医薬品
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第三類医薬品 リスクが比較的低く、登録販売者も販売が可能で、販売時に利用者へ書面の交付は不要[9]である。



食薬区分

食品成分の薬理作用から疾病予防などの効果をうたう健康食品が出現して医薬品と食品の区分が不明瞭となり、明確な区分が示された。

1971年(昭和46年)、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号、厚生省薬務局長通知、(別紙)医薬品の範囲に関する基準)が出され、医薬品と食品の区分が明示された(通称46通知)[10]

食品に分類されるもの
野菜果物菓子、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物

健康増進法第26条(旧栄養改善法第12条)の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品(病者用食品、妊産婦授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳、高齢者用食品、保健機能食品特定保健用食品栄養機能食品が該当する)

上記に該当しないものは、下記4要素で医薬品と食品を判別する。
専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)の含有。ただし薬理作用の期待できない程度の量で着色、着香等の目的のために使用されている場合を除く。
毒性の強いアルカロイド、毒性タンパク等、その他毒劇薬指定成分(別紙参照)に相当する成分を含む物。

薬、向精神薬および覚せい剤作用がある物。

指定医薬品または要指示医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物。


医薬品的な効能効果(疾病の治療または予防、身体の組織機能の増強増進、またそれらを暗示する表示)の標榜

医薬品的な形状(アンプル剤)

医薬品的な用法用量の表示

上記の4要素のうち1つ以上を満たすものは医薬品に分類され、医薬品医療機器等法による規制を受ける。

2001年(平成13年)に厚生労働省医薬局長 「医薬品の範囲に関する基準の改正について」(医薬発第243号平成13年3月27日、厚生労働省医薬局長)で、錠剤やカプセルなど医薬品のような形態でも食品であることを明記すれば形状だけで医薬品と判断しない、と基準が緩和された。

成分本質(原材料)が専ら医薬品

成分本質(原材料)では医薬品でないもの

フランス

フランスでは処方箋医薬品と良性の初期症状への処置を目的とする処方箋任意医薬品に分類される[11]
ドイツ

ドイツでは処方箋医薬品、副作用が少なく一定の安全性が確認されているものに指定される薬局販売医薬品、強壮・健康状態の改善・内臓諸器官の機能保護・疾病の予防を目的とするもので具体的な効能・治療効果をもたないものに指定される自由販売医薬品に分類される[11]
イギリス

イギリスでは処方箋医薬品、一定の安全性が確立されているものの薬剤師が販売を監督する必要があるものに指定される薬局販売医薬品、安全性が広範に確立され薬剤師が販売を監督する必要がないものとして一般小売店で販売が可能なものに指定される自由販売医薬品に分類される[11]
医薬品の開発詳細は「医薬品開発」を参照

新薬の開発は、さまざまな素材から化合物を抽出または合成して基礎研究し、動物などで非臨床試験を実施後、3段階に分けて臨床試験する。試験終了後に国による承認審査が行われ、認可を受けて生産体制を整えて発売する。着手から発売までは、最短で10年余[12]を要し、創薬と呼ばれる[13]

新たな医薬品(先発医薬品・新薬)を開発することにより一定の利益を上げられるほか、画期的なブロックバスターとなれば製薬会社に莫大な利益をもたらすため、会社間の開発競争が続いている。一方で開発には長い期間(十数年)と巨額の費用(数百億円)を必要とする[14]。医薬品業界は研究開発費の占める割合が世界で最も高い業界であり、2006年度で売上の15.9%が研究開発費に充てられていた[15]。日本でも同様の傾向を示しており、2014年度には売上の12.2%が研究開発費となっていた[16]。製品化できないリスクも他の業界に比べて高い。1990年代後半以降、研究開発費は上昇を続ける一方、研究の成功率は減少している[17]

厚生労働大臣の承認を得る必要があり、新薬の特許は申請後原則20年で無効となる。特許庁に特許延長が認められれば、最大5年間の延長される。上市後の特許保護期間は、ほかの製品に比べ短くなることから、常に新たな医薬品の研究・開発が必要とされる。新薬開発の標的となるタンパク質の枯渇により研究開発費は上昇を続けている。以上のことから、医薬品業界は世界的に再編が進み、世界的な超大手企業(多国籍企業)に集約されつつある。日本でも例外ではなく、医薬品メーカーの再編が急激に進んでいるという。

期間の切れた特許で作られた医薬品は後発医薬品(ジェネリック医薬品)と呼ばれ、後発品専門の医薬品メーカーも存在する。既に先発メーカーで実績のある有効成分を用いる事から、開発期間も短く、新たな投資が少ないため、先発品よりも費用が安く、国の医療保険財政に貢献している。2007年度には日本の医薬品販売額の6.2%がジェネリック医薬品によって占められていた[18]
医薬品の製造

日本で医薬品の製造は、医薬品医療機器等法により医薬品製造業許可を要する。製造した医薬品を上市するためには、上市する医薬品の種類に応じて(第1種、第2種)医薬品製造販売業許可が必要である。

医薬品の製造過程は、有効成分を製造し、ついで成型・充填して包装し出荷する。有効成分の製造は外注する場合があるが、成型・充填・包装はメーカーが行う[19]
医薬品の販売
日本

医薬品は都道府県知事より許可された以下の場所のみ販売できる。診療所病院などの医薬品扱いは、医師法あるいは歯科医師法の例外規定に拠る。
薬局詳細は「薬局」を参照

薬機法では、薬剤師が販売または授与の目的で調剤業務を行う場所を、薬局と定義している。調剤室以外での調剤は、薬剤師法の規定により原則として認められていない。ただし、在宅医療などの場合は例外がある。処方箋に基づいて調剤をおこなう薬局を調剤薬局と呼ぶこともあるが、薬局であれば原則調剤ができるので不自然な呼び方であり、「薬局」と「調剤薬局」が別の形態であるかと誤認されるのを防ぐため、法的強制力はないが新規の薬局には「調剤薬局」という名称を避けることが求められている。
店舗販売業詳細は「店舗販売業」を参照

医薬品販売業のうち店舗において一般人へ一般用医薬品を販売する業態で,一般用医薬品以外の医薬品は扱うことができない。いわゆる調剤を行わない薬店やドラッグストアと呼ばれている業態。従来の一般販売業および薬種商販売業は経過措置により2012年5月までは店舗販売業とみなされ営業できる。2009年施行の改正薬事法で新たに設けられた業態。
配置販売業詳細は「配置販売業」を参照戦前の配置販売業の薬箱と領収書

配置販売業とは、配置員(販売員)が消費者の家庭を訪問し、医薬品の入った箱(配置箱)を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算し、集金する仕組み(「先用後利(せんようこうり)」という)の医薬品配置販売業である。配置販売される医薬品は、置き薬ともいわれる。以前は、配置販売業の配置員は薬剤師などの資格を必要としなかったが、2009年の改正法による配置販売業では、薬剤師または登録販売者の資格を持たない配置員は、代金回収や補充以外の医薬品販売の業務ができないこととされた。配置販売に従事するに際しては都道府県知事の身分証の交付が必要となる。
卸売販売業詳細は「卸売販売業」を参照

いわゆる医薬品卸であり、医薬品販売業のうち医療機関や薬局などに医薬品を卸売りする業態である。倉庫が主体で店舗は持たない。自治体ワクチンを納めるなど特殊な例を除き、医療関係者以外に直接医薬品を販売することは禁じられている。
フランス

フランスでは医薬品を販売することが可能な業態は薬局に限られる[11]。薬局には薬剤師を常時配置することが必要で、一定の販売額を超える薬局では販売額ごとに決められた人数の薬剤師を配置することを要する[11]
ドイツ

ドイツでは処方箋医薬品と薬局販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局のみ、自由販売医薬品を販売することが可能な業態は薬局およびドロゲリーに限られる[11]


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