北極海
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そのため、現在でも北極海の大陸側海底には広大な永久凍土地帯が存在している[4]

北極海は、ユーラシア大陸北アメリカ大陸グリーンランドに囲まれている。この北極海は、多くの海域に分割されている。ユーラシア大陸側のロシア北方海域は、西からバレンツ海カラ海ラプテフ海東シベリア海チュクチ海、そしてバレンツ海の南に位置する入り江である白海の6つにわかれている。北アメリカ大陸側には、バフィン湾ボーフォート海グリーンランド海ハドソン湾ハドソン海峡といった海域が含まれる。そして、この二つに挟まれて、北極海の中央部分が北極点を中心に広がっている。なお北極海は、ベーリング海峡で太平洋の付属海であるベーリング海と、グリーンランド海で大西洋の付属海であるノルウェー海と繋がっている。

北極海の海水供給は、とくにヨーロッパ大陸北方においての大西洋からの流入が主なものとなっている。ヨーロッパ大陸北方には、北大西洋海流の末流であるノルウェー海流がバレンツ海まで、またノルウェー海流から分離しスヴァールバル諸島を通ってノヴォシビルスク諸島周辺まではスピッツベルゲン海流が到達する。この二つの海流はいずれも暖流であり、北極海に大きな熱量をもたらす。北極海がコラ半島北部周辺までは通年航行可能で、それ以東も海氷の発達が比較的弱く、北東航路が北西航路よりも早く開通・一部実用化されたのも、この暖流によるところが大きい。一方、太平洋と北極海をつなぐベーリング海峡は狭いうえに平均水深45mと浅く、流入する海水も少量で、大西洋系に比べはるかに小さな影響しか北極海に及ぼさない。北極海が広義には大西洋の属海とされるのも、この海水循環の関係による。一方、ベーリング海峡周辺からシベリア北方、北極海中央部寄りを通過し、グリーンランド北部へと向かう海流があり、これはグリーンランド東部をながれる寒流の東グリーンランド海流として大西洋へ流れ出す。

北極海に注ぎ込む河川は幾つも存在するが、主な河川としては、ユーラシア大陸から流れてくる、レナ川エニセイ川オビ川、北アメリカ大陸から流れてくる、マッケンジー川が挙げられる。

北極海中央部には永久氷が存在しており、これは一年を通じて溶けることはない。大陸である南極とは違い、北極の氷は海水が凍ったものであるため、わずかながら塩分が含まれている。一方、大陸沿岸の水域の氷は夏にはとけることも多く、これを利用して水運も行われるが、その場合でも溶けきれない氷山の浮遊が多く、航行には注意が必要である。秋になると大陸沿岸には岸に沿って沿岸定着氷が発達し[5]、沖合の永久氷と接続して北極海のほぼ全域が氷におおわれることとなる。ただし、海流や地形の影響によって、氷の中にぽっかりと凍らない水域ができることがあり、ポリニヤと呼ばれるこの水域は各地に点在し、北極海に生息する動物たちが多く集まる場所となっている。

北極海には多数の島々が存在している。ユーラシア大陸側にはスバールバル諸島コルグエフ島ノヴァヤ・ゼムリャゼムリャ・フランツァ・ヨシファセーヴェルナヤ・ゼムリャノボシビルスク諸島ウランゲル島などがある。北アメリカ大陸側には北極諸島と総称されるエルズミーア島バフィン島デヴォン島ビクトリア島バンクス島メルビル島などが浮かぶ。
沿岸都市

沿岸でもっとも大きな都市は付属海である白海に面するアルハンゲリスクであり、人口は約35万人に上る。アルハンゲリスクは冬季に結氷するものの、18世紀初頭にピョートル大帝大北方戦争においてスウェーデンからバルト海沿岸を奪取しサンクトペテルブルクを建設するまではロシア唯一の海への出口であり、商港として栄えた。ついで大きな町は、コラ半島北部に位置し北極圏に属するムルマンスク(人口約30万人)である。ムルマンスクはノルウェー海流の影響を受けて不凍港であり、軍港として重要である。この2都市を除けば人口10万を超える都市は北極海沿岸には存在しない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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