化学
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この周期律を簡略な表にまとめた周期表は化学のバイブルとまで呼ばれる[19]

元素の性質を記述することは、化学の中でも量子力学統計力学が取り扱う。周期律は、量子力学の成立をもって初めてその本質が明瞭になった[7]。原子内の電子配置はボーアの原子模型では限界がある[21]ので、波動力学パウリの排他原理波動関数[22]、そして電子のエネルギー準位で説明される[20]。統計力学は、物質の状態(三態)や性質などを巨視的に理解する上で必須の方法論を提供し、実験の結果をもたらす上で大きな役割を持つ[7]
化学結合詳細は「化学結合」を参照

物質は原子から構成されるが、その原子が結びついて分子をつくる。この結び付きを化学結合と呼び、これを理解することで化学は発展してきた[23]

19世紀以前、原子間の結びつきは化学反応を説明するために考えられた。基礎的な概念に当たる化学親和力や、続く電気化学的二元論原子価が提唱されたが、それでも一部の結合しない原子の組み合わせを説明できなかった[24]。20世紀に入りドイツのヴァルター・コッセル(en)がイオン結合を理論化し、それでも解釈不能な水素分子など無極性分子の説明にアメリカのギルバート・ルイスアーヴィング・ラングミュアがそれぞれ独立に共有結合の概念を提案した[25]。量子力学は分子構造論も深化させ、二原子分子の安定を説明した交換相互作用分子軌道原子軌道を明らかにした波動関数[26]金属結合の実際を自由電子モデルから進めたバンド理論[27]などをもたらした。キシレンの位置異性体。左からオルト、メタ、パラ。構成する原子の数と種類はまったく同じだが、別の分子である。
分子の構造詳細は「分子」を参照

分子は、その物質が持つ特性を維持したまま分割できる最小の単位と言える[28]。静電気力で結合するイオン結合には方向性が無いが、共有結合は異方性がある。簡単な共有結合分子は原子価殻電子対反発則で説明され、これに電子軌道の考え方を加えれば、分子やイオンの構造についての理論的根拠になる[29]

その一方で、同じ種類と数の元素が組み合わさった分子でも、その構造で物性に差があることが判明している。不斉炭素原子と共有結合する4つの原子団が結合する位置の違いから生じる光学異性体立体異性体や、また炭素などの二重結合部分が回転しないために生じる幾何異性体などは、同一の構造式でありながら異なる性質を持つ分子となる。ベンゼン環に結合する置換基の位置(オルトなど)による構造異性体も一例に当たる[30]エタン類など回転が可能な分子においても、立体障害などによる特性の差異は生じる[30]。さらに近年では知恵の輪のようなカテナンやサッカーボールもどきのフラーレンなど、風変わりな構造を持つ分子も発見されている[31]気体、液体、固体、そしてプラズマ間の構造相転移の一覧
物質の状態詳細は「物質の状態」を参照

原子や分子がある程度の量あつまると、特徴的な性質をもった集団を形成する。これをといい、大きく分けて固体液体気体物質の三態)などがある[32]。閉鎖系において物質がこれらの相を取るには温度圧力が影響し、ギブズ相律という法則に則った状態を取る。これは物質ごとに相図というダイアグラムで示される[32]

気体は反応に乏しく、体積や圧力など物理的性質や変化などを中心に扱う。しかしそれらのマクロ的なふるまいは、気体では分子が単独で存在する、というミクロな分子の構造や性質に由来する[33]。なお、気体が電離した状態であるプラズマについても、プラズマ化学という分野で取り扱う[34]

液体は分子間力の点から気体と固体の中間にある。加熱や冷却によって気化・蒸発凝固など相の変換を起こす。これは化学における重要な物質生成手段である蒸留にかかわる[35]。また、2つ以上の成分でできた液体、溶液に関して化学では、溶媒と溶質による分散系の性質、浸透圧粘度また表面張力界面張力なども扱う[36]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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