医療機器
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日本においては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)に医療機器の定義、規制、取扱いが定められている。日本において、厚生労働省の所管のもとに、実質的な承認審査業務や安全対策業務は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構で行われる。

なお動物専用医療機器は、農林水産省の所管である。
クラス分類

医療機器は、その機器の人体等に及ぼす危険度に応じ、国際基準GHTFルールに基づき国際的なクラス分類がされている。日本では厚生労働省告示(薬事法第2条第5項から第7項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器 平成16年7月20日 厚生労働省告示第298号)により既存の医療機器が分類されている。

クラスI はもっとも人体への危険度が低いものであり、IVは副作用・機能障害などの不具合が生じた場合、人の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあるとして最も危険度が高いとされるものである。

国際クラス分類と国内での分類の対応は概ね次のとおり。

クラスI(一般医療機器)

クラスII(管理医療機器)

クラスIII(高度管理医療機器)

クラスIV(高度管理医療機器)

クラス分類に関わらず、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とするものを「特定保守管理医療機器」といい厚生労働省告示(薬事法第二条第八項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器 平成16年7月20日 厚生労働省告示第297号)で指定されている。

さらに、「特定保守管理医療機器」の中で、設置にあたって組立てが必要で組立てに係る管理が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医療機器を「設置管理医療機器」といい、厚生労働省告示(薬事法施行規則第93条第1項の規定により厚生労働大臣が指定する設置管理医療機器 平成16年9月14日 厚生労働省告示第335号)により指定されている。

これら医療機器の中にも生物由来製品または特定生物由来製品としての指定も受けている物が含まれるので注意を要する。

管理医療機器として身近なものには、補聴器、電子体温計、コンドームなどがある。また高度管理医療機器として身近なものには、コンタクトレンズがある。また、最近普及が進んでいるAEDも、高度管理医療機器である[1]。

動物用医療機器については、上記と異なる、動物用医療機器のクラス分類が定められている。動物用医療機器については認証制度はなく、承認申請を行うこととなる。

この節の加筆が望まれています。

医療機器の承認、認証、届出制度「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」も参照

製造販売の承認、認証、届出は、医療機器の製造販売に先立って行われる手続きである。医療機器を製造(輸入)販売するためには、それらに伴う業許可を取得し、製品ごとに、クラス分類に応じた届出または承認もしくは認証の取得を要する。具体的には下記のとおりである。

クラスI:製造販売届

クラスII

指定管理医療機器(適合性認証基準があり、基準に適合するもの):製造販売認証  

上記以外:製造販売承認


クラスIII、IV:製造販売承認

なお、クラスIに該当する医療機器であっても、新規性があるものについては、厚生労働大臣の承認が必要である。承認取得後は、承認整理をして製造販売届書の提出が必要である。

提出先と権限者は、それぞれ次のとおりである。

製造販売届:独立行政法人医薬品医療機器総合機構、受理権者?機構理事長

製造販売認証申請:国の指定する第三者認証機関、認証権者?認証機関の長

製造販売承認申請:独立行政法人医薬品医療機器総合機構、承認権者?厚生労働大臣

QMS「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」も参照

医療機器の製造業者等は、クラスII以上の医療機器及びクラスI医療機器のうち一部のものの設計開発、製造にあたっては、厚生労働省令第169号に適合している必要がある。省令第169号は、QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)ともいわれ、ISO13485:2003を、一部の用語・内容を医薬品医療機器等法に整合させた形で修正した基準である。

対象は国内、国外の業者を問わない。また、製造工程において外部検査施設に検査を委託する場合は当該検査施設、設計管理が必要な医療機器については設計管理を行う事業所も、省令第169号への適合が求められる。

承認もしくは認証の申請にあたって、医薬品医療機器総合機構、認証機関もしくは都道府県により省令への適合性調査を受審することとなる。また、受審は定期的に必要である。
許可制度

医薬品医療機器等法で定められている許可制度は、製造販売等の業を行うために、事業者・事業所が取得するものである。
製造販売業許可

医療機器を製造販売しもしくは輸入販売するためには、医療機器製造販売業許可が必要である。製造販売業許可は、1法人に1つであり、例えば第1種と第2種を同時に取得することはできない。許可権者は、総括製造販売責任者の常駐する事業所のある都道府県の知事である。製造販売業許可の種類は、取り扱うことのできる医療機器により3種類ある。

第1種 クラスIII、IV

第2種 クラスII

第3種 クラスI
第1種はクラスI、IIも扱うことができ、第2種はクラスIも扱うことができる。
製造業許可

医療機器の製造を行うための許可。製造所単位で取得する必要がある。次の区分がある。許可権者は、製造所の所在する都道府県の知事である。

一般

滅菌

生物由来

包装・表示・保管

施設は、薬局等構造設備規則に適合していなければならない。

登録制に改められた。



修理業許可

医療機器の修理を行うための許可。修理を行う作業所ごとに取得する必要がある。修理できる品目に応じた区分(厚生労働省令で定める区分「修理区分」)の許可が必要である(根拠:医薬品医療機器等法第40条の2)。製造業者が製造した品目をその製造所において修理する場合には、修理業許可は必要ない。
高度管理医療機器等販売業(賃貸業)許可

高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器(「高度管理医療機器等」という。)を一般もしくは医療機関に対して販売・賃貸・授与等を行うためには、医薬品医療機器等法第39条に基づき、「高度管理医療機器等販売業許可」が必要である。営業所ごとに許可を得る必要がある。許可権者は、営業所の所在する都道府県の知事である。
管理医療機器販売業(賃貸業)届

管理医療機器を販売するためには、原則として、都道府県に対して販売業を届け出ることが必要である。
認定制度

外国の製造業者(海外製造施設)は、外国製造業者認定を取得することができる。日本の製造販売業者が外国製造医療機器を輸入しようとする場合には、製品の承認・認証取得、届出の前に、当該製品を製造する外国製造業者が外国製造業者認定を取得している必要がある。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 本改正により、従来医療用具としてきた用語が「医療機器」に改められた。法改正の詳細は薬事法の歴史#承認・許可制度等に係る大改正(2002年改正・2005年施行)を参照。

出典^ JIS Q 13485日本産業標準調査会経済産業省
^Medical device makers are stepping up manufacturing on the mainland, raising safety concerns
^ 野口康男 (2005), ⇒AED普及協会設立趣旨書, AED普及協会 (2005-05-18発行), ⇒http://www.aedjapan.com/seturitushushisho.pdf 2009年3月4日閲覧。 
^ “新型コロナウイルス感染症について”. www.mhlw.go.jp. 2021年6月22日閲覧。
^ “がんという病気について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]”. ganjoho.jp. 2021年6月22日閲覧。

関連項目

医療品規制

特定保険医療材料

責任技術者

医学 / 歯学 / 工学 / 理学

医薬情報担当者

電波障害

IEC 61508

医療機器メーカー一覧

キンバリー・バーガリス - 医療器具の使い回しによる院内感染で死亡した女性

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日本医療機器学会

日本医療機器工業会

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

財団法人医療機器センター

日本医療機器産業連合会

社団法人日本生体医工学会

International Medical Device Regulators Forum(IMDRF)


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