北大西洋条約機構
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2021年12月、ロシアは新たにNATOへの加盟を求めるウクライナに対して、ウクライナ周辺の4か所にロシア軍の部隊を集結させ最大17万5000人規模にまで増強して威圧[37]ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年))。2022年2月24日ウクライナへの全面侵攻を開始した[38]

11月15日には加盟国のポーランド(ウクライナとの国境に近いプシェヴォドゥフ)にロシア製のミサイルが着弾し、2名が死亡した。NATO史上、加盟国にミサイルによる被害を受けたのは初である[39]ウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは、ロシアからの攻撃と発言したが、アメリカ合衆国のバイデン大統領は、ロシアから攻撃された可能性は低いと発言[39]した。その後、着弾したミサイルについてポーランド・ウクライナ国境近くにあるウクライナ側の電力施設を狙ったロシアのミサイル攻撃に対して、ウクライナ軍が迎撃のために発射したS-300ミサイルだったとの可能性が浮上し、ポーランドの大統領アンジェイ・ドゥダは、ロシアによる意図的な攻撃ではなく「不運な出来事」であったと発表し[40]、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は意図的な攻撃やロシアによるNATOへの軍事行動の兆候を否定したうえでウクライナの迎撃ミサイルの公算が大きいという認識を示しつつ、最終的な責任は戦争を始めたロシア側にあると強調した[41]

ソ連崩壊以降、西側志向と親ロシアの間で揺れてきたウクライナは、ロシアによる全面侵攻を受けてNATOとEUへの加盟を目指す路線を鮮明にし、NATOもロシアの膨張主義を食い止めるためウクライナへの支援を行なっている。2023年6月15?16日開催されたNATOの国防相会合では、ウクライナとの協議隊を「委員会」から対等の立場の「ウクライナ理事会」に昇格させることを決定するとともに、冷戦後では初となる、機密扱いの新地域防衛計画を協議した[42]
フィンランド加盟

ウクライナ侵攻の影響を受けて、フィンランドはロシアからの攻撃を徹底的に防ぐため、1948年以来、75年間も続けていた中立政策も放棄し[43]2023年4月4日、NATOに加盟した[16][44][45]。これによってNATO加盟国とロシアの国境線が1340キロメートル延びた。現在、フィンランド軍がNATO軍の一員として欧州北部に滞在するロシア軍に対する防衛工事を始めている[46][47][48]。ロシアはフィンランドに対抗措置を講ずると反発した[49]
スウェーデン加盟

スウェーデンはナポレオン戦争以後「中立」「非同盟」を200年以上掲げ続けてきたが、ロシアのウクライナへの侵攻を受け、2022年5月に隣国フィンランドと一緒にNATO加盟を申請した。2024年1月23日にトルコ、2月26日にハンガリーと、承認を先延ばした残り2国がスウェーデンの加盟を承認し[50][51]、3月7日、スウェーデンの加盟手続きが完了し、正式な加盟国になった[3][5]
組織構成2010年に開催された加盟国同士による北大西洋評議会(ブリュッセル)

NATOには超国家的な中央機構は存在しておらず、その盟主は「各加盟国の政府それぞれ」であり「各国政府の権利は平等」とされている。そのため中央機関であり、加盟国の政府代表が参加する北大西洋理事会: North Atlantic Council、NAC)においては、あらゆる議案が全会一致によって承認・決定されている。多数決の制度は採用されていない。

理事会ではNATOが抱えるあらゆる問題が協議され、各加盟国からの代表によって週1回行われる「常設理事会」と、慣例上年2回行われる外相・国防相など閣僚級の理事会、さらに臨時で行われる首脳会合などによって意思決定が行われる。この席上においてNATO事務総長は理事会の実施する各種会議の議長としての役職を担い、事務総局はその補佐を行う。

これら理事会・防衛計画委員会の下にはさらに、この2つの組織を支援するための常設委員会が設置されており、また必要にあわせて臨時の委員会も設置が可能となっている。

軍事機構に関しては、「軍事委員会」が理事会と防衛計画委員会の決定のもとでNATO軍の各級司令部を統制する。この軍事委員会は任期制の委員長と各加盟国軍の参謀総長クラスの将官によって構成され、下部組織として加盟国の大将・中将により構成される『常設軍事代表委員会』、各国軍の派遣幕僚による「国際参謀部」が付設されている。

北大西洋理事会(各種問題の協議)

防衛計画委員会(軍事問題の協議。2010年にNACに吸収)

計画グループ(核問題に関する審議)

NATO事務総長(理事会主催の会合での議長役)

国際事務総局


軍事委員会(軍事機構の統括)

常設軍事代表委員会

国際参謀部


常設委員会(理事会の支援)


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