本項では1. の意味を解説し、特に断りのない限り、後生動物を指すものとする。
動物を扱う学問を動物学といい、動物の生物学的側面に加え、動物と人とのかかわりが対象とされる[4]。動物の研究史についてはこの「動物学」も参照。
分類2020年現在判明している真核生物の系統樹。
図中青字のOPISTHOKONTA(オピストコンタ)に含まれる Metazoa が後生動物(本項の示す動物)で、 Fungi が菌類。Ichthyosporea と動物をまとめた枝がホロゾアで、菌類と Nucleariida をまとめた枝がホロマイコータである。
動物は、哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類といった脊椎動物はもちろん、貝類、昆虫、サナダムシ、カイメンなど、幅広い種類の生物を含んだ系統群である。 20世紀末の分子遺伝学の知見を踏まえると、生物は真正細菌、古細菌、真核生物の3つに分かれるが(3ドメイン説)[5][6][7]、そのうち動物は植物、菌類(キノコやカビ)、原生生物とともに真核生物に属する。なお、原生生物の一部である原生動物(ゾウリムシ、ミドリムシ、アメーバなど)は本項で言う動物(後生動物)とは系統上の位置が異なり、それ自身も多系統である事が判明している。なお、日本の初等教育では3ドメイン説以前の二界説(2011年まで)ないし五界説(2012年以降)に基づいて生物の分類を説明している[8]。 動物は、真核生物の中でもオピストコンタ(後方鞭毛生物、Opisthokonta
上位分類
さらにオピストコンタにはホロゾア Holozoa というクレードと、ホロマイコータ Holomycota というクレードがあり、動物は前者、菌類は後者に属する[9]。なお動物の起源とされる(後述)襟鞭毛虫もホロゾアに属する[9][11]。前述の通り後生動物を動物界として扱うこと[12][13][14] が多いが、このホロゾアを動物界と見なす試みもある[15]。
また、Adl et al. (2019)では、後生動物 Metazoa Haeckel, 1874 emend. Adl et al., 2005 を正規のランク[注釈 6]とし、動物 Animalia Linnaeus, 1758 および真正後生動物 Eumetazoa Butschli, 1910 と同義(後生動物のシノニム)として海綿動物、平板動物、刺胞動物、有櫛動物を含めながらもそれらを除いた左右相称動物を界に相当する階級とした[9]。 動物の学名は国際動物命名規約にて運用される[16]。現行の規約は2000年1月1日に発効した第4版である[17]。この命名規約では「動物」という語は本項で示す後生動物を指すが、原生生物であっても研究者によって動物(原生動物)として扱われる場合は命名法上は「動物」として扱われ、この命名規約が適用される[18][19]。(真核生物の命名規約には、国際動物命名規約と国際藻類・菌類・植物命名規約があり、このどちらかに則らなければ学名と見なされない。) 動物命名法の起点はカール・フォン・リンネ (1758) の Systema Naturae 動物は一般的に以下のような共通する形質を持つ。 また、動物の体制(たいせい、ボディプラン、bodyplan、Bauplan)を比較する上で、細胞の単複(多細胞化)、組織や器官の有無(器官分化)、そして体軸の対称性、胚葉性と体腔が重視されてきた[27][28]。
学名と命名法
特徴
多細胞の真核生物である[21][22]。
従属栄養生物である[22][23]。すなわち植物のような独立栄養生物と違い、無機物から自力で栄養源を得る事はできない。
非常に少数の例外的な動物を除き、好気呼吸する[24]。すなわち酸素を使った細胞呼吸をする。
運動性がある[25]。すなわち、自発的に体を動かす事ができる。ただし生涯の途中で付着生物と化すなど、運動性がない時期がある動物もいる。
ほとんどの動物には、胚発生の初期に胞胚という段階がある[26]。