卓球はやがて、1988年のソウルオリンピックよりオリンピック競技ともなった。その一方で、約100年の歴史をもつITTFも、エンターテイメント性の高い興行であるWTT[注釈 13][21]への移行を推進するなど、より一層の普及を図っており、今なお世界的に多分野・多方面への広がりをみせているスポーツである[注釈 14]。 ここでは特に断りが無い限り、ITTFによる標準ルールのうち、非身体障害者による競技を想定したシングルス(1名対1名の試合)の規定について説明する。(他のルールについては以下の記事、節を参照) ここではルールの理解に必要な最低限の用具の規定を概説する(詳細は用具節内の各説明を参照)。 卓球台(台、テーブルとも)は平らな上面(プレーイングサーフェス; 奥行2.74 m・幅1.525 mの長方形)をもつ塗装された木製の板である(⇒#卓球台)[注釈 15]。プレーイングサーフェスは、競技場の床から76 cmの高さに設置されており、短辺をエンド、長辺をサイドとそれぞれ呼ぶ[注釈 16][22][23]。プレーイングサーフェスは、エンドに平行なネットによって2つのコートに等分されている。試合で対戦する各プレーヤーは、それぞれのエンドのコートにつき、ネットをはさんで向かい合う[注釈 17][24]。ネットはプレーイングサーフェスから15.25 cmの高さとなるよう、2つの支柱によって張られている(ネットと支柱を合わせてネットアセンブリと呼ぶ)[注釈 18][25]。標準ボール(単にボールとも)は直径40 mmの、重量2.7 gのプラスチック製の球であり、光沢のない白色か橙色のものを用いる(⇒#ボール)[26][27]。ラケットは木製のブレードにラバーを貼った用具であり、プレーヤーはラバーの面を用いて打球する(⇒#ラケット、#ブレード、#ラバー)[注釈 19]。 卓球の試合は奇数のゲームから構成され[28]、たとえば、最大で7ゲームを行う試合は「7ゲームマッチ」と呼ばれる。各ゲームは、両プレーヤーとも0点(0-0)のポイントスコア(単にスコア、得点とも)からスタートする。ゲームにおいてプレーヤーは、サービスから始まるラリー[29](ラケットによる相手コートへのボールの打ち合い)を行い、ラリーにおいて以下の要件を満たすことでポイントスコアを得る[30][注釈 20]。 ひとつのラリーが終わったら、得点者の確認後、同様に次のラリーを行う。これを繰り返して11点を先取したプレーヤーが、ゲームの勝者となる[注釈 24][32]。 ひとつのゲームが終了すると、ゲームの勝者にゲームスコアが1つ与えられて、次のゲームを同様に行う[注釈 25]。このようにゲームを繰り返して行い、規定のゲームスコア数(最大ゲーム数の過半数)を先取したプレーヤーが、その時点で試合の勝者となる。たとえば、7ゲームマッチでは4ゲームの先取で試合の勝者となる[注釈 26]。 以下に、本概要で述べた試合の手順・規定について詳細を示す。 試合[注釈 27]の実施に先立って、挨拶、審判とプレーヤーの3者で試合に用いるラケットの確認[33]及びコイントスを行う。コイントスの結果によって、試合開始時のサービス実施者や使用エンド(コート)等の諸条件を定める[注釈 28][34][35](日本では、コイントスに代えて、くじやじゃんけん (拳)の実施も行われる[23])。つづけて、プレーヤー間で2分以内のラリー練習を行う[注釈 29][36]。 試合は第1ゲームから始まる。各ゲームでは、勝者が決まるまで、ラリー(サービス、レシーブと以降のリターン)によるポイントスコアの獲り合いを以下の通り行う。
ルール
ダブルス (標準ルール): 2名のペア同士の試合
ラージボール卓球: ラージボールを使用する競技
パラ卓球、車いすの部: 障害者を想定した競技
用具規定プレーイングサーフェスが青く塗装された卓球台。高さ(Height)、奥行き(Length)、幅(Width)のほか、ネットの構造も詳細に規定されている。
試合進行
試合の概要7ゲームマッチのシングルスの試合の様子。奥の電光掲示板に試合の進行状況が表示されている。ゲームスコアは3-3であり、第7ゲームまで進行している。現在のゲームのポイントスコアは6-7であり、このゲームの勝者が試合の勝者となる。なお、サービスを行うのは"LIN Yun-Ju"であり(氏名のハイライト表示)、両プレーヤーがタイムアウトの権利を行使済みである("T"の表示)。
正規のサービスに失敗した場合は、相手の得点(1点)となる。[注釈 21]
相手コートへの正規の返球(リターン)に失敗した場合は、相手の得点(1点)となる。[31][注釈 22][注釈 23]
試合開始前
ラリー
サービス
サービスの様子。サービスにおいて、ボールや身体の位置には厳格なルールが定められている(写真はアレクサンダー・シバエフによるサービスで、ボールを投げ上げた直後のもの)ゲームにおけるラリー[注釈 30]は、サービス(第一球目の打球)によって始まる。コイントス等によりサービスを行うプレーヤー(サーバー)となった者は、次の手順に従ってサービスを行わなければならない[37]。
ラケットを持っていない手(フリーハンド)の手のひらの上にボールを静止させる。[注釈 31][38]
フリーハンドでボールを16 cm以上の高さに投げ上げる。[注釈 32][39]
このボールが上昇をやめて落ちてくるところを、サーバーはラケットによって打球する。[注釈 33]
サービスの打球は、まず自分のコートで1度だけバウンドし、次にネットの上を越えて、さらに相手のコートにバウンドしなくてはならない[40]。 以上の手順でサービスを行えなかった場合は、サービスの失敗とみなされ、サーバーの失点(相手プレーヤーに1点の得点)となる。
サービスにおけるレット
上記の手順通りにサービスを実施して相手のコートに打球が触れた場合であっても、ネットを越える際に、ネットに打球が接触していた場合は、審判から即座にレットを宣告される。レットの宣告時は、いずれのプレーヤーの得点ともならず、同プレーの再試行となる[注釈 34][41]。ただし、上記の手順通りでなかった場合(相手のコートに打球が接触しなかった場合等)は、打球のネットへの接触の有無にかかわらず、サービスのミス(相手プレーヤーに1点の得点)となる。
その他のサービスの規定
サービスをするときには、サーバーはボールを投げ上げたのち速やかに、ボールとネットの間の領域からフリーハンドを退けなくてはならない[42]。サーバーの身体等[注釈 35]によっても、打球時のボールを相手プレーヤーから視覚的に隠してはならない[43]。審判は、プレーヤーのサービスが規定を満たしているか注意深く観察し、違反行為に対しては注意や失点を与える[注釈 36]。
レシーブ
レシーブの様子(写真は早田ひなのチキータによるレシーブ)コイントス等によりレシーバーとなったプレーヤーは、相手プレーヤーのサービスに対するレシーブ(第二球目の打球)を、以下の手順で行わなければならない[44]。
Size:461 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef