動物
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水腔動物 Coelomopora(歩帯動物 Ambulacraria)は幼生の形態、三体腔性、軸器官などの形質を共有する[237][11]

棘皮動物は、成体が五放射相称、三胚葉性で、内胚葉由来の中胚葉(内中胚葉)を持つ[246]。腸体腔性の体腔で、体腔に由来する水管系と呼ばれる独自の構造をもつ[246][247]。神経系は中枢神経を持たず、神経環と放射神経からなるが、ウミユリ綱では神経節を持つ[246]ウミユリ綱ヒトデ綱クモヒトデ綱ナマコ綱ウニ綱からなり、分子系統解析によりこれらのうちウミユリ綱が最も祖先的だと考えられている[246][247]。ウニ綱のうちタコノマクラ類やブンブク類では五放射相称が歪み左右相称性を示す[247]

現生の半索動物はギボシムシ綱(腸鰓綱)とフサカツギ綱(翼鰓綱)からなり、化石ではフデイシ綱が置かれる[248][249][250]。どちらも体は前体・中体・後体の3つの部分に分かれるという共通した形質を持ち、前者では吻・襟・体幹と呼ばれ、後者では頭盤・頸・体幹と呼ばれる[251]。ギボシムシ綱では腸体腔と裂体腔をもつとされるが、体腔形成には不明な点も多い[252]。ギボシムシ綱は側系統で、ギボシムシ綱のハリマニア科がフサカツギ綱と姉妹群をなし、フサカツギ綱はギボシムシ綱から小型化によって体が二次的に単純化したと考えられる[251]。半索動物は脊索動物と同様に鰓裂を持つ[250][253]。かつては口盲管という器官が脊索の一種と考えられたこともあったが[252]、口盲管と脊索との関係を支持する発生遺伝学的研究結果はなく[253]、現在では脊索を持たないとされる[250]
脊索動物「脊索動物」も参照

脊索動物 Chordata は頭索動物尾索動物(被嚢動物)・脊椎動物を含むクレードで、一生のうち少なくとも一時期に鰓裂・脊索およびその背側に背側神経管を持つという形質を共有する[250][254]。脊索は膨らませた細長い風船に喩えられる中軸器官で、脊索鞘という繊維質の頑強な膜に脊索細胞が包まれている[250]。頭索動物および尾索動物がもつ内柱は脊椎動物における甲状腺と相同で、甲状腺は内柱の変化したものと考えられている[254]。発生はさまざまであるが発生の一時期には肛門の後方に筋肉により運動する尾状部分があり、オタマジャクシ型幼生(tadpole larva)を経る[254]

脊索動物は脊索と背側神経管という共通する二つの特徴をもつことから1つの門に置かれ、その中の3群は亜門に置かれてきたが、佐藤矩行・西川輝昭 (2014)により、分子系統学的解析および3群がそれぞれ特徴的な形質を持つことに基づいて脊索動物をより高次の上門に置き、3群を門に格上げする考えが提唱された[250][255][256]

以下の3つに分類される[11][254][250]

脊索動物

頭索動物:一生、全体長に渡って脊索を持つ。ナメクジウオの仲間

オルファクトレス

尾索動物:一生(オタマボヤ綱)ないし一時期に尾部に脊索を持つ。ホヤ綱[注釈 34]オタマボヤ綱タリア綱ヒカリボヤウミタルサルパなど)からなる。

脊椎動物:脊索の周囲に脊椎が形成される。無顎類ヌタウナギ類ヤツメウナギ類)、軟骨魚類硬骨魚類条鰭類肉鰭類シーラカンス目ハイギョ目四肢動物))からなる。


Olfactores


尾索動物と頭索動物はかつてまとめて原索動物と呼ばれていた[221]。ホヤ類と頭索動物はともに囲鰓腔を持ち濾過摂食を行うが、後者は肛門が独立して体外に開くことと雌雄異体であることで異なる[250]

脊椎動物から四肢動物を除いたグループは伝統的に魚類と呼ばれ、分岐分類学的には四肢動物は硬骨魚類に含まれるため、側系統群となる[254][257]。同様に四肢動物は両生類爬虫類鳥類哺乳類からなるが[254][257]、このうち爬虫類は羊膜類から鳥類と哺乳類を除いた側系統群である[254][258]
分類の歴史
アリストテレスの分類

伝統的に諸民族で、生物は植物と動物に大別されてきた[2]。古代ギリシアのアリストテレスは『動物誌 Περ? Τ? Ζ?α ?στορ?αι』などの著作において動物と植物の中間的存在を認めつつこの区分を採用し、感覚と運動の能力は動物にだけ見られるとし、霊魂の質的差異によって理論的に説明しようとした[2][259]。さらに動物を赤い血を持つ有血動物(?να?μο?、現代の「脊椎動物」に相当)とそうでない無血動物(?να?μο?、現代の「無脊椎動物」に相当)に二分し、発生様式と足の数を主要な基準として体系的に細分した[2][260]。アリストテレスはリンネ式階層分類とは異なり、全ての上位分類に「類 γ?νο?」を用い[260]、有血動物を人類・胎生四足類・卵生四足類・鳥類魚類に、無血動物を軟体類(μαλ?κια、現在の頭足類)・軟殻類(軟甲類、μαλακ?στρακα、現在の軟甲類 Malacostraca に相当)・有節類(?ντομα、現在の節足動物から甲殻類を除いた概念)・殻皮類(?στρακ?δερμα、現代の貝類に加え、ウニ類、ホヤ類を含む)に分けた[259][260]
リンネの分類

動物界には、上記のような動物が置かれるが、これはカール・フォン・リンネの『自然の体系 第10版』(1758)において、属より高次の階級として置いた「」に由来するとされる[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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