化石人類
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

J.T.ロビンソンは、ロブストゥス型の猿人は植物性の食物をとり、アフリカヌス型と並行して生活していたと考える[5]。それに対し、アフリカヌス型からロブストゥス型への進化の道すじを考え、ロブストゥス型とホモ・ハビリスとの並行関係を主張する説もある[5]。両説とも、アファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)→アフリカヌス型→ホモ属への樹系には変わりがない[4]
日本出土の化石人骨

日本列島からは、山下洞人沖縄県那覇市)、浜北人静岡県浜松市)、港川人(沖縄県島尻郡八重瀬町港川)、ピンザアブ洞人(沖縄県宮古島)などの更新世人類が出土している。

山下洞人は今から約3万2,000年前で、いまのところ日本最古の化石人骨である。港川人は、骨の遺存しやすい石灰岩の割れ目からほぼ9体分が出土した良好な資料で、中国南部の柳江人に相似する[注釈 3][注釈 4]。約1万8,000年前の更新世人類と推定される[4]。浜北人は、1960年(昭和35年)から1962年(昭和37年)にかけて見つかったもので、約1万4,000年前のものと考えられる。ピンザアブ洞人は、1979年(昭和54年)から1983年(昭和58年)にかけて発見され、推定年代は約2万6,000年前で、港川人に先行するものと考えられる。

直良信夫によって発見され、「明石原人」として有名な人骨については、長いあいだ明石原人論争がつづいてきたが、検討の結果、遠藤萬里と馬場悠男によって縄文時代以降の人骨ではないかとする見解が示され、原人ではない可能性が示された[6]。同人骨の実物は、失われてしまっており、完新世のものであるという説が有力であるが、なおも更新世人骨とする見解があり、論争は決着していない。しかし、日本における更新世人類の存否を提起した点で重要な意味があった。

2000年平成12年)秋に表面化した旧石器捏造事件により、旧石器時代の遺跡の再調査がおこなわれ、それにともない、従来、更新世人類とされてきた牛川人愛知県豊橋市)、三ヶ日人(静岡県浜松市)、葛生人(栃木県佐野市)、聖嶽人大分県佐伯市)については、放射性炭素年代測定フッ素含有量の測定にもとづく理化学的な調査がおこなわれた。その結果、いずれも縄文時代以降の化石人骨である可能性が高くなった。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 言い換えれば、類人猿と猿人との区別は直立二足歩行を可能とする形質の有無だけである。
^ 「トゥーマイ猿人」の名で知られるが、「トゥーマイ」とはチャドの現地語で「生命の希望」という意味である。
^ 港川人骨は、頭から足まで骨のそろったアジアでも第一級の資料である。堤(1997)p.81
^ 港川人は、縄文人よりはネアンデルタール人に似た形質をもっているとの指摘があり、また、柳江人とは類似するものの、同時代と目される中国北部の周口店上洞人とは相対的にあまり似ていないと報告されている。高山(1990)pp.38-39

参照^ 阿部(1997)p.156
^ 大塚・戸沢(1996)p.56
^ a b c d e f g h 香原(2004)
^ a b c d e 堤(1997)pp.80-81
^ a b 田辺・富田(1977)pp.156-157
^ 堤(1997)pp.80-81。原出典はEndo,Baba(1982)

参考画像

化石人骨標本(The Museum of Osteology、アメリカ合衆国オクラホマ・シティ

霊長類の頭骨と脳容量

人類の拡散

ラミドゥス猿人(アルディピテクス・ラミドゥス)の骨格復元図

アウストラロピテクス・アフリカヌスの頭骨

ルーシー」と名づけられたアウストラロピテクスの人骨

パラントロプス・ボイセイの頭骨

ネアンデルタール人の頭骨

ネブラスカ人生活復元図(「図解ロンドンニュース」より)

オルドヴァイ(タンザニア)で見つかった礫石器(170万年前)

イギリスのケントで見つかった旧石器時代ハンドアックス(握槌)

ヴィレンドルフのヴィーナス(2万4,000年 - 2万2,000年前

クロマニョン人によって描かれたラスコー洞窟の壁画(1万5,000年前)

アラゴ渓谷(フランス)での化石人骨発掘調査風景

参考文献

田辺義一、富田守『人類学総説』垣内出版、1977年6月。 

高山博 著「日本原人は実在したか」、鈴木公雄 編『争点日本の歴史1 原始編』新人物往来社、1990年10月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-404-01774-X


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:48 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef