国際労働機関(ILO)の2006年の雇用関係勧告(第198号勧告)においては、「いかなる者が雇用関係にある労働者と見なされるのか、労働者はいかなる権利を有するのか、及びいかなる者が使用者であるのかを確定することが重要である」との意見を表明し、以下の勧告を発行している[4]。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}
9 雇用関係にある労働者を保護するための国内政策を実施する上で、当該雇用関係の存在についての決定は、当該雇用関係が関係当事者間で合意された契約その他の方法による事実に反した取決めにおいてどのように特徴付けられている場合であっても、業務の遂行及び労働者の報酬に関する事実に第一義的に従うべきである。
13 加盟国は、雇用関係が存在することについての明確な指標を国内法令又は他の方法によって定義する可能性を考慮すべきである。これらの指標には、次の事実が含まれ得る。(a) 仕事が他の当事者の指示及び管理の下で行われていること、仕事が事業体組織への労働者の統合を含むものであること、仕事が他の者の利益のために専ら若しくは主として遂行されていること、仕事が労働者自身で行われなければならないものであること、仕事がこれを依頼する当事者が指定若しくは同意した具体的な労働時間内若しくは職場で行われていること、仕事が特定の存続期間及び一定の継続性を有したものであること、仕事が労働者に対して就労可能な状況にあることを要求するものであること、又は仕事がこれを依頼する当事者による道具、材料及び機械の提供を含むものであること。(b) 労働者に対する定期的な報酬の支払があること、当該報酬が労働者の唯一若しくは主な収入源となっていること、食糧、宿泊及び輸送等の現物による供与があること、週休及び年次休暇等についての権利が認められていること、労働者が仕事を遂行するために行う出張に対して当該仕事を依頼する当事者による支払があること、又は労働者にとって金銭上の危険がないこと。—2006年の雇用関係勧告(第198号)
日本の法制では、個々の法令ごとに労働者の定義を定める方法をとっている。
個別的労働関係における労働者概念については、労働基準法第9条
に定められていて、また多くの個別的労働関係法では、労働基準法と密接な関係を持って制定された経緯や、労働基準法から分離独立した経緯等から、労働基準法の労働者概念を用いている。他方、集団的労働関係法上の労働者概念は、労働組合法第3条に定めている。大別するとこの二法に分けられる。第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
職場における労働条件の最低基準を定めることを目的とする労働基準法上の労働者は、 同法が定める労働条件による保護を受ける対象を確定するための概念である[5]。
「労働者」であるか否か、すなわち「労働者性」の有無は「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態及び「賃金支払」という「報酬の労務に対する対償性」、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるかどうかということによって判断されることとなる[6]。契約の形や名称にかかわらず、実態としての雇用契約(民法623条
)が締結されていると認められるかどうかが基準となる。