動物
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このリンネが動物を分けた綱はジョルジュ・キュヴィエ (1812) により "embranchement" (以下門と訳す)とされ、階級としての綱はその下位の階級名として残された[11]。キュヴィエの分類体系では動物を大きく脊椎動物門・軟体動物門・体節動物門・放射動物門の4群に分けた[262]。この階級を「門 Phylum」としたのはエルンスト・ヘッケル (1866) で、脊椎動物門・体節動物門・軟体動物門・棘皮動物門・腔腸動物門の5門を認めた[11]
かつて存在した動物門粘液胞子虫の一種 Myxobolus spinacurvatura(ミクソゾア動物)古鉤頭虫綱の一種 Corynosoma cetaceum(鉤頭動物)サツマハオリムシ Lamellibrachia satsuma(有鬚動物;ハオリムシ動門)イヌシタムシ Linguatula serrata(舌形動物)

研究の進行、特に分子系統解析の台頭により解体または他の動物門の下位に吸収された動物門も多く存在する。詳細は各項を参照。
腔腸動物門 Coelenterata Hatschek, 1888
現在は刺胞動物門および有櫛動物門に分割されている。かつては胃水管系を腔腸 (coelenteron) と呼び、腔腸動物としてまとめられていた[178]。また放射相称動物 Radiata と呼ばれることもあった[37]。有櫛動物は、細胞器官である刺胞の代わりに1個の細胞が変形してできた膠胞を持つことや、上皮細胞の各細胞が2本以上の繊毛を備える多繊毛性であること、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つこと、卵割は決定性卵割であること、複数の感覚器が放射相称的に配置される刺胞動物とは異なり1個のみを反口側に持つことなど、刺胞動物と大きく異なっており、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている[144][178]
ミクソゾア門 Myxozoa Grasse1970
原生動物の一群として扱われることもあったが、極糸が入った極嚢という構造が刺胞に似ており、分子系統解析の結果、現在では刺胞動物に含められる[176][144][263]。後生動物特有の細胞間接着構造や動物のみに存在するHox 型ホメオティック遺伝子を持ち、寄生性の獲得により二次的に退化した体制となったと考えられている[263]
中生動物門 Mesozoa van Beneden, 1876
現在は二胚動物門および直泳動物門に分割されている。Edouard van Beneden (1876) により原生動物後生動物の中間に位置をする動物群として、ニハイチュウ(二胚動物)のみを含む群として設立され、のちに van Beneden (1882) にチョクエイチュウ(直泳動物)がこれに含められた[264]。その後様々な生物が含められたがその正体が渦鞭毛藻ミクソゾアであることがわかり、除かれた[264]Kozloff (1990) は、あるステージのニハイチュウ類はチョクエイチュウ類のそれに表面的には似ているが、それ以外の点においては明確に異なっているとして、これらを独立の門に置いた[265]
一胚葉動物門 Monoblastozoa R. Blackwelder, 1963
1982年にアルゼンチンの岩塩から発見された1層の体皮細胞からなる生物であるが、存在が疑問視されている[266]
袋形動物門 Aschelminthes taxon inquirendum
偽体腔をもつ動物をまとめた「ごみ箱分類群 wastebasket taxon」で、現在は輪形動物鉤頭動物腹毛動物線形動物類線形動物動吻動物胴甲動物鰓曳動物内肛動物に分割されている[39]。鉤頭動物・線形動物・類線形動物は円形動物としてまとめられたこともあった。
前肛動物門 Prosopygii Lang, 1888
箒虫動物苔虫動物腕足動物、ほかにも星口動物およびフサカツギ類などはかつてまとめて前肛動物と呼ばれ1門に置かれていた[267][268]。箒虫動物・苔虫動物・腕足動物の3分類群は現在でも触手冠動物として門より高次の分類群をなすことがある[11]
鉤頭動物門 Acanthocephala Kohlreuther, 1771
現在は輪形動物に内包され、かつての狭義の輪形動物は側系統となる[153]。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、現在の広義の輪形動物を共皮類(多核皮動物[224]) Syndermata とすることもある[153]
有鬚動物門 Pogonophora Johansson, 1937
現在は環形動物門に内包されている[269]。狭義の有鬚動物(ヒゲムシ)と下記のハオリムシは体後端の体節構造および成体での消化管の喪失などの共有派生形質をもち、まとめて有鬚動物とする考えが主流であった[269]。溝副触手綱 Canalipalpata ケヤリ目 Sabellida に含まれる[270]1科、シボグリヌム科 Siboglinidae となっている。
ハオリムシ動物門 Vestimentifera Webb, 1969
現在は環形動物門に内包されている[269]。もともと上記の有鬚動物に含められていたが、ジョーンズ (1985) は体腔の構造の違いを重視し、独立した門に置いた[269]。しかし、当時よりSouthward (1988) のように反対意見も多く、上記のような共有派生形質を持つことから以降も有鬚動物とされることが多かった[269]。現在は上記のシボグリヌム科に含められる。
星口動物門 Sipuncula Rafinesque, 1814
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりフサゴカイ目と姉妹群をなすことが分かった[271]
ユムシ動物門 Echiura Newby, 1940
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりイトゴカイ目に内包されることが分かった[271]
舌形動物門 Pentastomida Diesing, 1836
現在は節足動物門に内包されている。魚類の外部寄生虫である鰓尾類と近縁であることがわかり[272]、21世紀以降はウオヤドリエビ綱の中の1亜綱、舌虫亜綱 Pentastomida Diesing, 1836 とされる[209]
単肢動物門 Uniramia[273]
現在は節足動物門に内包されている。昆虫類および多足類を共通の性質を持つとして合わせ、鋏角類甲殻類とともに独立した門とされることもあった[273]。しかし21世紀以降、昆虫は甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなすことが明らかになっており[207]、もはや用いられない。


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