北米測地系
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世界測地系という呼称

全地球的測地系の範疇に属し、個々の国で採用されている測地系には、世界測地系という呼称を持つものがある。各々を混同してはならない。
米国の測地系:世界測地系(WGS)

世界測地系(World Geodetic System
、WGS)

アメリカ国防総省が、1960年に最初に策定した全地球的測地系。詳細は下記。


日本の測地系:世界測地系



学術的名称は、日本測地系2011
[注釈 2]

日本国内の法令上名称と通用名は「世界測地系」

国土地理院が策定し日本が採用(測量法改正2002年4月1日)した測地系を指す[2]

一般的呼称:世界測地系

国際的測地成果を用いて実現した全地球的測地系を意味して、世界測地系と呼ぶ考え方もある。国外に通じるかは不明。
各国の測地系
アメリカ
WGS詳細は「World Geodetic System(英語版)」を参照

アメリカ国防総省が、1960年に北米測地系(North American Datum)との差が少なくなるよう本初子午線及び全地球的測地系を策定し[注釈 3]、「世界測地系(World Geodetic System, WGS)」と名付けた。現行の各種の全地球的測地系はどれもこれと同様の考え方を元にしている。

これは、トランシット(GPSの前身となる最初の全地球航法衛星システム)の開発に合わせて策定された。

WGS84詳細は「WGS 84」を参照

世界測地系1984(WGS84)は、1984年に大きく改訂された版をいう。

GPSで使用されている。

WGS84楕円体は長半径は GRS80に同じ、扁平率はごく僅か異なり、 1/298.257 223 563 だが、実用上は全く問題とはならない差異である。

精密な陸地測量の分野では、WGS84ではなく、できればITRF系を用いることが推奨される。

海域の測地系としてWGS84が標準的である。

GPSから得られた成果が盛り込まれ、数回の小改訂が行われている。

2013年10月16日から用いられているWGS84(G1762)はITRF2008に基いており、ITRF2008との差は平均1,2 mm程度となっている[3]

日本


日本測地系(旧日本測地系)

日本では、2002年4月1日までは、日本測地系(旧日本測地系、Tokyo Datum)と呼ばれる測地系を用いてきた。

局所座標系の範疇に属する測地系(日本周辺にのみ適用することが前提)

準拠楕円体はベッセル楕円体

楕円体中心のずれは、事実上の日本測地原点である「東京大正三角点[4][5]」において、 X {\displaystyle X} 、 Y {\displaystyle Y} 、 Z {\displaystyle Z} をITRF94座標系の直交座標値、 X 2 {\displaystyle X_{2}} 、 Y 2 {\displaystyle Y_{2}} 、 Z 2 {\displaystyle Z_{2}} をTokyo97座標系[注釈 4]の座標値とすると、次の公式で表すことができる[7][8]

( X Y Z ) = ( X 2 Y 2 Z 2 ) + ( − 146.414 m + 507.337 m + 680.507 m ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}X\\Y\\Z\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}X_{2}\\Y_{2}\\Z_{2}\end{pmatrix}}+{\begin{pmatrix}-146.414\,{\textrm {m}}\\+507.337\,{\textrm {m}}\\+680.507\,{\textrm {m}}\end{pmatrix}}}  

経緯度の基準は日本経緯度原点の天文経緯度

標高の基準は日本水準原点(東京湾平均海面がベッセル楕円体面と一致)

全国の基準点座標値は三角測量網成果から決められる。離島では天文測量を用いた。

内的歪みを持ち、上記の原点から離れると歪みは大きくなる。

ITRF94の経緯度と日本測地系のそれとでは、上記の変換にあるように東京付近の地表面では400 m程度のずれが存在する。東京付近では、おおむね、日本測地系の数値から、北緯に12秒加え、東経に12秒減ずると、ITRF94の数値が得られる。

また日本測地系の基準点網は三角測量による成果に基づくため、測地系以外の要因によるゆがみが北海道や九州では5 - 10 m程度存在する(南西諸島、離島等はそれ以上の場合もあった)。このようなゆがみも考慮したITRF94との測地系変換を行うプログラムTKY2JGDが、国土地理院により公式に提供されている[注釈 5]

これらのずれやゆがみは、日本国内向けに1:25,000の地形図を発行するには問題を生じないが、海図の国際利用や、精密な位置情報にもとづくGISデータの整備の障害になりつつあった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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