動産
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

しかし、無記名債権についても、商法手形法小切手法などの有価証券に関する規定を重視すべきと考えられ[2]、178条に関し、一時期の通説は民法の文理にかかわらず証券の交付を無記名債権の譲渡の効力要件と解していた[3]

無記名債権は2017年の改正民法で「無記名証券」と改められ、記名式所持人払証券に関する規定を準用することになった(民520条の20)[3]。「有価証券 (日本法)」を参照
不動産との比較
民法

所有権などの物権は原則として意思表示のみによって設定・移転することができる(民法176条)。しかし、不動産の場合、それに対する物権の設定や移転を当事者以外の第三者に対しても主張するためには登記をしなければならない(登記が対抗要件となっている)。不動産が誰のどのような権利の対象になっているかを登記によって公示することで取引の安全を図っているのである(例えば、土地に抵当権がついているかどうかは登記によって公示されているので、その土地を買う際に登記さえ見ていれば後に紛争となるリスクを回避できる)。

動産に対する所有権などの物権の設定・移転も意思表示のみによって行うことができるが、通常、不動産のような登記制度はない(物理的に、あらゆる動産の取引状況を登記によって管理することは不可能だからである)。そのかわり、動産の場合には引渡し占有)が対抗要件とされている。つまり、その動産の占有を取得すれば、その動産の所有者であると主張することができるとしたのである。しかし、占有改定が認められているため、実際にある動産を直接占有している人がその動産の所有者とは限らない。よって引渡しでは登記制度ほど明確に権利関係を公示できるわけではない。そこで、相手方の占有を信頼して取引した者を保護するために、動産の占有には公信力が与えられている。つまり、取引の相手方がある動産を適法に所持していると信じ、かつそう信じたことについて過失がなければ、たとえ泥棒などの無権限者から動産を購入した場合でも有効に所有権を取得できるという即時取得(民法192条)が認められている。

ただし、自動車船舶のように不動産の登記に類似した登録方法があり、実際に登録が行われている場合には、不動産と類似の取扱いを受ける。このため、即時取得は認められないと解するのが判例および通説の見解である。
動産・債権譲渡対抗要件特例法

法人の一定の動産譲渡については、2005年(平成17年)に施行された「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」(動産・債権譲渡対抗要件特例法)により動産譲渡登記が認められる。
その他の法律

このほかの動産と不動産との差異としては、民事訴訟法上で不動産に関する訴えは不動産所在地の裁判所に提起することができるとされていること(民事訴訟法5条12号)[2]、税法上において不動産は固定資産税不動産取得税の対象とされていること[2]などがある。
民事執行法上の動産

金銭執行は執行対象財産の種類に応じて、不動産に対する金銭執行(不動産の強制競売・強制管理、不動産競売・担保不動産収益執行)、動産に対する金銭執行(動産執行、動産競売)、債権その他の財産権に対する金銭執行(債権執行、各種財産権執行、少額訴訟債権執行)、船舶・航空機・自動車・建設機械等に対する金銭執行(準不動産執行、準不動産競売)に区分される[4]。この財産の種類の区分は執行手続の構造上の異同によるもので民法における区別とは一致しない[5]
脚注^ a b c 星野英一『民法概論 I 序論・総則 改訂版』良書普及会、1993年、159頁。 
^ a b c d e f 我妻榮、有泉亨、清水誠、田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権 第3版』日本評論社、2013年、193頁。 
^ a b c d 田邊宏康「改正民法における有価証券について」『専修法学論集』第130巻、専修大学法学会、2017年7月、145-174頁、doi:10.34360/00006134、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0386-5800、2022年9月28日閲覧。 
^ 中野貞一郎『民事執行・保全法概説 第3版』有斐閣、2006年、9頁。 
^ 中野貞一郎『民事執行・保全法概説 第3版』有斐閣、2006年、10頁。 

関連項目

箕作麟祥 - 「動産」という訳語を創作した人物

不動産

対抗要件

引渡し

占有権

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律

典拠管理データベース: 国立図書館

フランス

BnF data

ドイツ


記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:17 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef