北大西洋条約機構
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しかしロシアはウクライナ、ジョージアのNATO加盟は断固阻止する構えを見せ、ロシアの首相として実権を握り続けていたへのプーチンは2008年のNATO-ロシアサミットで、もしウクライナがNATOに加盟する場合ロシアはウクライナ東部(ロシア系住民が多い)とクリミア半島を併合するためにウクライナと戦争をする用意がある、と公然と述べた[34]。そしてプーチンの言葉通り、ウクライナにおいて親米欧派政権が誕生したのを機に、クリミア半島およびウクライナ東部にロシアが軍事介入し、ウクライナ東部では紛争となった。

2017年にアメリカ合衆国で大統領選挙中からNATO不要論を掲げたドナルド・トランプ大統領に就任すると、アメリカ合衆国とそれ以外の軍事費負担の格差に不満を隠さなくなり、2017年7月にはトランプがNATO事務総長との朝食会の場で、ドイツなどに対して軍事費負担の少なさについて不満を展開。「こんな不適なことに我慢していくつもりはない」と主張するなど[35]、アメリカ軍の関与を縮小する意向を示していた。2019年1月にはトランプがNATO離脱意向を漏らしたと報道された[36]

2020年、アメリカ合衆国が領空開放条約から離脱したことを受け、ロシア側も翌年に離脱した[33]

2021年12月、ロシアは新たにNATOへの加盟を求めるウクライナに対して、ウクライナ周辺の4か所にロシア軍の部隊を集結させ最大17万5000人規模にまで増強して威圧[37]ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年))。2022年2月24日ウクライナへの全面侵攻を開始した[38]

11月15日には加盟国のポーランド(ウクライナとの国境に近いプシェヴォドゥフ)にロシア製のミサイルが着弾し、2名が死亡した。NATO史上、加盟国にミサイルによる被害を受けたのは初である[39]ウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは、ロシアからの攻撃と発言したが、アメリカ合衆国のバイデン大統領は、ロシアから攻撃された可能性は低いと発言[39]した。その後、着弾したミサイルについてポーランド・ウクライナ国境近くにあるウクライナ側の電力施設を狙ったロシアのミサイル攻撃に対して、ウクライナ軍が迎撃のために発射したS-300ミサイルだったとの可能性が浮上し、ポーランドの大統領アンジェイ・ドゥダは、ロシアによる意図的な攻撃ではなく「不運な出来事」であったと発表し[40]、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は意図的な攻撃やロシアによるNATOへの軍事行動の兆候を否定したうえでウクライナの迎撃ミサイルの公算が大きいという認識を示しつつ、最終的な責任は戦争を始めたロシア側にあると強調した[41]

ソ連崩壊以降、西側志向と親ロシアの間で揺れてきたウクライナは、ロシアによる全面侵攻を受けてNATOとEUへの加盟を目指す路線を鮮明にし、NATOもロシアの膨張主義を食い止めるためウクライナへの支援を行なっている。2023年6月15?16日開催されたNATOの国防相会合では、ウクライナとの協議隊を「委員会」から対等の立場の「ウクライナ理事会」に昇格させることを決定するとともに、冷戦後では初となる、機密扱いの新地域防衛計画を協議した[42]
フィンランド加盟

ウクライナ侵攻の影響を受けて、フィンランドはロシアからの攻撃を徹底的に防ぐため、1948年以来、75年間も続けていた中立政策も放棄し[43]2023年4月4日、NATOに加盟した[16][44][45]。これによってNATO加盟国とロシアの国境線が1340キロメートル延びた。現在、フィンランド軍がNATO軍の一員として欧州北部に滞在するロシア軍に対する防衛工事を始めている[46][47][48]。ロシアはフィンランドに対抗措置を講ずると反発した[49]
スウェーデン加盟

スウェーデンはナポレオン戦争以後「中立」「非同盟」を200年以上掲げ続けてきたが、ロシアのウクライナへの侵攻を受け、2022年5月に隣国フィンランドと一緒にNATO加盟を申請した。2024年1月23日にトルコ、2月26日にハンガリーと、承認を先延ばした残り2国がスウェーデンの加盟を承認し[50][51]、3月7日、スウェーデンの加盟手続きが完了し、正式な加盟国になった[3][5]
組織構成2010年に開催された加盟国同士による北大西洋評議会(ブリュッセル)

NATOには超国家的な中央機構は存在しておらず、その盟主は「各加盟国の政府それぞれ」であり「各国政府の権利は平等」とされている。


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