医師
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

睡眠時間を一日6時間程度確保[14]

勤務間インターバルを9時間確保(当直勤務である場合除く)[14]

当直明けの連続勤務は、当直中に十分な睡眠を確保できていない場合、勤務全体を通して連続28時間まで[14]


医師の転職

これまでは多くの医師は、「医局」という組織に管理されていた[16]。これは大学の「教室(職員室)」とほぼ同義であり、各診療科目の教室が運営する非公式な医師の同業者組織である[16]。医局は教授を頂点とし、定期的に任命される医局長によって日常的な事務運営がなされる[16]。学費として「医局費」が徴収されることもある[16]

従来の方式では、医師は卒業と同時にいずれかの医局に「入局」していた。医局は医師の研修先・勤務先を指定し、医師はそれに従って転勤する。医局は医師を必要としている病院の情報を集中管理し、必要とされている医師の技能や経験年数に合わせて医師を派遣する。医師が派遣先で経験を重ね、技能を身につけると、派遣先の病院は医師に対して昇給をするか、賃金の安い医師と交代させるかしなければならない。そのため、数年おきに医局は医師を転属させ、新たに若い医師を派遣する。この繰り返しによって病院側は人件費を一定に維持し、経営の安定化を図ることができる。医師は自分の技能レベルに合った就職先で研鑽を積むことが出来る。また、高度な技術を取得することが可能な病院に派遣してもらった場合、「お礼奉公」と称して、しばらく低賃金で過疎地の診療所に派遣される慣習もあり、これによって地方の医師不足を埋め合わせていた側面があった。多くの場合、医師の派遣を受ける病院は大学教授に研究費などを提供し、教授の研究業績に寄与していた。こういう病院は医局の「関連病院」と呼ばれる。研究費が集まる有名教授の下にはさらに入局者が集まり、教授の権威を高める好循環を生む仕組みであった。

派遣を受けた医師は、国立病院に転属すれば「国家公務員」、公立病院に転属すれば「地方公務員」、私立病院に転属すれば「サラリーマン」、大学に戻り「研究生」「大学院生」などの名目で無給の労働力として使役される期間は「学生」と、転属先により身分が変遷する。また日雇い契約で雇われる場合は「フリーター」「非正規雇用」、僻地の診療所で一人医長に任命された期間は「管理職」と雇用階級も変遷し、数年おきに転属する。こういう身分の変遷は不安定で退職金も福利厚生もほとんどない。最近では、医療費削減に伴い、病院の経営状態が悪化し、多くの医師が「非正規雇用」か「管理職」のいずれかの身分で働くようになり、時間外手当もボーナスもなく、不当に長い労働時間を強いられている。

従来は医局の指示により、転職するのが一般的であった。しかし2004年からの初期臨床研修義務化(スーパーローテート)に伴い、医局に入局する医師が減少し、新たに医師の派遣を行ったり、医師の人材紹介や転職を斡旋する会社が出てきている[16]。これらの医療従事者専門の転職支援サービスは、医局から医師の派遣を断られた病院の医師確保などにも一定の役割を果たしている。このビジネス分野は未開拓で、さまざまな会社がしのぎを削っている。

医師といえど一人の人間である事実にかわりはなく、QOML (Quality of My Life) を大切にするべきという考えも広がりつつあり、医師が過酷な勤務を要求する勤務先から独自の判断で転職するケースが増えている。
少子化の影響「出産難民」も参照

いわゆる少子化の影響で、妊娠出産を扱う産婦人科や、これに続く乳幼児期の子供を扱う小児科の志望者が少なくなっている問題がある。また、特に産科領域では、一般的に子供は正常に生まれて当たり前との認識があると思われ、何か異常が起こると医療訴訟、さらには重過失等により刑事告訴を受ける可能性も高い@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}といわれている[要出典]。そういったことから、産婦人科や小児科を扱う医療機関が減少し、残った医療機関への負担が増加し、妊娠・出産への対応や子供の急病などへの対応が困難になっている。これらの問題については、少子化に関する諸問題の一つとして、マスメディアなどで頻繁に取り上げられているが、厚生労働省は有効な対策を打てていない。
組織

医師に関する組織には、学会、職能団体労働組合)、規制団体などがある。
世界規模

世界医師会

イギリス

英国医学協議会
(英語版) (GMC) - 医師資格の規制団体。

英国医師会(英語版) (BMA) - 職能団体。またBMJの発行元である。

日本

医道審議会 - 厚生労働省の審議会等であり、医師資格を規制している。

公益社団法人日本医師会 - 職能団体。

歴史上
日本


内薬司 - 律令制の中で皇室の診察と薬の処方を行う組織

典薬寮 - 律令制の中の医疾令により制定された機関。天皇に仕えた医師は御典医と呼ばれ、転じて将軍などに仕えた医師も御典医と呼ばれた。

施薬院 - 古代の民衆救済機関

中国


尚薬局(中国語版) - 古代中国で天子や皇族に仕えた医師組織[17]

太医局(中国語版)(太医署) - 秦朝、漢朝、晋朝の官吏を対象とした医師組織[17]

翰林医官院(中国語版) - 宋朝、元号が元豊の時に醫官局と改められた。

太医院(中国語版) - 明朝[18]

太医(中国語版) - 元朝から清朝の皇帝に仕えた医師

韓国


内医院(朝鮮語版)

典医監(朝鮮語版)

恵民署

活人署(朝鮮語版)

古代ローマ
古代ローマの医学界(英語版) - 多くがギリシア人で多くが奴隷出身で奴隷医師(servi medici)であった[19]アスクレペイオンで正規に学んだギリシア人医師の助手として働いた者たちであった。また、奴隷身分出身でなく宮廷に仕えた医師とも分けられた。テオドシウス法典によって、医療組織の体制が作られ、archiatri sancti palatii という宮廷につかえた医師組織、そして archiatri populares という民衆に医療を行う医師組織の二つが存在した[20]
イギリス


Worshipful Society of Apothecaries(英語版) - ロンドンの内科医・薬局のリヴァリ・カンパニー

オスマントルコ
ama’at-i ‘atibba’-i khassa - トプカプ宮殿内に置かれた医師と宮廷医師の組織[21]
著名な医師ペスト医師詳細は「医学者の一覧」を参照
文化

藪医者養父(やぶ)の医者は名医だったが、弟子を名乗る腕の良くない医者が続出したことから腕の良くない医師を藪医者と呼ぶようになった[22]

慣用句・ことわざ
「医者の不養生」は、患者に健康を教えながらも医者自身が健康的な生活ができていないことを意味する[23]。英語で該当する格言に、Physician, heal thyself(英語版)(医者よ、自分を癒せ)[23]、doctors make the worst patients(医者は最も悪い患者になる)[24][25]がある。
表彰する賞「Category:医学の賞」も参照

やぶ医者大賞[26][27]

脚注[脚注の使い方]
注釈^ : physician
^ : surgeon
^ : doctor
^ : quack

出典^ In 1949, Fildes' painting The Doctor was used by the American Medical Association in a campaign against a proposal for nationalized medical care put forth by President Harry S. Truman. The image was used in posters and brochures along with the slogan, "Keep Politics Out of this Picture" implying that involvement of the government in medical care would affect the quality of care. 65,000 Posters of The Doctor were displayed, which helped to raise public skepticism for the nationalized healthcare campaign. ⇒[1][リンク切れ]
^ 青木歳幸「種痘普及へ佐賀藩の先手◇西洋医学取り入れ天然痘撲滅を目指した先人の歩みを調査研究◇『日本経済新聞』朝刊2021年11月10日(文化面)同日閲覧


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:73 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef