医学
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1796年にはエドワード・ジェンナー種痘を成功させた[19]

19世紀に入ると、自然科学の発展に伴い医学も急速な発展を遂げた。特に19世紀後半には、ロベルト・コッホルイ・パスツールによって細菌学が創始され、人工的な弱毒化によるワクチンの生産や多くの病原菌の発見が起き[20]、さらにこれに関連して衛生学も進歩を遂げた[21]

日本では安土桃山時代にキリスト教の伝来に伴ってわずかに西洋医学の流入があったとされるが[22]、本格的な流入は江戸時代中期の1774年、オランダ語の解剖学書である『ターヘル・アナトミア』が杉田玄白前野良沢らによって翻訳され、『解体新書』として出版されてからのことである[23]。解体新書の出版は日本の医学界に衝撃を与え、以後医学を中心に蘭学が隆盛するきっかけとなった[24]
通常医療と代替医療の状況

近年、伝統中国医学の本場であった中国では西洋医学の医師が増加中で現代西洋医学の利用される割合が増加しつつある。

反対にアメリカ合衆国やヨーロッパ諸国では西洋医学の様々な問題点が取り沙汰され、伝統医学などの代替医療のほうが高く評価され利用率が増えており、アメリカ合衆国では代替医療の利用率が西洋医学のそれを超えた。無保険者だけでなく、富裕層の利用も増えている[25]

日本では、西洋的な思考様式に基づく医学を「西洋医学」、伝統中国医学の思考様式に基づく医学を「東洋医学」と、大きく区分して呼ぶことが一般的である。現在日本で「東洋医学」と呼ばれるものは、おおむね伝統中国医学に相当し[7][注 1]、中国大陸で生まれ発達し、日本にも伝えられた[7]。西洋医学が入ってくるまでは日本の主流医学であった[7]。江戸時代の日本に「オランダ医学」が入ってきた時に、それらの医学を呼び分ける必要が生じ、オランダの医学に対して、中国(漢)の医学という意味で「漢方医学」と呼ぶようなことも行われるようになった[7]という。明治政府の方針により西洋医学が主流の医学と位置づけられるようになり、東洋医学を行う医師も西洋医学を学ぶことになった。それ以来、日本では西洋医学の利用者数が多くなったが、現在でももっぱら東洋医学のほうを好み愛用する人々もおり、両者は並存してきた。
分類

研究や教育のための知識体系としての医学は、次のように分類されている。大学医学部の組織においても、研究・教育のための人員の配置がこの分類に沿って行われる場合が多い。最近は、名称が多様化しているが、実質は、下記の分類とさほど変わりがない場合が多い。
基礎医学

人体の構造・機能、疾患とその原因など医学研究の根拠となる知見を得るための学問分野である。これらの科目は医学部、薬学部等医療系学部以外に一部の大学では理学部理工学部等の生物学科でも開講している。

解剖学 - 発生学 - 組織学- 生理学 - 病理学 - 生化学分子生物学 - 薬理学 - 免疫学 - 微生物学細菌学ウイルス学) - 医動物学・寄生虫学 - 神経科学

臨床医学

診断や治療などに直接関連する応用的な研究分野である。

臓器別分類

循環器学 - 消化器学 - 呼吸器学 - 腎臓学 - 内分泌学 - 血液学 - 神経学 - 婦人科学 - 泌尿器科学 - 耳鼻咽喉科学 - 皮膚科学 - 眼科学


解剖学的分類

胸部外科学 - 脳神経外科学 - 整形外科学


ライフステージによる分類

産科学 - 小児科学 - 老年医学 - 家庭医療


手法による分類

診断学 - 症候学 - 予防医学

内科学 - 外科学 - 形成外科学 - リハビリテーション医学 - 麻酔科学 - 放射線医学 - 再生医学 - 救急医学


疾病による分類

リウマチ学 - 精神医学 - 心身医学 - 腫瘍学 - スポーツ医学


社会医学

社会医学とは社会的な環境と健康について研究する医学領域。

衛生学 - 公衆衛生 - 疫学(統計医学)- 法医学 - 犯罪学などが含まれる。

関連分野

医学に関連する分野には以下のようなものがある。

歯学 - 薬学 - 看護学 - 心理学 - 健康心理学 - 臨床心理学 - 生体機能代行装置学 - 作業療法学 - 理学療法学 - 性科学 - 抗老化医学 - 熱帯医学 - 医用生体工学 - 医療機器 - 医学教育 - 医学史(医史学)- 生命倫理学 - 医療人類学 - 病跡学 - 医療社会学 - 医療経済学 - 宇宙医学 - 臨床情報工学 - 柔道整復学
栄誉・賞
ノーベル生理学・医学賞「ノーベル生理学医学賞」も参照

アルフレッド・ノーベルの遺言で指定された5分野の一つで「生理学及び医学の分野で最も重要な発見を行なった」人に授与される。主な受賞者には、神経構造の研究とニューロン説提唱のS.ラモン・イ・カハール(1904年度)、ペニシリンを発見したA.フレミング(1945年度)、DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソンフランシス・クリック(1962年度)、日本人唯一の同賞受賞者利根川進(1987年度)等がいる[26]
アルバート・ラスカー医学研究賞(ラスカー賞)「アルバート・ラスカー医学研究賞」も参照

「アルバート・ラスカー医学研究賞」は、医学賞の中でも「ノーベル(生理学・医学)賞に最も近い賞」と言われる賞である[27][28]。医学で大きな貢献をした人に与えられる米国医学界最高の賞であり、ラスカー夫妻が1946年に創設した。アルバート・ラスカー基礎医学研究賞ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞メアリー・ウッダード・ラスカー公益事業賞ラスカー・コシュランド医学特別業績賞の4部門から構成される[28]


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