上記の多くは北奥羽方言と共通の特徴である。すなわち外輪東京式アクセントが広母音への核後退を起こした体系としておおむね説明可能であり、個別変化についても北奥羽方言から持ち込まれたものが多い。(参考:秋田方言のアクセント)
「雨がやむ」「雪がやむ」の「やむ」では、「や」が高いため、共通語の「病む」のように聞こえる。共通語では平板型。
「産む」は「膿む」と同じく「う」が高い。共通語では平板型。なお「うまれる」は共通語と同じく平板型となる。
「している」とその短縮形「してる」、および「していた」では、共通語では平板型アクセントだが、北海道方言ではそれぞれ語尾の「る」または「た」が下がる[要出典]。「していた」の短縮形「してた」は共通語、北海道方言のどちらも語尾の「た」が下がる。
動詞の否定形「?ない」の形では、平板型動詞であっても起伏型動詞であっても、「ない」の「な」にアクセント核が来て、「い」が低く下がるのが特徴。(共通語の例:「上げない」は平板型、「下げない」は「げ」にアクセント)
▼上記表現の疑問形「していた?」「?しない?」のイントネーションは、共通語では最後の一音がポンと上がるが、語尾が下がる北海道方言では、最後の一音で低いところから一気に高く上げるイントネーションになる。共通語でも「?していました?」などでは同じようなイントネーションが軽めに現れるが、さらに顕著である。
上の4つは近畿方言を発端に全国で起こりつつある用言の型統合の一端である。例えば首都圏方言でも時折同様のアクセントが聞かれる。
この発音以外にも、包丁、ハンカチ、キャラメル、さくらんぼ、薬、電池、次、こないだがある。全て高低である。標準語だと全て低高となる。
なお函館周辺では以下のイントネーションに違いがある。病院は美容院のような発音になる。水色、タバコは高低となる。半袖、長袖も高低。クワガタも高低であり、山形のような発音となる。
お土産も高低である。標準語は中高型となる。本来標準語を発音する際、アクセントは全く無く平板型となる。なお、同じも微妙なイントネーションに違いがあり同じのじが高い。標準語では平板型となる。
ただし単体で使う場合や使う場面によってはほぼ標準語と同じイントネーションであり、接続詞として使う場合は使う場面や発音にもよるがこのイントネーションが出やすいのが特徴。例として、同じだが1番わかりやすく、標準語のイントネーションと全く異なる発音である。じとだが高く低高の発音になり、共通語だと平板型の発音となる。 地名の発音やアクセントについては、テレビやラジオのアナウンサーの共通語的アクセントや、北海道外から来た人の影響で、地元の呼び方と二分するケースが多々ある。日本語としては、地元アクセント・共通語的アクセント、どちらでもよいということになっているため、二種類のアクセントが並存する。
発音
「布団を敷く」の「しく」を「ひく」と発音する人が多く、むしろ、「ふとんをしく」と発音すると不自然に聞こえる。ただし東京の下町方言などのように「ひ」と「し」の混用が常態化しているわけではない。
多くの東日本方言では、数字の「5」や固有名詞以外で、語中・語尾のガ行音(がぎぐげご)は鼻濁音を用いるが、北海道では鼻音化や軟化せずに語頭と同じく濁音になる者もいる。(例:小学校、中学校の「が」は、「学校」の「が」と同じ発音、「神宮」は「宮司」のときと同じ「ぐ」の発音)
老人の発音では、命令形の「食え」が「け」「けぇ」と聞こえる場合も多い。親しくない客にも用いることから「お食べください」「お召し上がりください」といった丁寧さもあるようだ。
道南・道東などの海岸部に住む年配層で、「?(して)くれ」が「?(して)けれ」になることがある(「食べてけれ」、「電話してけれ」など)。函館、函館近郊では、若年層でもけれを使う。それ以外の地方や都市部、若年層にはあまり浸透していない。
「あそこ」が「あすこ」と発音されることがある。また、海岸部などでは「あこ」、「あっこ」という形式もきかれる。
「ここらへん」「そこらへん(そこいらへん)」が、「こころへん」「そころへん」と発音されることがある。アクセントは(_/ ̄ ̄ ̄\_)
地名
小樽(おたる)は、本来は「た」が高かったが、テレビ・ラジオ等では「お」にアクセントが置かれて発音されていることから、近年では「お」にアクセントを置いて発音する人が多い。
余市(よいち)は、平板なアクセントである。「よ」が高い共通語の場合、那須与一、林与一などの人名を連想させる。
倶知安(くっちゃん)は、「ちゃ」が高いのが本来だが、共通語的アクセントでは「く」が高くなるため、アナウンサーなどはもっぱら後者を用いることが多い。北海道民は「くっちゃあん」と発音することもある。「倶知安」は「く」、「倶知安○○」(名詞)のときは「ちゃ」が高い。
留寿都(るすつ)は、現在は頭高型の「ルスツ」が一般的だが、年配層では「ルスッツ」と発音されることもある。
洞爺(とうや)は語頭から語尾に向かって降下するアクセントが用いられるが、年配者を中心に「どうや」と濁音化し、なおかつ上昇するアクセントで発音をする人が多い。
苫小牧(とまこまい)は、「とま」の「ま」が高い。
厚真(あつま)は、年配層で「あずま」と濁る発音がある。
鵡川(むかわ)は「か」が高い。
主に札幌市で、住所の地番を示す「南○条 西△丁目」などの「西(にし)」で、「に」が高い独特のアクセントが現れることがある。
札幌市の中心街・駅名・住所としての「大通(おおどおり)」で、語頭の「お」にアクセントを置くことがある。
札幌市西区の琴似は従来「ことに」であったが、近年は標準語に準拠し「ことに」と発音する人が多い。尚、札幌市営地下鉄の自動音声案内は「ことに」である。
桑園(そうえん)は、「そ」にアクセントが置かれる頭高の発音が一般的であるが、JR桑園駅の到着アナウンスは「桑園」を平板で発音している。実際に札幌出身の高齢層のなかには平板で発音する人もおり、平板がより古い地名アクセントの可能性がある。
夕張(ゆうばり)は、道内では語頭の「ゆ」が高くなる発音が一般化している。しかし道外ではテレビはNHKも民放も「富良野」と同じく平板で発音するため、首都圏では「ばり」を高く発音する者が多い。夕張メロンが有名になったため、メロンを省いても平板と錯覚されたからという説がある。
岩見沢(いわみざわ)は、「わ」が高く、「ぃやみさわ」のように発音されたり、「沢」の読みを濁音にしない発音も中高年層に多い。
富良野(ふらの)は、単独で発音する場合は、高年層では「ら」を高く発音し、これが伝統的な本来のアクセントであるが、現在では若年層を中心に「ふ」を高くする発音が一般化している(NHKはこのイントネーション)。テレビドラマ『北の国から』などで平板に発音されるのは共通語(道外)のアクセントと思われるが、北海道の住人には非常に不自然に感じられる。これは道外において「武蔵野」「宮城野」などと同じように「?野」の地名として理解されるためであるが、富良野はアイヌ語の「フラヌイ(ニオイのするところ)」に起源を持つためこの点で大きく異なる。