北朝鮮核問題
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核兵器
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チョソングル:???
漢字:核武器
RR式:Haek-mugi
MR式:haeng-mugi
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北朝鮮核問題(きたちょうせんかくもんだい)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による核兵器の開発および核拡散に関する問題。

北朝鮮の最高指導者である金正恩は、2013年に「経済建設と核武力建設の並進路線」をみずからの総路線とする談話を発表し、核保有の恒久化を宣言した[1]。また、2016年以降、北朝鮮が核保有国であることを正式に認めている[2]。2013年4月、北朝鮮は「自衛的核保有国の地位をより強固にする法律」を採択し、「敵対的核保有国」であるアメリカ米韓相互防衛条約を結んでいる韓国日米安全保障条約を結んでいる日本を「核兵器による攻撃対象」に定めた[1]

北朝鮮はこれらに先立つ1993年と2003年にはNPT脱退を表明し、2006年2009年2013年2016年1月、2016年9月2017年核実験を実施した。また1998年のパキスタン核実験への関与疑惑、1993年以降の核弾頭運搬手段ともなりうるミサイル発射実験、第三国やテロリストへの核兵器技術移転の疑惑あるいは懸念が持たれている。

北朝鮮は労働党機関紙「労働新聞」(2018年2月23日付)に「私たちの共和国が核を放棄することを望むのは海の水が乾くのを待っているよりも愚かなこと」として核放棄を条件にするいかなる交渉の拒否を表明している。[3][4]
概要欄

北朝鮮は建国以来、核兵器に関して関心をもっていたとされる。当時の東側諸国の中で核開発能力を持っていたのはソビエト連邦(ソ連)、のちに中華人民共和国(中国)が加わることになるが、ともに原子力の平和利用を行う分には熱心に協力したが、核武装の協力に関しては消極的であった。北朝鮮が本格的に核開発に取り組んだのは朝鮮戦争休戦後とされる。具体的には1956年3月と9月、ソ連との間に原子力開発に関する基本合意を行い、数人の科学者をソ連のドゥブナ核研究所に派遣した。また、小規模の研究用原子炉であるIRT-2000研究用原子炉の供与を受け、寧辺核施設に建設された。ソ連は、原子力の協力は平和利用に限定されるべきとの立場を崩さなかった。しかし北朝鮮はあくまで核兵器を持つことに執着し、1964年原爆を保有した中国に支援を要請したが、これも拒否されたと伝わっている。

この後も核開発計画は放棄されることはなく、東側諸国の政府関係者の証言とアメリカの偵察衛星1982年以降に撮影した写真の分析から、平安北道寧辺郡に新たな原子炉が建設されていることが判明した。アメリカは当時のソ連に対して北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)に加盟するように働きかけた。結果として北朝鮮はNPTに加盟することになり国際原子力機関(IAEA)の監視下に置かれたが、その後も核開発計画を進行させている疑惑がくすぶり続けた。そして1986年3月、寧辺の衛星画像で幾つかの円筒状のクレーターが確認され、これが高性能爆発実験の痕跡と判明し、原爆開発計画を進めているとされる証拠となった。その後、寧辺や泰川郡(平安北道)に大型黒鉛減速炉が建設されていく様子も偵察衛星から判明し、徐々に国際問題化していった。
NPT脱退と核実験の実施

北朝鮮は2003年1月10日アメリカの軍事的脅威を理由に挙げ、核拡散防止条約第十条を根拠にNPTからの脱退を通告した。そして2005年2月10日、公式に核兵器の保有宣言を行い、2006年10月9日に地下核実験を行ったことから当条約上で定義された「核兵器国」以外の事実上の核保有国となった。

NPT脱退については、同条約の第十条に脱退条項が存在し、国際法上は通告から3ヶ月後に有効になると解されているため、国際法上は当条約上の拘束を受けないかたちとなる。しかし、アメリカは北朝鮮のNPT上の義務について判断しない立場をとっており、NPTの運用機関においても、議長が北朝鮮のネームプレートを「預かる」ことで北朝鮮の立場を曖昧にしておく異例の政治判断が継続して採られている[5]

リトルボーイ広島に投下)やファットマン長崎に投下)といった開発初期の原子爆弾は、北朝鮮のような発展途上国では設備を備えることすら不可能なほど巨大であった。しかし、米シンクタンクの憂慮する科学者同盟(UCS)(英語版)のミサイル問題専門家は、第二次世界大戦当時の原子爆弾は技術的不安が多く、計算よりもかなり大量の爆薬を使って構造も頑丈にしているため重量があるのにすぎず、現在では核兵器に関して既知となっている研究も多く、当時とは技術的背景も異なるため、現在の北朝鮮の原子爆弾と単純に比較することは不適切としている[6]。また、米シンクタンク科学国際安全保障研究所(ISIS)(英語版)の研究者らは原子爆弾のサイズを小さくすること自体は原子爆弾の設計が初歩的であったとしても可能としている[7][8]
核開発の継続とその目的寧辺核施設

2006年の核実験を皮切りに、北朝鮮は2013年までに3回の核実験を行い、また、中国が1960年代に開発した弾道ミサイルに搭載可能なウラン爆縮型原子爆弾の設計図が核の闇市場かパキスタンから直接北朝鮮に入っている可能性が高く、700 kgから1,000 kgまでの小型化に成功しているのではないかといわれている[9][10]

北朝鮮で配備中の核兵器は2013年においては原爆だと考えられている。しかし水爆開発の基礎実験を行った疑惑もあり、水素爆弾強化原爆も開発中だと考えられている[11]。特に強化原爆については2013年2月12日に行った3回目の核実験にて、最大40 キロトン(kt)という解析[12]も出ており、保有に至った可能性も否定できない状況となっている。

2010年時点では保有数についてはファットマンのような初期型原爆の技術水準で20 ktの出力を狙った場合、最大6個と考えられていたが、核の闇市場からの技術流入や核実験の成果を想定した場合、インド・パキスタンのような中級技術と同程度と考えられ、その場合、20 ktの出力を狙うと最大17個保有していると考えられている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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