千年女優
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声 - 津嘉山正種官憲。左の頬に傷がある男。思想犯の取締りを担当し、鍵の君を付け狙う。幻想世界では、千代子と鍵の君を引き裂く役として登場する。
スタッフ

原案・脚本・キャラクターデザイン・監督:
今敏

脚本:村井さだゆき

演出:松尾衡

キャラクターデザイン・作画監督:本田雄

作画監督:井上俊之濱洲英喜小西賢一、古屋勝悟

美術監督:池信孝

色彩設計:橋本賢

撮影監督:白井久男

編集:寺内聡

音響監督:三間雅文

音楽:平沢進

制作プロデューサー:岩瀬安輝、諸澤昌男

プロデューサー:真木太郎

制作:ジェンコマッドハウス

配給:クロックワークス

製作:「千年女優」製作委員会(角川書店WOWOW、クロックワークス、バンダイビジュアル、ジェンコ)

キャスト

藤原千代子(70代):
莊司美代子

藤原千代子(20?40代):小山茉美

藤原千代子(10?20代):折笠富美子

立花源也:飯塚昭三

立花源也(青年期):佐藤政道

井田恭二:小野坂昌也

島尾詠子:津田匠子

大滝諄一:鈴置洋孝

美濃:片岡富枝

番頭:石森達幸

銀映専務:徳丸完

藤原千代子の母:京田尚子

鍵の君:山寺宏一

傷の男:津嘉山正種

その他:小形満麻生智久遊佐浩二肥後誠坂口候一志村知幸木村亜希子サエキトモ野島裕史浅野るり、大中寛子、園部好徳大黒優美子

主題歌
ロタティオン[LOTUS-2]
作詞・作曲・編曲:平沢進
反響

プロデューサーを務めた丸山正雄は、今敏の映画作品で最高傑作であるとしている[1]

本作は批評家から好意的に受け入れられ、Rotten Tomatoesでは93%の「フレッシュ」評価を得た[2]

ロサンゼルス・タイムズ』の批評家、ケネス・トゥーランはこの映画について、「映画が私たちの個人的、集団的な潜在意識の中にある場所を熟考することで、『千年女優』は映画という物がこれまであまり行ったことのない領域の魅力的に踏み込んでいる」と述べている[3]。『シカゴ・トリビューン』のケビン・M・ウィリアムズは、この映画に4つ星をつけ、「映画芸術の作品だ。これは現代日本のアニメーションの最高傑作だ(中略)アニメーションだが、人間的であり、深く愛したことのある人の魂に響くだろう」と感想を述べた[4]

2004年2月、『Cinefantastique』は、このアニメを「10 Essential Animations(10本の最重要アニメーション)」の1つに挙げ、「アニメの新たな成熟を象徴しており、40年間の技術的な成果が、感情的に豊かなストーリーのためについに全面的に投入された」と述べた[5]

2014年のイギリスの名門映画雑誌『トータルフィルム』による歴代アニメーション映画ベスト75に、『パーフェクトブルー』(1997)、『千年女優』(2002)、『東京ゴッドファーザーズ』(2003)と3つも今敏作品をラインアップした[6]
受賞歴

第5回
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞(『千と千尋の神隠し』と同時受賞)

第6回ファンタジア国際映画祭・最優秀アニメーション作品賞&芸術的革新賞

第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭・最優秀アジア映画作品賞

2003年度東京アニメアワード・劇場映画部門最優秀作品賞

第57回毎日映画コンクール・大藤信郎賞

第8回アニメーション神戸作品賞・劇場部門

制作

『千年女優』は前作『パーフェクトブルー』で高い評価を得た今敏監督の二作目の映画で、初のオリジナル作品[7][8]丸山正雄が企画を、真木太郎がプロデューサーを務めた[9]

今作の企画は、前作を見てプロデュースすることになった真木太郎の「騙し絵みたいな映画を作ろう」という一言から生まれた[7][10]。脚本作りは、今が思い付いた「かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っているはずが、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく。」という一文から始まった。この一文をもとに今が肉付けして書いた大まかなプロットが原案となり、この段階で物語の最初と最後を形作る構成は決まった[8]。この時点で映画のラストシーンがイメージされ、完成した映画にそのまま残っている[11]。そしてシナリオライターの村井さだゆきやプロデューサーも交えてそのプロットの中に盛り込むエピソードや細かな人物設定などを膨らませて行った[11]

「元々あった企画を料理する」という雇われ監督的な面があった前作と違い、オリジナル企画である今作では自分の意見を言うことが出来たため、音関係、特に音楽に比重を置いて製作に挑むことに決めた。そこで、かねてからファンであった平沢進に音楽を依頼した[12]

スタッフは総勢250人ほどで、製作期間は約2年間[11]。20人ほどのメインスタッフの顔ぶれはほとんど前作と同じで、その中で作画監督だけが変わっている。『パーフェクトブルー』ではキャラクターデザイン江口寿史、作画監督は濱洲英喜だったが、本作ではキャラクターデザインと作画監督に本田雄が起用された[12]。これは、作画監督は非常に重要なポジションで負荷がかかる立場でもあり、また今が作画監督を頼みたいと思うような技量や能力を持ったアニメーターは得てして作監よりも原画を描く事を好む人が多いので、続けて依頼するのは難しいという事情があるためである[12]。またキャラクターデザインも、「アニメ絵」というだけで一般の人々には眉をひそめらる傾向があるので、アニメーション映画を一部のファンだけのものでは終わらせないために、「上品で押しつけがましくない絵を描き、純粋にアニメ業界の中で才能を持つ人を」ということで本田が選ばれた[12]。また一部のキャラクターデザインは今自身が手掛け、劇中に登場する千代子のポスターも今が描いている[13]

本作はセルアニメで作られ、ほとんどが今のレイアウトを基に作画されている[13]

予算は当初、1億3千万円で、最終的には1億数千万円という日本の劇場アニメーション作品としては最低ランクの制作費で作られた[14]

北米でもドリームワークス系のゴー・フィッシュ・ピクチャーズの配給で2003年9月12日に公開され、劇場数は6スクリーン、興行収入は3万7641ドルだった[15]。公開規模は決して大きくないが、日本の劇場アニメの米国公開がまだ難しい時代であり、今の才能を知らしめるのには大きな役割を果たした[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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