北海は、海上輸送において非常に重要な海域であり、北海航路は世界で最も利用されている航路のひとつである[19]。ヨーロッパで最も貨物取扱量が大きく、世界でも第4位(2012年)に位置するロッテルダム港をはじめ[23]、同世界18位のアントワープ、同世界29位のハンブルク、コンテナ取扱量世界18位のブレーメンおよびブレーマーハーフェン、同33位のフェリックストー(イギリス)[24]、さらにヨーロッパを代表するRO-RO船の港であるブリュージュおよびゼーブルッヘ[25]など、多くの重要港が存在する。商船の他に漁船、石油基地の船、スポーツ用の船舶、遊覧船などでこの海域は混みあい、またバルト海からやってくる船のほとんどは北海を通航する必要があるため、この混雑はさらに激しくなる。ドーバー海峡では、1日に400隻以上の商船が行き来する[26]。北海沿岸には運河が発達しており、なかでも北海とバルト海を結ぶキール運河は最も重要なものであり、2009年にはスポーツボートやほかの小型船舶を含めずに、一日当たり89隻の通行を記録した。これは、世界で最も使用される人工水路である[27]。キール運河を使用すれば、ユトランド半島を迂回するのに比べ460kmの航路短縮となる[28]。
石油・ガススタートフィヨルド油田
北海には、イギリス領内のフォーティーズ油田(英語版)、ブレント油田(英語版) 、パイパー油田、ノルウェー領内の エコーフィスク油田、スタートフィヨルド油田、トロールガス田、ヨハン・スヴェルドルップ油田(英語版)、などの油田・ガス田が存在し、総称して北海油田と呼ばれている。1960年にイギリスが北海で最初に油田を開発[29]。その後、ノルウェー領海内で硫黄分の少なく価値の高い[30]エコーフィスク油田を1969年に発見し[31]、1971年に生産が開始された。積み出しは当初は石油タンカーで行われたが、1975年にイギリスのティーズサイドへのパイプラインが完成し、さらに1977年にはドイツのエムデンへのパイプラインも完成した[32]。北海油田の開発は1973年の第一次石油危機の直前であり、石油危機によって油価が高騰したために多額の投資に見合う利益が見込めるようになったため、一気に開発熱が高まった[33]。生産コストは高いものの、良好な原油性状、安定した政治環境、西ヨーロッパという重要な市場に近いことで、北海は世界でも重要な産出地域の一つとなった[30]。西欧で最大の埋蔵量を誇り、非OPECの重要な生産地域である[34]。ブレント原油は世界の原油価格の重要な指標である[35]。2000年代に入り、特にイギリス領の油田において油田の成熟化が進み、徐々に生産量が減少しつつある。2005年にはイギリスで原油消費量が生産量を上回り、これ以降イギリスは石油の純輸入国となっている[36]。北海で最大の人身事故は1988年のパイパー・アルファ基地火災で、167名が死亡した[37]。また、大量の原油漏出が1977年にエコーフィスク油田で起きた。 原油や天然ガス以外にも、北海では年間数百万立方メートルの砂や礫が海底から採取されている。これらの土砂は土地造成や建設、養浜に使用される[38]。イングランドの東海岸では、丸くなった琥珀のかけらが打ち上げられることがある[39]。 偏西風を利用した風力発電が1990年代からドイツとデンマークで発達している[40]。北海のデンマーク洋上において、2002年に世界初の大規模洋上風力発電所であるHorns Rev 1が建設され、これ以降次々と北海洋上に風力発電所が建設された。2010年9月には、世界最大規模の洋上風力発電所であるイギリスのThanet風力発電所[41][42]とデンマークのHorns Rev 2[43]が相次いで稼働し始めた。 北海海域は古くから世界有数の好漁場として知られており、世界の商業的漁業の5%を占めている[44]。漁業は沿岸の南部に集中している。トロール船での漁業が中心である[45]。1995年には、北海の総漁獲高は350万トンだった[46]。 しかし、乱獲がたたり、2000年前後にはフィッシュ・アンド・チップスの原料となるタラの漁獲が極端に減少。持続可能な漁業への転換が模索されている[47]。 18世紀末頃より、療養や余暇、海水浴を楽しむため、イギリスにて北海沿岸の開発が始められた。この動きは19世紀初頭には急速に拡大し、北海沿岸諸国の海岸には保養地が立ち並ぶようになり、多くの観光客が訪れるようになった[48]。現代でも北海沿岸の水域や浜辺は人気の観光地であり、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギーの海岸は観光地としてよく開発されている[49][50]。
鉱物資源
風力発電
漁業ドイツ、Nordstrandのトロール船
観光1900年、オランダ・スケベニンゲンのビーチ
脚注[脚注の使い方]^ a b “About the North Sea: Key facts
^ Ray, Alan; G. Carleton, Jerry McCormick-Ray (2004) (Digitized by Google Books online). Coastal-marine Conservation: Science and Policy
^ “Chapter 5: North Sea” (PDF). Environmental Guidebook on the Enclosed Coastal Seas of the World. International Center for the Environmental Management of Enclosed Coastal Seas (2003年). 2008年12月17日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2008年11月24日閲覧。
^ Calow, Peter (1999). Blackwell's Concise Encyclopedia of Environmental Management. Blackwell Publishing. ISBN 0632049510. https://books.google.co.jp/books?id=L7V-JtHroGkC&pg=PA100&redir_esc=y&hl=ja 2008年12月26日閲覧。