北大西洋条約機構
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2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件への対応については、10月2日に北大西洋条約第5条を発動し、共同組織としては行動しなかったものの、アフガニスタン攻撃アフガン侵攻イスラム原理主義武装勢力のタリバンをアフガン政府から追放した作戦)やアメリカ本土防空、領空通過許可等の支援を実施している[31]。その後の対テロ戦争には賛同しつつも、各国が自主的に参戦するに留め、新生アフガン軍の訓練にNATOの教官が参加することで協力した。

しかし、2003年のイラク戦争にはフランスとドイツが強く反対したために足並みは乱れ、アメリカ合衆国に追従するポーランドなど東欧の新加盟国と、仏独など旧加盟国に内部分裂した。

2005年にはアフガニスタンでの軍事行動に関する権限の一部が、イラク戦争で疲弊したアメリカ軍からNATOに移譲され、NATO軍は初の地上軍による作戦を行うに至った。2006年7月にはアフガニスタンでの権限を全て委譲され、NATO加盟国以外を含む多国籍軍である国際治安支援部隊(ISAF)を率いることとなった。詳細は「国際治安支援部隊」を参照
米露新冷戦詳細は「新冷戦」を参照

2002年1月。1992年にワルシャワ条約機構に加盟していた国々との間で調印された「領空開放条約」が発効した[32][33]
ロシア-グルジア戦争詳細は「ジョージア (国)#ロシア-グルジア戦争」および「南オセチア紛争 (2008年)」を参照

2000年代後半に入り、アメリカ合衆国が推進する東欧ミサイル防衛問題や、ロシアの隣国であるウクライナ、ジョージア(グルジア)がNATO加盟を目指していることに対し、経済が復興してプーチン政権下で大国の復権を謳っていたロシアは強い反発を示すようになった。2008年8月にはグルジア紛争が勃発、NATO諸国とロシアの関係は険悪化し、「新冷戦」と呼ばれるようになった。ロシアは2002年に設置されたNATO-ロシア理事会により準加盟国的存在であったが、2008年8月の時点ではNATOとの関係断絶も示唆していたが、2009年3月には関係を修復した。
ロシアによるウクライナ侵攻「ウクライナ紛争 (2014年-)」、「ロシアによるクリミアの併合」、および「2022年ロシアのウクライナ侵攻」を参照

しかしロシアはウクライナ、ジョージアのNATO加盟は断固阻止する構えを見せ、ロシアの首相として実権を握り続けていたへのプーチンは2008年のNATO-ロシアサミットで、もしウクライナがNATOに加盟する場合ロシアはウクライナ東部(ロシア系住民が多い)とクリミア半島を併合するためにウクライナと戦争をする用意がある、と公然と述べた[34]。そしてプーチンの言葉通り、ウクライナにおいて親米欧派政権が誕生したのを機に、クリミア半島およびウクライナ東部にロシアが軍事介入し、ウクライナ東部では紛争となった。

2017年にアメリカ合衆国で大統領選挙中からNATO不要論を掲げたドナルド・トランプ大統領に就任すると、アメリカ合衆国とそれ以外の軍事費負担の格差に不満を隠さなくなり、2017年7月にはトランプがNATO事務総長との朝食会の場で、ドイツなどに対して軍事費負担の少なさについて不満を展開。「こんな不適なことに我慢していくつもりはない」と主張するなど[35]、アメリカ軍の関与を縮小する意向を示していた。2019年1月にはトランプがNATO離脱意向を漏らしたと報道された[36]

2020年、アメリカ合衆国が領空開放条約から離脱したことを受け、ロシア側も翌年に離脱した[33]

2021年12月、ロシアは新たにNATOへの加盟を求めるウクライナに対して、ウクライナ周辺の4か所にロシア軍の部隊を集結させ最大17万5000人規模にまで増強して威圧[37]ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年))。2022年2月24日ウクライナへの全面侵攻を開始した[38]

11月15日には加盟国のポーランド(ウクライナとの国境に近いプシェヴォドゥフ)にロシア製のミサイルが着弾し、2名が死亡した。NATO史上、加盟国にミサイルによる被害を受けたのは初である[39]ウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは、ロシアからの攻撃と発言したが、アメリカ合衆国のバイデン大統領は、ロシアから攻撃された可能性は低いと発言[39]した。その後、着弾したミサイルについてポーランド・ウクライナ国境近くにあるウクライナ側の電力施設を狙ったロシアのミサイル攻撃に対して、ウクライナ軍が迎撃のために発射したS-300ミサイルだったとの可能性が浮上し、ポーランドの大統領アンジェイ・ドゥダは、ロシアによる意図的な攻撃ではなく「不運な出来事」であったと発表し[40]、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は意図的な攻撃やロシアによるNATOへの軍事行動の兆候を否定したうえでウクライナの迎撃ミサイルの公算が大きいという認識を示しつつ、最終的な責任は戦争を始めたロシア側にあると強調した[41]


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