有棘動物 Scalidophora(頭吻動物 Cephalorhyncha)は動吻動物門、鰓曳動物門、胴甲動物門をまとめたグループで、冠棘という主に頭部に数列ある環状に並ぶ棘を持つという形質を共有することから名付けられた[201][202]。冠棘に加え、花状器官という感覚器を持つという形質、頭部が反転可能である形質、偽体腔を持つという形質も共有する[201][203]。しかし、分子系統解析による検証は十分になされていない[11]。胴甲動物は鰓曳動物のロリケイト幼生と形態が類似していることから近縁であると考えられてきたが、近年の分子系統解析では他の脱皮動物に近縁である可能性が示されている[202]。
汎節足動物詳細は「汎節足動物」、「葉足動物」、および「節足動物」を参照
汎節足動物 Panarthropoda は、動物界最大の門である節足動物を含む系統群である。汎節足動物は体節と、それに対応する付属肢や神経節を持つ事を特徴とする[204][205]。環形動物もこの性質を持つため、21世紀以前では環形動物は汎節足動物に近縁である(ともに体節動物 Articulata をなす)と考えられていたが、21世紀以降では分子系統解析により、近縁性が否定され(収斂)、環形動物は別系統である冠輪動物に分類されている[205][206]。
節足動物は関節に分かれた外骨格を持つ体節と付属肢(関節肢)を特徴とする[207]。現生種は鋏角類(クモ・サソリ・カブトガニなど)・多足類(ムカデ・ヤスデなど)・甲殻類(カニ・エビ類・フジツボ類・ミジンコ類など)・六脚類(昆虫など)の4亜門に分かれ、2010年代中期以降の主流な系統関係は以下のようになっている[208][207][209]:
カブトガニ類 Xiphosura・クモガタ類(蛛形類)Arachnida[注釈 27]
Euchelicerata
Chelicerata
大顎類
ムカデ類 Chilopoda
前性類
コムカデ類 Pauropoda
双顎類
エダヒゲムシ類 Symphyla
ヤスデ類 Diplopoda
Dignatha
Progoneata
Myriapoda
汎甲殻類
鰓尾類 Branchiura
シタムシ類 Pentastomida
Ichthyostraca
貝虫類 Ostracoda
ヒゲエビ類 Mystacocarida
「甲殻類」
"Crustacea"
Oligostraca
カイアシ類 Copepoda
鞘甲類 Thecostraca
軟甲類 Malacostraca
Multicrustacea
異エビ類
トビムシ類 Collembola
カマアシムシ類 Protura
コムシ類 Diplura
昆虫類(外顎類)Insecta
Hexapoda
Allotriocarida
Altocrustacea
Pancrustacea
Mandibulata
Arthropoda
他にも三葉虫類やメガケイラ類など、絶滅種のみ含む節足動物の分類群はいくつか知られるが、現生群との類縁関係ははっきりしない[207]。六脚類は広義の昆虫類で内顎類(トビムシ類・カマアシムシ類・コムシ類、非単系統群)と外顎類(狭義の昆虫類)に分かれる[210]。六脚類は21世紀以前では頭部と呼吸器に共通点の多い多足類に近縁と考えられてきたが、21世紀以降では分子系統解析により、甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなし、側系統群の甲殻類から分岐した説が主流となっている[207]。汎甲殻類における六脚類の系統位置は議論の的となり[207]、2000年代の分子系統解析では鰓脚類に近縁ともされていたが、2010年代中期以降では更なる全面的な解析により、脳の構造に共通性を持つ[210]ムカデエビ類の方が六脚類に最も近縁な甲殻類として有力視されている[207][211]。
汎節足動物は節足動物門以外には緩歩動物門と有爪動物門を含む。