千年女優
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2004年2月、『Cinefantastique』は、このアニメを「10 Essential Animations(10本の最重要アニメーション)」の1つに挙げ、「アニメの新たな成熟を象徴しており、40年間の技術的な成果が、感情的に豊かなストーリーのためについに全面的に投入された」と述べた[5]

2014年のイギリスの名門映画雑誌『トータルフィルム』による歴代アニメーション映画ベスト75に、『パーフェクトブルー』(1997)、『千年女優』(2002)、『東京ゴッドファーザーズ』(2003)と3つも今敏作品をラインアップした[6]
受賞歴

第5回
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞(『千と千尋の神隠し』と同時受賞)

第6回ファンタジア国際映画祭・最優秀アニメーション作品賞&芸術的革新賞

第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭・最優秀アジア映画作品賞

2003年度東京アニメアワード・劇場映画部門最優秀作品賞

第57回毎日映画コンクール・大藤信郎賞

第8回アニメーション神戸作品賞・劇場部門

制作

『千年女優』は前作『パーフェクトブルー』で高い評価を得た今敏監督の二作目の映画で、初のオリジナル作品[7][8]丸山正雄が企画を、真木太郎がプロデューサーを務めた[9]

今作の企画は、前作を見てプロデュースすることになった真木太郎の「騙し絵みたいな映画を作ろう」という一言から生まれた[7][10]。脚本作りは、今が思い付いた「かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っているはずが、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく。」という一文から始まった。この一文をもとに今が肉付けして書いた大まかなプロットが原案となり、この段階で物語の最初と最後を形作る構成は決まった[8]。この時点で映画のラストシーンがイメージされ、完成した映画にそのまま残っている[11]。そしてシナリオライターの村井さだゆきやプロデューサーも交えてそのプロットの中に盛り込むエピソードや細かな人物設定などを膨らませて行った[11]

「元々あった企画を料理する」という雇われ監督的な面があった前作と違い、オリジナル企画である今作では自分の意見を言うことが出来たため、音関係、特に音楽に比重を置いて製作に挑むことに決めた。そこで、かねてからファンであった平沢進に音楽を依頼した[12]

スタッフは総勢250人ほどで、製作期間は約2年間[11]。20人ほどのメインスタッフの顔ぶれはほとんど前作と同じで、その中で作画監督だけが変わっている。『パーフェクトブルー』ではキャラクターデザイン江口寿史、作画監督は濱洲英喜だったが、本作ではキャラクターデザインと作画監督に本田雄が起用された[12]。これは、作画監督は非常に重要なポジションで負荷がかかる立場でもあり、また今が作画監督を頼みたいと思うような技量や能力を持ったアニメーターは得てして作監よりも原画を描く事を好む人が多いので、続けて依頼するのは難しいという事情があるためである[12]。またキャラクターデザインも、「アニメ絵」というだけで一般の人々には眉をひそめられる傾向があるので、アニメーション映画を一部のファンだけのものでは終わらせないために、「上品で押しつけがましくない絵を描き、純粋にアニメ業界の中で才能を持つ人を」ということで本田が選ばれた[12]。また一部のキャラクターデザインは今自身が手掛け、劇中に登場する千代子のポスターも今が描いている[13]

本作はセルアニメで作られ、ほとんどが今のレイアウトを基に作画されている[13]

予算は当初、1億3千万円で、最終的には1億数千万円という日本の劇場アニメーション作品としては最低ランクの制作費で作られた[14]

北米でもドリームワークス系のゴー・フィッシュ・ピクチャーズの配給で2003年9月12日に公開され、劇場数は6スクリーン、興行収入は3万7641ドルだった[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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