奏曲)などがあり、その外、笙(Cheng)、琵琶(Pipa)、三味線、シタール、サロード、ガムラン、バンジョー、アフリカの太鼓などの世界各地の民族楽器や、近代以降に発明された新しい楽器(オンド・マルトノ、エレクトリック・ギター、ウォーター・パーカッションなど)を使ったものも生まれてくる。 更に、伴奏の面でもジャズ・ビッグ・バンドによる伴奏、吹奏楽による伴奏、弦楽合奏による伴奏、室内アンサンブルによる伴奏などさまざまなものがある。日本の一部の作曲家のように、和楽器のみ(つまり独奏和楽器と和楽器群)による協奏曲を手がける者も現れた。 オーケストラの中で個別にさまざまな楽器が活躍する管弦楽のための協奏曲というジャンルが、ヒンデミットによって生み出されたが、これはバロック時代の合奏協奏曲を現代管弦楽に蘇らせたものだといえる。後にバルトーク、コダーイ、ルトスワフスキらによって一大分野に発展した。
多様化した協奏曲
代表的作品
Wikibooksの鑑賞の手引き
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Vivaldi Spring mvt 1: Allegroアントニオ・ヴィヴァルディの「四季」から。John Harrison, Violin
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主な協奏曲の作曲家
バロック時代
コレッリ - 作品6『コンチェルト・グロッソ集』(1,712年献呈、1714年出版)
トレッリ - 作品6『4声のヴァイオリンのための協奏曲』(1698年)
ヴィヴァルディ - 協奏曲 作品3『調和の霊感』、作品8『和声と創意の試み』(『四季』を含む)、作品9『ラ・チェトラ』、作品10『フルート協奏曲集』(「海の嵐」「夜」「ごしきひわ」を含む全6曲)、マンドリン協奏曲、ヴィオラ・ダモーレ協奏曲など
ヘンデル - ハープ協奏曲、オルガン協奏曲(作品4、作品7)