しかし、石油資源は中東地域への偏在が大きいため、オイルショック以降は世界各地に存在する天然ガスも燃料として盛んに使用されるようになった[24]。その後いったん原油価格は低迷したものの、21世紀に入り原油価格が急騰すると、シェールガスやシェールオイルといった、従来コスト高のため放置されていた化石燃料、いわゆる非在来型化石燃料の開発が始まった[25]。さらに同時期、新たな燃料として海底に存在するメタンハイドレートの研究が盛んとなったが、採取の難しさや温室効果が高いことなどから実用化はなされていない[26]。
化石燃料はいずれも燃焼時に大量の温室効果ガスを排出するが、種類別にみると褐炭の単位当たり排出量が極めて大きく、石炭や石油も多い一方で、天然ガスの排出量はやや少なくなっている[27]。このため液化天然ガスの利用が21世紀に入り推進されている[28]。 石油生産量は需要増に伴って増加傾向にあり、2016年には日量9215万バレルとなっている。2018年時点で石油生産が最も多い国家はアメリカ合衆国であり、次いでサウジアラビア、ロシアの順となり、この3ヶ国が日量1000万バレルを超えている。4位のカナダが520万バレルで、5位以下は500万バレルを下回っており、上位3ヶ国の生産がやや突出している。なお5位以下は、イラン、イラク、アラブ首長国連邦、中華人民共和国、クウェート、ブラジルの順となっている[29]。かつては長らくロシアとサウジアラビアが石油生産量トップの座を争っていたが、シェールオイル開発の発展に伴い2010年代に入るとアメリカの生産量が急伸し、2018年に世界最大の産油国となった[30]。天然ガス生産は2016年に約3.6兆m3となっている[31]。石炭生産量は2016年度には約73億トンであり、そのうち中華人民共和国が32億トンと40%以上を占めており、2位のアメリカの約7億トンの4倍以上となっている。なお、3位以下はインド、オーストラリア、インドネシア、ロシア、南アフリカ、ポーランド、カザフスタン、コロンビアの順となっている[32]。 部門別に見ると、石油消費は運輸部門で圧倒的に大きく、同部門の総エネルギー消費の90%以上は石油によってまかなわれている[33]。これは、自動車や飛行機、船舶などの燃料が石油によってほぼ占められていることによる。電気やエタノールなどによる代替燃料開発も進められているものの石油に取って代わることは困難であり、2040年度予測でもこの状況にそれほどの変化はないと考えられている[34]。同じく石油が代替困難なもう一つの分野は石油化学工業部門であり、やはり同様に2040年度においても大半は石油を使用したままだと考えられている[34]。天然ガスは産業部門と発電部門で主に用いられるが、需要の伸びは2010年代に入り減速している[35]。石炭使用は2000年代に入り急伸したが、二酸化炭素排出が大きく環境への負荷が大きいことから先進国を中心に代替が進み、発展途上国での使用が中心になるとみられている[36]。石炭は発電部門のほぼ50%を占めているほか、産業部門でも熱の供給や鉄鋼製造などにおいて広く使用されている[37]。 化石燃料は有限であり、さらに世界経済の成長に伴って消費量が急増を続けていることから、1970年代より化石燃料の枯渇は問題として長く叫ばれ続けている。一方、探査の進展や採掘技術の進歩などによって可採埋蔵量は増加し続けており、そのため可採年数はほぼ変化していない[17]。
生産と消費