北斗衛星導航系統
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2014年3月、中国航天科工情報技術研究院の西安航天華迅公司で第4世代の高性能北斗/GPSナビゲーションチップが開発された[13]。第4世代GPSと北斗デュアルモード測位チップはそれぞれ0.11μmと40nmのプロセスルールで製造され、この第4世代チップの捕捉感度は-147dBm、追跡感度は-163dBmに達し、精度は2.5mに達する[13]。8月に北斗チップである泰斗微電子社のTD1020を搭載した中興通訊(ZTE)のスマートフォン「G601U」(BDS/GPSナビゲーション、防塵・耐衝撃・防水)が大量生産された。10月に55nmの製造工程を採用して、北斗無線チップと北斗ベースバンドチップを統合した北斗シングルチップが杭州中科微電子有限公司で開発された。11月に上海軍民両用技術促進大会で、プロセスルール40nmの北斗ナビゲーションチップ「航芯1号」が上海北伽ナビゲーション科学技術有限公司から発表された[13]
実験システム(北斗-1)
詳細

北斗-1は4機(3機が稼働、1機は予備)の衛星から構成される実験的な航法システムである。衛星自体は中国のDFH-3静止通信衛星を元にしており、打ち上げ重量はそれぞれ1000kg[14]である。中軌道の衛星を用いるアメリカのGPS、ロシア連邦GLONASS、ヨーロッパのガリレオシステムと異なり、北斗-1は静止衛星を使用するため、このシステムは大規模な複数の衛星を必要としないが、地球上で使用できる範囲が衛星を見通せる地域に限定[15][16]される事を意味する。利用できる地域は東経70°から140°、北緯5°から55°の範囲[17]である。使われる周波数は2491.75 MHz。
進展状況

最初の衛星である北斗-1Aは2000年10月31日に軌道に投入された。2機目の北斗-1Bは2000年12月21日に打ち上げられた。3機目の北斗-1C(予備機)は2003年5月25日に軌道投入され[15]、実験システムが完成した。
測位

2007年, 新華社通信は, 北斗の解像度は0.5 mと報告した。現存する利用者端末では, 校正した場合の精度は20 mと思われる(校正しないと100 m)。

海洋監視船などの公用船だけでなく、民間の漁船にも利用が進んでおり、2012年時点で約20万隻が利用している[18]という。

2013年の中国の衛星航法測位サービス産業の総生産額は『中国衛星航法測位サービス産業発展白書(2013年度)』によると、1040億を超え、2012年を28.4%上回り、北斗の生産額は100億元を超え、産業に占める割合は9.8%に達した。ナビゲーション・測位端末の総販売台数は3.48億台を突破した。2013年末までに、中国の北斗端末の民間保有量は130万セットを超えた[13]

2014年1月28日、交通運輸部公安部、国家安全生産監督管理総局は、『道路運輸車両動態監督管理方法』を共同で発布し、「観光バスやチャーターバス、3類(隣接県間の旅客運輸)以上の路線バス、危険貨物運輸車両は出荷前、基準に合った衛星測位装置に取り付ける」「重型トラックとセミトレーラートラクターは出荷前、基準に合った衛星測位装置に取り付ける」との規定を設けた[13]

8月9日、9月8日、10月20日、11月15日、11月20日、12月11日にそれぞれ、「リモートセンシング衛星20号」「リモートセンシング衛星21号」「リモートセンシング衛星22号」「リモートセンシング衛星23号」「リモートセンシング衛星24号」「リモートセンシング衛星25号」の6基のリモートセンシング衛星を打ち上げた[19]

2015年5月19日、中米両国の衛星ナビゲーションシステムに関する最初の会議が北京市で開かれ、北斗とGPSの両システムの日常的な交流・協力のメカニズムを構築し、頻繁な会議を通じて協力を引き続き進め、共同ワークスチームを組織し、双方がともに関心を寄せる議題をめぐって協議する『中米民用衛星ナビゲーションシステム(GNSS)連合協力声明』が締結された[20]

中国国内では、スマートフォンや自動車などでの北斗対応サービスの市場規模が2019年で3450億元に達した。北斗対応の端末などは約120カ国へ輸出されている。中国と親密なパキスタンでは軍用機巡航ミサイルの誘導にも採用されている[3]
位置の計算

位置を計算する為以下の手順[15]が用いられる。
遠隔端末から空へ向かって信号が送信される。

それぞれの静止衛星が信号を受信する。

それぞれの衛星が端末からの信号をそれぞれ受信した正確な時刻を地上局へ送る。

地上局では端末の緯度と経度を計算してデーターベースの地図から高度を認識する。

地上局から端末へ三次元の位置を衛星に送る。

衛星から計算された位置データを端末へ送る。

2007年、北斗システムの精度はGPS単独よりもかなり高く、最高0.5m[21]であり、既存の利用者は端末の校正により20m精度(校正しない場合は100m精度)[22]に出来ると新華社が報じている。
端末

衛星は地上局と遠隔端末の両方と通信することになるため、これを利用して短いメッセージの送受信(漢字120文字/回)が可能である。

2008年時点で北斗-1の端末の1台あたりの費用は20000元(US$2,929)で、GPSのおよそ10倍の値段[23]である。端末が高価な理由として輸入された集積回路を使用しているからと言われるが、代替品のチップを用いる事により値段を1000元以下に出来る[24]と見られる。2009年11月16日から21日に深?市で開催された中国ハイテクフェア ELEXCON 2009では、端末価格は3000元以下[25]だとされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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