19世紀には各元素の発見が相次ぎ、それぞれの特徴が把握され蓄積されたが、このような性質がどのような原理で生じるかは分かっていなかった。そして、各元素は不変だと考えられていた。しかし19世紀末から20世紀初頭にかけ、放射性元素と放射能が発見され、アルファ崩壊が確認された。これによって、一部の元素は原子量を低くする方向へ分裂する事が判明した[31]。最新の原子論で描くヘリウム。この構造について詳細は原子を参照。詳細は「原子」を参照
アルファ崩壊発見などで業績を残したアーネスト・ラザフォードは原子核を発見し、1911年にラザフォードの原子模型を提唱した。これにニールス・ボーアは量子仮説を加えてボーアの原子模型を発表した。これによって基本的な原子の構造や周期律が生じる理由などが説明され、元素は原子という構造を持つ物質として知られるようになり[32]、その研究は化学から物理学の素粒子物理学分野へと発展していった。詳細は「原子核融合」を参照
1911年、ラザフォードは窒素にアルファ線を放射して水素イオンとその時は検出されなかったが酸素を作り出し、低原子量の元素を転換させることに成功した。1920年代からは様々な元素を人工的に変える実験が行われ、粒子加速器も発明された。これらから、低原子量の元素変換には高いエネルギーが必要になることが判明してきた。1932年には以前から存在が予測されていた中性子が発見され、これを用いた実験を通じて半減期が短く基本的に地球上には存在しない人工放射性元素や超ウラン元素が作られるようになった。さらにこの実験を通じて1938年には核分裂が発見され、人類は原子力エネルギーを手にすることになった[31]。
主な元素の発見
1766年 - 水素(キャヴェンディッシュ)
1772年 - 酸素(シェーレ)
1774年 - 塩素、バリウム、マンガン(シェーレ)
1778年 - モリブデン(シェーレ)
1781年 - タングステン(シェーレ)
1782年 - テルル(E.J.ミュラー)
1817年 - セレン(イェンス・ベルセリウス)
1824年 - ジルコニウム(ベルセリウス)
1828年 - タンタル(ベルセリウス)
1860年 - セシウム(ブンゼン)
1861年 - ルビジウム(ブンゼン)
1894年 - アルゴン(レイリー卿とラムゼー)